16. 中学1年 2月 学外支援学級
スクールカウンセラーの小倉先生から連絡がきて、母が面談に行った。
わたしの通う中学は学区内の小学校3校から入学するが、小倉先生はわたしが卒業した小学校でもスクールカウンセラーだった。
中学は3人カウンセラーがいて、もう2校のカウンセラーも兼任していた。カウンセリングルームは週3で、3人が火水金と交代で担当していた。
小学校の時は“遊びに来てね”とチラシが配られたりしたので、友だちと覗きに行ったりして、小倉先生とは顔見知りだった。
カウンセリングルームは何をするところかよくわかってなかった。絨毯が敷いてあって、遊具が置いてあったりして、低学年の子たちが遊んでたりする。
時々、面談中の札がかかっていて、”あけないでね“と張り紙がしてあったり、誰かのお母さんらしき人が出入りするのを見たこともあった。
『いつも明るく元気に挨拶してくれてたので驚きました』
と小倉先生は言い、わたしにも会えたら会いたいと言っていたそうだ。
家での様子や、学校のことを何か言っているかなど聞かれたようだ。
ほとんど毎日、お昼まで寝てて、テレビ見たりゲームしてた。
もらったプリントなんてもらったまま。学級新聞の記事を考えたりもするけど、すぐやめちゃう。1月号でやりきっちゃった感じだし、何にもネタがないよ。スーパーボウルの感想を書こうとは思ってるけど。
もちろん魔法の修行もしてない。修行って何やるの? ファンタジーじゃあるまいし、アニメや児童書みたいな訳ない。
「学外支援学級っていうのがあるんだって」
「けやきみたいなこと?」
”けやき“は中学の支援級のことだ。
「学校は嫌だけど、他のところなら大丈夫みたいなことあるじゃない?保健室とかじゃないよ。学校外でってこと、学外」
そういうところがあるんだ。フリースクールみたいな?
「ほら、カンナ小の裏側にグリーンの外壁の校舎っぽいのあるじゃない」
カンナ小は小学校3校のうちの1校で、以前通ってたスイミングスクールの通り道にあった。
通り道は敷地の裏手で、校舎からだいぶ離れた位置にグリーンの建物があった。大きさで言ったら、教室2つ分くらいで、2階建て。小学校の正面からだったら、見えないと思う。
「そこがそうなんだって。小学校と中学校があって、10時から2時までで、カンナ小や中学の登下校時間帯とはずれてるから、誰かに会っちゃうってこともないし、校門も別にあるんだって」
そう言えば門ぽいのあったかも。そこに通えば、出席扱いになるとか。ただし、カウンセリングが条件で、親と子とそれぞれ担当者がつく。
いますぐじゃなくて、行ってもいいかなぁと思ってからでもいいと言われたとか。
「学校は嫌なんでしょ?」
「うん、やだ。それとカンナ小もやだ。絶対誰かに会うじゃん。絶対会うよ。会わない時間帯かもだけど、遅刻とか早退の人と会っちゃうかもじゃん」
裏通りは中学の通学路でもある。道の先に団地があって、そこから通ってる人が結構いる。
そしたら、学外支援学級は市内に何ヶ所かあって、市役所にもある。
市役所は本庁舎以外にもいくつか建物があり、その中のひとつにもあるとか。そこも本来の正面入口とは違う場所から入れるし、ほとんど外部の人が出入りすることもないとか。
ただ、遠い。と言うか、今が近すぎるから遠く感じるだけだ。家の近くのバス停からJRの駅行きに乗って、15分くらいかな。そっちなら行ってもいいかな。
中学は歩って20分くらい。カンナ小はさらに5分くらい歩く。ちなみにわたしが卒業した小学校は逆方向で10分かからない。
母は
「バス待ってる間にカンナ小に行けちゃうよ」
と言う。
すっかり昼夜逆転しているから、その方がギリギリまで寝てられるよってことだけど、そういうことじゃないの。中学から離れてた方がいいんだって。
とりあえず一度見学してみることにしたが、見学日が案外すぐに決まってしまい、このままトントン拍子ってやつで行かなきゃ行けなくなるんじゃないの? ヤバ〜




