21. 中学2年 5月 登校
すごく悩んだけど、とりあえず一度登校してみようと思った。一度ね。
「何かあったら、すぐ教えて。ちゃんと対応するからね」
と志賀先生は言って、2人で教室に行った。
教室の後ろのドアから入って席に着いた。6校時から登校すると知らせてあるとのことだったので、ジロジロ見られたりはしない。
途中、廊下で1年の時同じクラスだった男子、国広に出くわし
「礒田じゃ〜ん、久しぶり、元気?」
とハイタッチするかのように手を上げたので、
「おかげさまで〜」
とハイタッチで返したら
「よかった、よかった。じゃあ、また!」
と行ってしまった。
「国広さん、明るいね!」
と志賀先生もハイタッチの真似をした。
「小さい頃からそうです」
「小学校同じだったんだ。仲良かった?」
「まあまあ、やっぱりオタクなんで」
「国広義胤なんてお武家さまみたいだけど、おちゃらけてるよね」
「はは、そうですね」
「ああいう子はいいわ。5組なんだけどね」
わたしは3組だ。
「体調大丈夫?」
“加島っち”加島春奈がすぐ声をかけてきてくれて、ありがたく、緊張がほぐれた。座っちゃうとあまり周りが気にならなくなった。
2班みんな知り合いで、昨日もおしゃべりしたよねって感じで安心できた。
下川、飯野の女子2人は、偶然だけど、過去にノンちゃんがらみのトラブルがあったと思う。下川さんは多分怪我したはず、ちょっとしたものだけど…わざわざ聞かないけどさ。
小俣、織田、久保の男子もオタク系。織田は漫画クラブ。久保は柔道部でガッチリだけど、よく“女の子みたい”って言われてた。話し方が静かで優しげで、美少女アニメ好き。柔道の時は別人かと思うほどに男子。
やっぱりみんな考えてることは同じ。多分クラス全員そう。どこに行けばいいかわからないし、行きたくないし、サボれるところを考えた。
「やっぱ、図書館?カフェあるしね」
図書館で何を調べるかを各々考えてくることにした
自由時間ぽいから、立ち歩いてる子もいてザワザワと賑やかだ
「イソちゃ〜ん、お久〜」とか「元気そうじゃん」
とか、入れ替わり立ち替わり、主に女子が声をかけてきた
「久しぶりぃ」
「おかげさまで〜」
とか返事した。
その後、誰かはわからないけど
『なんで来てんの』
と声がした。女子だ。
その時加島っちと2人で教室の後ろの黒板に貼ってあった掲示物を見ていた。
その声がした時、わたしは固まっちゃったけど、加島っちはすぐに振り向いた。何人かがこっちを見てたらしいけど、その声を聞いて見てただけだと思うと加島っちは言った。
その声がどういう意味なのかわからない。純粋な疑問なのか、ちょっとした意地悪なのか、そもそもわたしに対して発せられたのかどうかもわからない。
同じ班に男子たちが
「気にすんなよ!」
とわざわざ大きな声で言い笑いが起こった。それでいっしょに笑って、少し落ち着いてきた。
ホームルームが終わって、加島っちが志賀先生に、さっきの出来事を話した。
先生は明らかに真顔になり
「そんなこと言うなんて…頑張ってきてくれたのに、失礼な」
と言い、教室内を見回した。まだ、数人はいたが、こちらを気にしてる様子はない。
「一応、明日の朝、話すね。どういうつもりか知らないけどね」
わたしに言ったのかわからないし、まったく違う話の流れだったかもしれないけど、でも、多分わたしに言ったんだと思うよ。
となると、だいたい限定される。1年で同じクラスだった子だ。女子。
女子はわたし含めて4人だった。秋田グループの子と、あと2人は、特に何ってこともないと思うけど?




