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ラチサ  作者: 藤ノスエ
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18/33

18. 中学1年 3月 1年の終わり

 学級新聞2月号を適当に終わらせた。

 スーパーボウルの結果を書いて、解説者の言葉をお借りして書いといた。

 あとはカンタンスイーツレシピ。1学期にも冷たいスイーツレシピ書いたら、三保ちゃんたちだけど、作ってみてくれて、すごく美味しかったって言ってくれたから。

 レシピは母に教えてもらった。夏のときは水羊羹風。今回は抹茶ういろう。

 3月号は修了式前にくばりたいとかで、それまでに考えなきゃ。なにしよう…想像できないな。

 もう、三保ちゃんや羽ちゃんに向かって書くみたいでいいやと思う。


 三神先生じゃない、三神のこと書こうかな。

神話のこと。でも、先月の古代史がらみのこと書いたしなぁ。

 ゲームのこと? オタク全開って思われちゃうのもな。

 修了式頃だから、それっぽいこと? 不登校のヤツがなに言ってんだってなるよね。


 1年間で印象に残ってること。

 映画鑑賞会や体育祭や合唱祭はぜっんぜん楽しくなかったし、やる意味あるのって感じ。

 体育祭で美術部で立て看板作ったりは楽しかったけど…

 美術部といえば、夏にムツキ市の緑化公園にスケッチしに行ったこととか?

 とにかく暑かったってだけで、スケッチを元に作品制作なんてなかったし、敷地内にある美術館に入って、常設展見ながら、涼んでたな…売店でアイス買ったりして。


 なんか美術に関することとか? オタクの集まりじゃないよって。

 どうかなぁ。みんなが知らないような画家や造形作家の紹介。

 例えば、誰かな。美術の教科書を見たけど、教科書はみんな持ってるから、知ってるはずだけどね。

 国語や理科の教科書も見た。教科書のイラスト描く人もいるしね。理科なんて植物や昆虫も写実的ですごくきれい。

 社会の資料集も見てたら、パッと目が止まった。文明開化を題材にした滑稽本で、西洋に影響されていく食文化を描いたものだ。牛鍋を食べる男が描かれた挿し絵があり、何度か見たことあるような気がする。

 そういえば、美術館で見たかも。展覧会のフライヤーがたくさん置いてあって、その中のひとつだったと思う。気になるものをいくつかもらったきて、家に帰ってから調べたんだ。

 そしたら母が画集持ってたんだ!(実家にある)うちの母って何者?って感じだけど、多趣味なんだよね。

 捨てちゃったかなぁと思いつつ、探したらあった! スケッチブックに挟まってた! ムツキ市美術館ではなく他の美術館だったけど、河鍋暁斎の展覧会のものだった。河鍋暁斎。いいよーっ!

 ばあば(母方の祖母)に頼んで、画集を送ってもらうのも時間かかりそうだし、悪いよねぇと言ったら、文庫本サイズのを持ってた‼︎ リビングの本棚にあった! 全然知らなかったよーっ!


 河鍋暁斎は江戸時代末に生まれ、浮世絵や狩野派を学んだ日本画家で、戯画、風刺画家(今で言ったら、ユニークで皮肉や洒落たっぷりなイラストレーターって感じ?)だ。

 社会の資料集の文明開化の項目にあった“アングラ鍋”の挿し絵と、文庫本に載ってた戯画を紹介した。

どんな反応になるかなんて、もういいや。春休みになっちゃうし。


 大塚先生が修了式後に、わたしの私物がロッカーや机にあったので、取りに来て欲しいと言われた。もちろん母に行ってもらったけど。

 大塚先生は、旦那さんのお母さんの介護で退職することになった。

 母が施設などに入られないのかと聞いたら、ずっと子どもたちを面倒見てくれて、文句一つも言わずに、教師として働くことを応援してくれていたそうだ。恩返ししないとと思ってと言っていったそうだ。遅刻や欠勤が多かったのもそのせいだったらしい。

 いいお義母さんだったんだね、と母は言っていた。祖母のこと思い出したかな。

 療養型病院にいた祖母は、転院後、2ヶ月で亡くなってしまった。一周忌やったばかりだ。

 祖母は認知症がひどくなってしまって、手に負えず、医師やケアマネジャーが介護施設への入所を勧めた経緯がある。

 大塚先生のお義母さんは、頭はハッキリしているが体力的に限界みたい。

 それぞれだけど、いろいろあるよね。

 最後に会いたかったです、と言われたそうだが、毎週会ってたから、もういいよって感じ。だけど、そんな状況でも来てくれてたんだなぁとは思う。

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