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ラチサ  作者: 藤ノスエ
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21/33

21. 中学2年 5月 登校

 すごく悩んだけど、とりあえず一度登校してみようと思った。一度ね。

 「何かあったら、すぐ教えて。ちゃんと対応するからね」

と志賀先生は言って、2人で教室に行った。

 教室の後ろのドアから入って席に着いた。6校時から登校すると知らせてあるとのことだったので、ジロジロ見られたりはしない。

 

 途中、廊下で1年の時同じクラスだった男子、国広に出くわし

「礒田じゃ〜ん、久しぶり、元気?」

とハイタッチするかのように手を上げたので、

「おかげさまで〜」

とハイタッチで返したら

「よかった、よかった。じゃあ、また!」

と行ってしまった。

「国広さん、明るいね!」

と志賀先生もハイタッチの真似をした。

「小さい頃からそうです」

「小学校同じだったんだ。仲良かった?」

「まあまあ、やっぱりオタクなんで」

「国広義胤なんてお武家さまみたいだけど、おちゃらけてるよね」

「はは、そうですね」

「ああいう子はいいわ。5組なんだけどね」

わたしは3組だ。


 「体調大丈夫?」

“加島っち”加島春奈がすぐ声をかけてきてくれて、ありがたく、緊張がほぐれた。座っちゃうとあまり周りが気にならなくなった。

 2班みんな知り合いで、昨日もおしゃべりしたよねって感じで安心できた。

 下川、飯野の女子2人は、偶然だけど、過去にノンちゃんがらみのトラブルがあったと思う。下川さんは多分怪我したはず、ちょっとしたものだけど…わざわざ聞かないけどさ。

 小俣、織田、久保の男子もオタク系。織田は漫画クラブ。久保は柔道部でガッチリだけど、よく“女の子みたい”って言われてた。話し方が静かで優しげで、美少女アニメ好き。柔道の時は別人かと思うほどに男子。


 やっぱりみんな考えてることは同じ。多分クラス全員そう。どこに行けばいいかわからないし、行きたくないし、サボれるところを考えた。

「やっぱ、図書館?カフェあるしね」

図書館で何を調べるかを各々考えてくることにした


 自由時間ぽいから、立ち歩いてる子もいてザワザワと賑やかだ

「イソちゃ〜ん、お久〜」とか「元気そうじゃん」

とか、入れ替わり立ち替わり、主に女子が声をかけてきた

「久しぶりぃ」

「おかげさまで〜」

とか返事した。


 その後、誰かはわからないけど

『なんで来てんの』

と声がした。女子だ。

 その時加島っちと2人で教室の後ろの黒板に貼ってあった掲示物を見ていた。

 その声がした時、わたしは固まっちゃったけど、加島っちはすぐに振り向いた。何人かがこっちを見てたらしいけど、その声を聞いて見てただけだと思うと加島っちは言った。

 その声がどういう意味なのかわからない。純粋な疑問なのか、ちょっとした意地悪なのか、そもそもわたしに対して発せられたのかどうかもわからない。

 同じ班に男子たちが

「気にすんなよ!」

とわざわざ大きな声で言い笑いが起こった。それでいっしょに笑って、少し落ち着いてきた。


 ホームルームが終わって、加島っちが志賀先生に、さっきの出来事を話した。

 先生は明らかに真顔になり

「そんなこと言うなんて…頑張ってきてくれたのに、失礼な」

と言い、教室内を見回した。まだ、数人はいたが、こちらを気にしてる様子はない。

 「一応、明日の朝、話すね。どういうつもりか知らないけどね」

わたしに言ったのかわからないし、まったく違う話の流れだったかもしれないけど、でも、多分わたしに言ったんだと思うよ。

 となると、だいたい限定される。1年で同じクラスだった子だ。女子。

 女子はわたし含めて4人だった。秋田グループの子と、あと2人は、特に何ってこともないと思うけど?

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