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半日でまわる王都観光

ものすごく楽しかったお館の案内のあと、お昼をいただき(おいしかった!)、いよいよ王都観光出発です。


お母様がビシッと宣言します。

「本日は半日で巡る王都観光にようこそ!」


「もうね、『三時間で弾丸観光する』って言い張って、セレスといっしょに止めたのよ」

こそっとキャンディスさんがわたしに耳打ちしてくれます。


「ほんとよ、最初は二時間だったんだから」

セレスティーナさんがすかさず補足してくれます。


ふふふ。お母様ってそういうタイプですよね。

見た目こそおっとりしていますが、騙されちゃだめ。意外とチャキチャキ。さすが、元植物ハンター。


でも、ゆったり観光もいいですが、実はわたし、弾丸ツアーも嫌いじゃないのだ。

だって、限られた時間でどこまで行くか、何を見るか考えるのって、おもしろいでしょ。ゆったりも弾丸もどっちも楽しめる、お得タイプなんです。


「王宮はリサと行くから今日はなしね。大聖堂とリトウィン大橋界隈と旧市街地に行くつもりだけど、ヒュリちゃん、絶対に行きたいとこある?」

「いえ、今わけわかっていないので、お任せします!」

「じゃあ、もう行ける?」

「はい。大丈夫です。……あ、汚しちゃうかも。着替えます」

「いや、そのままでいいわよ。ワンピースかわいいし」

「ほんと!せっかくだからそのままで。ちょっと見せたい人もいるし」

「見せたい人?」

「そおー。時間があったらねー」

と言いながら、すでに玄関に向かっているお母様。さすが早い。

負けてらんないわ。

「はーい」

小走りにお母様の背中を追いかけながら返事をします。

ほんと、見た目とのギャップがおもしろいな。



お母様の背中を追って玄関から外に出ると、マルクさんが待っていました。

馬車の扉を開けて、みんなが乗り込むのに手を貸してくださいました。


「マルクさん!昨日はありがとうございました!」

「こちらこそ。昨日はとても楽しくお話させていただきました。今日は王都観光にお付き合いさせていただきますね」

「はい。よろしくお願いします」

「もうみなさんと仲良くなられたようでなによりです」

いたずらっぽく笑いながら、手を差し出してくれたので、こちらも遠慮なくお手をお借りしました。


そして、お母様の先導でサクサク王都観光です。

まずは、大聖堂。さすが王都の聖堂です。今まで見た中で一番大きな聖堂でした。特に印象に残るのがステンドグラスの壮麗さ。入口近くの丸いバラ窓のステンドグラスなんて万華鏡みたいでした。


大聖堂へ続く参道にはいろいろなお店が軒を連ね、歩くだけでも楽しいところです。

雑貨屋さんとかお土産屋さんとか。一休みできるカフェもあるし、食べ歩きできるお菓子とかも売っています。クレープとかが人気らしいです。おすすめしていただいたけど、お腹が空いていないので今回はなし。今度食べ歩きしてみよーっと。


参道を抜けたところで、王都の流通にも使われるエルヴァ川にかかる有名なリトウィン大橋が見えてきます。大橋から見る川面はキラキラ。


ここの橋は邪を通さず、良きものだけを通すと言われています。そう聞くとなんか由緒正しく、ありがたいものに見えてくるものです。わたしたちは問題なく通れたので、良きものであることが証明されました。

橋を渡ると、マルクさんとの待ち合わせの場所はすぐ近くでした。ここからまた馬車に乗り、旧市街地に向かいます。


次に向かったのは、旧市街地で有名な時計台。

1時間毎にからくり人形が顔を出します。時間配分ばっちり。ちょうど人形の顔を出すところを見れました。収穫祭の日の正午だけ、特別なからくり人形が全身を出して行進をするのだとか。ちゃんと手を振って歩くんだって。それは、ぜひ、見なくては!


時計台のある広場には週末には大道芸人や屋台がたくさんでてくるそうです。そして収穫祭の時は一年の中でも一番の賑わいだとか。それも、ぜひぜひ、見なくては!


ちょっと喉が乾いたので、屋台でジュースを買い、みんなで飲みました。スイカジュースを初めて飲みましたが、おいしい!お店によって微妙に味が違うそうです。

うーん、おいしいからいろいろ試してみたーい。


飲み終わったところで、お母様から観光終了の宣言がありました。

「はーい。今日は王道の王都観光をサクッと巡りました。どうだった?まだまだ見どころはあるけど、エルやジルたちも案内するからね。あともう少し見る?」

「いえ、今日はいろいろ盛りだくさんで満足してます。ありがとうございました」

「そーお。じゃあ、よかったわ」

「では、予定通り、ヤロウのところに行きましょうか?」

「野郎?」

「アハハ。違う違う。ヤロウのお店ね。ヒュリちゃんのいま着てるワンピースもそこのお店のなの」

「収穫祭の仮装の準備にそこに行こうと思って」

「ああ、野郎じゃなくて、ヤロウさんのお店ってことですね。何かと思っちゃいました!」

「ふふふ。確かに野郎って聞こえるわね。気が付かなかった〜」


笑いが起きて、ヤロウさんのお店に向けて出発となりました。

仮装の準備って、午前中に聞いた ”海賊と姫君” の準備だよね?どうなるのか、想像がつくような。つかないような。


ふと、師匠が言った「お前は贄だ」という言葉を思い出し、一瞬身震いしたことは内緒です。



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