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聖女商会 〜魔族の史上最強姉、妹系聖女として人里に降臨す〜  作者: こんブちゃ


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16/33

14:商会設立

「大変お待たせいたしました。皆様のおかげを持ちまして、面談は大変有意義なものとなり、これよりその成果を発表・ご披露することといたします。では、壇上にご注目ください」


 面談は予定を大幅に超えて二時間が過ぎていた。テレビやラジオは既に当初の予定を変更していたが、ここにきて緊急生放送に切り替えが行われ、クルーたちが慌ただしく動き回っている。


「皆様ごきげんよう。元・フィリアド聖女会・第三席聖女でありましたアンザリ ニナッタです。」


「「「「「「「????????????」」」」」」」


 一瞬の間をおいて、世界中に衝撃が走った。


「私、アンザリ ニナッタと元・フィリアド聖女会・第八席聖女でありましたテス ハァリカの両名は本日、フィリアド聖女会を離れ、ここトルトを拠点とする聖女・ルールー嬢並びにレレ嬢の運営する聖女事務所に合流し、今後活動しますことを、皆様にお知らせいたします」


「ごきげんよう。元・第八席聖女でありましたテス ハァリカです。私たち両名のフィリアド聖女会離脱に関しましては、いずれ微細に渡るご説明をさせていただきたいと存じますが、本日お話できることとしましては、今回人魔衝突の重大な史跡・慰霊地でありますトルトに参りまして、今日の素晴らしい農園の復興ぶりを目の当たりにして、聖女の仕事・責務と言いますか、まだ見ぬ奇跡の可能性というものに大きな感銘・意欲といったものへの欲求を覚えまして、それはこれまでの、ともすれば惰性で聖女の奇跡を扱って来ていないかという反省にも立ちまして、そういうところからの脱却を目指したくなった。という次第でございます」


「ごきげんよう。ここで在野の聖女を務めております、レレと申します。本日は優れた聖女でいらっしゃるお二方と面談の機会をいただきましたところ、大変意気投合するところありまして、過分にも私たちと今後の活動を一つにしていただけるということになりました。私たちは我流で全てをやり過ごしてきた者ですので、やるべきことを一通り既に理解・体得されているお二方から様々な道理を学ぶなどして、地域の皆様に貢献をしていけるよう、精進して参りたいと思います」


「ごきげん、よう。ルールー、です。よろしくお願い、いたします」


 ルールーだけ飛び抜けてコメントが短かったのは、言霊の影響に普段以上に配慮して、より細切れの語り口にしたのだが、これをラジオやテレビで視聴した群衆の内何人かは号泣を始めたし、崩れ落ちるものが続出していた。やはり彼女の語りは一般人にはさらに危険なのである。


「では、取材の方々に質疑応答を受け付けます。恐縮ですが、一社一人・質問も一つずつでお願いします」


記者A「元聖女会のお二人にお聞きします。離脱には給金とか、待遇に関わる不満などといった要素がおありですか?」


ハァリカ「そういった待遇に関しましては、大変よくして頂いていましたので、不満などということはありませんでした」


記者B「元聖女会のお二人にお聞きします。過去聖女会を引退・辞職された聖女の方はご結婚絡みがよくあったと存じますが、お二方にそう言ったお話があったりとかしますか?」


ニナッタ「どうでしょう(にっこり)。ノーコメントにしたいところですが(左右を見ながら)、今のところそういったお話はございません」


記者C「在野の聖女様の方に合流と理解しましたが、今後の運営形態とか、そういうのはどうなるのでしょうか?」


ニナッタ「それはこれから詰めていくことになるかと思いますが、おそらくは独自のスタイルを模索していくことになると思います」


記者D「地元聖女のお二人にお聞きします。トルトは人魔衝突により永らく汚染により不毛の地と呼ばれていたかと思いますが、どのような奇跡でと言いますか、何の権能で浄化に成功されたのでしょぅか?」


レレ「それは、企業秘密とでもいうべきものかと思います。申し訳ありませんが、ここでは返答を致しかねます」


記者E「実際に奇跡を起こされましたのは、お二人の内どちらでいらっしゃいますか?あるいはお二人で力を合わせて?」


レレ「私ではなく、ルールーが一人で成し遂げました」


記者F「ルールー様にお願いがあります。こちら、テレビジョンのカメラですが、このレンズの方に向けてグーから人差し指と中指を開いて立てて、『ぶい』とお言葉をいただきたいのですが」


ルールー「『ぶい』」


記者F「ぅありがとうございますぅ!!!!!!!」



「…他に無いようでしたら、これにて質疑応答及び会見を終了いたします。皆様お疲れ様でした」


××××


「で、事務所の名前はどうするんです?」


 衝撃の発表から一週間が経ち、世間の動揺を尻目に事務所は急速に体制を整えつつあった。テマイラは元から意を通じた人材で今回の巡幸団を編成していたので、ごくわずかの帰国者を除いてそのままトルトに残り、新規に事務所の運営要員となった。その恩恵であれだけ滞っていた各種依頼・要請が整理され、効率的に仕事をこなしていけるようになったし、ニナッタとハァリカはそもそも即戦力なので収益見通しになんの不安も無くなったと言って良い。まあ、まだ現状は金庫は空のままであるが。


「ルールー会?」

「却下、する」

「レハニル連合」

「メンバー頭文字…なんか安易ぃ」

「名前から離れた方が良くない?先々所属聖女増えるだろうし」

「戦力増強として、そうなりますね」


「私は、国や宗教に縛られてないと解ってもらえるような、民間の会社のような名前であって欲しいと思う」

「では、それでいい」


 一同は「は?」とルールーを見た。直前に発言したテマイラも今ひとつ理解が追いついてないようだ。

「聖女会社、でいいでは、ないか」

「え?ああ、そういうことですかぁ。あたしは何でもいいですけどぉ」

「いや…少し語呂が悪いような…もう少しこう、ひねりが欲しいような…」


「では、『商会』はいかがでしょうか。テマど…さんのご実家のアンザリ商会のような」

 まだ教団時代の呼び方から切り替えるのが難しいハァリカである。


「「それか」」

「『聖女商会』、いいじゃない。ここに居られない、事情があってフリーで居るしかない聖女たちにも恩恵を分け与えられるような事業形態も最終的に出来れば」

「この先教団を潰したら、大量に難民聖女が出来ますしね(にっこり)」

「ニナって…結構怖いこと言うね。見た目に似合わず」


 人里棲まいが長いレレはともかく、案外人類どころか聖女たちと気安く馴染んでいるモリンを見て優しく微笑むルールー。「今代の魔王は、まともな人物なのだろうな」と理解する。


「では、そのように。約款などもその辺りを盛り込んで調整し直します」

 やはり教団から引き抜いたミリュル事務員がメモ書きを持って退出する。このクラスのスタッフまでにはテマイラの教団と対決する意図を伝えてあるので、際どい話を聞かれても大丈夫だ。流石にルールーやレレが魔族であることまでは教えてないが。


 そして数日後、晴れて新社名『聖女商会』はマスコミを招いて盛大に発表となった。これに合わせて新規の聖女装束や、差し当たっての受け付けられる依頼の種類・傾向なども公表され、嫌でも世間の歓心を集めることとなる。

ついに商会が誕生しました!

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