表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
14/22

リアちゃんといっしょ

新人三人組、瞬殺だった。

かわいすぎるものを見ると、悶絶するんだね。

リアちゃんがかわいすぎて、完全にやられた。


私達は今、ベルフォール伯爵家に護衛――という名の子守の仕事で来ている。


実はマダムのお友達がご当主の奥様。マダムから私の話を聞いて、お孫さんの子守を依頼してくれたらしい。

うれしいな。


そして、受付のお姉様のはからいで1人より複数の方が安心、ということで新人三人で受けることになった。

ポーション代も稼がないといけないしね。


ベルフォール家なら安心よ、というお言葉つきで、がんばってらっしゃい、と送り出してもらった。

ほんと、お姉様がたには頭が上がらない。



ベルフォール家のご当主は商業ギルド長で、伯爵。どんな方なのかと思ったら、リアちゃん呼びで問題なし、というとってもフレンドリーな方でした。


顔合わせはご当主、奥様、お孫さんで本日護衛(子守)対象のリリア嬢。 

お母様はご病気ですでにお亡くなりになっているとか…

リリアちゃんのお父様は領地経営で忙しく、しばらく領地に滞在していたけど、今日の夕方にはお帰りになるらしい。 


そして肝心のリリアちゃんは三歳。可愛い盛り。

もうね、


ぱっちりお目々

ほっぺぷくぷく

おててもぷくぷく

あんよもぷくぷく

おなかぽこりん


もう、かわいすぎて、ギューしたい。

抱っこしたい。


おばあさまの後ろに隠れて、こっちを伺っている。

小花模様のコットンワンピースに、首には違う小花模様の三角スカーフ。

ちょこんとしていて、もう、かわいいしかない。


「はじめまして」と、三人で自己紹介すると

はずかしそうに「リアでしゅ」といった。


もう、「でしゅ」だよ。

がんばってちゃんと言おうとしてるのに、「でしゅ」なの。かわいい〜!


すでにルカの膝は力が抜けたようだ。

カヤは完全に抜けたな。うずくまっている。


これは仕事じゃない、ご褒美。

最悪だった日々が、遠のいていく。

……リアちゃん、すごい子だ。


お祖母様がリアちゃんに

「お姉ちゃんとお兄ちゃんにお庭案内してあげたら?」というと

「うん!」と元気よく答えた。


あ、ちょっと慣れてきたかな?


「おねいちゃん、いちご好き?」と聞かれて

「大好き」というと

「リアも!いちご見せてあげる」


そう言うと、手を引いてくる。

かわいい。


「ああ、リアちゃん。その前に砂遊びするならお着替えしないとだった」とお祖母様。


リアちゃんは心配そうにこちらを見て、

「リアね、砂遊びもすきなの。待てる?」

「大丈夫、まってるよ〜」


三人で手を振ると、リアちゃんはほっとしたようにうなずいた。


手を振ってお祖母様とメイドさんに連れられていくリアちゃんを見送り、姿が見えなくなった途端――

三人で「はぁ〜っ」とため息をついた。


「かわいすぎて、つらい」

「叫びたくなるね」

「癒やしでしかないじゃん」


「僕なんて今、手に力が入らないよ」

ルカが手をにぎにぎさせながら言う。


「一応、護衛なんだからね」


カヤがすかさず突っ込む。

気持ちはよくわかるけどね。


――気を引き締めて待っていたのに、さすが、リアちゃん。

予想を軽く裏切ってくれました。


お祖母様と手を繋いで出てきた姿は――

ピンクの長靴、茶色のモンペ。

ワンピースみたいな割烹着を着て、小花模様の三角スカーフは頭を覆い、

あごの下でゆるく結ばれていて、まるで赤ずきんちゃんみたいだ。


……もう、かわいいしかない。


ちょっと大きめの長靴をぺたぺたさせて、こちらにやってくる。

悶絶、再び。


「いちごちゃんのところね」と言って、カヤとわたしの手をとる。

ルカはちょっぴり残念そう。


お庭は作りこんでいない、自然な雰囲気。

こういうお庭のほうが、わたしは好き。


いちごは端のほうに、木のプランターで育てられていて、ところどころ赤い実がのぞいている。

リアちゃんが採れるようにしてあるんだ。

……いいね。


「待っててね」

ぺたぺたとプランターに行き、真剣な顔でいちごを選ぶ。

ひと粒ずつ、大事そうに手のひらに乗せてくれる。


「はい、どうぞ」

「ありがとう」


――なに、これ。

かわいすぎて、泣きそう。



今度はお砂場に向かう。


「リアね、動物すき。砂遊びもすきなの」

「動物は何が好き?わんちゃん?ねこちゃん?お馬さん?」

「みんな好き!」

「みんな好きなんだね」


だったら、ぐりちゃんを見たら喜びそうだな。

呼んだことないけど……呼んでみようかなぁ。


「じゃあ、お姉さんのお友達、呼んでみようかなぁ」

「お友達?」

「うん、多分来てくれる気がするの。緑の小鳥さんなの」

「会いたい!」

「後で呼んでみるね」



砂場についたら、リアちゃんはお団子づくりを開始した。

「こうやるの」とスコップを使って、お団子を作ってみせる。


「リアちゃん、このお団子ツヤツヤにしてみない?」とカヤ。

「ツヤツヤお団子?やるーーー!」


お、リアちゃん、食いついた。

カヤと一緒にお団子を作って、ルカがぎゅっと形を整える。


「ふふふ。リアったら、楽しそう。あなた達にお願いしてよかったわ」


お祖母様が微笑む。


リアちゃん、どっかり座ってお団子作り。

頭のスカーフが外れかけてる。汚れた手でスカーフをつかんだ。


お祖母様が「リア」と声をかけて、スカーフを外してあげる。

あ、またすぐお団子づくりに戻った。真剣だ。


「スカーフ、かわいいですね。あと割烹着もとっても素敵」

「あら、ありがとう。わたしのお手製なの」

「えーー、すごい!」

「リアも気に入ってくれていて、わたしも楽しんでいるの」


ほんとに素敵なご家族だなぁ。

そばのメイドさんもニコニコと見守っている。


お山を作って、お団子を作る。

できたお団子は乾かさないといけないらしく、ひとまず一段落。

「お昼にしましょうか」となって、

お天気もいいし、お庭の芝生でピクニック。


……ちょうどいい。

ぐりちゃん、呼んでみよう。

初めてだけど――できる気がする。

そういえば、とふと思い出して、いつも身につけているロケットを握る。

中には、ぐりちゃんからもらった羽根が入っている。

目を閉じて、ロケットをぎゅっと握る。


――ぐりちゃん、来て。

心の中で、そっと呼びかけた。


ロケットが、ぽわっとあたたかく光った。

手のひらの中で、やさしく脈打つように光が広がる。

次の瞬間、すぐそばの空気がふるりと揺れて――

淡い緑の光が、ひとつ、舞い降りた。

「ピ!」ぐりちゃんが来てくれた。


「きれい……!」

リアちゃんが、ほわぁ〜〜っと目を輝かせる。

「ヒュリおねいさん、すごい……!」

……カヤも、ルカも、言葉を失っていた。


「うわ、成功した!ぐりちゃん、ありがと!」

「ピー」

「うん、はじめてだったね〜」

「ピ」

「ぐりちゃん、こちら、リアちゃん。仲良くしてね」

「はじめまして。リアでしゅ」

「ピピ!」


さすが、ぐりちゃん。

リアちゃんが差し出した手に、ちょこんと乗った。

えらい。

リアちゃん、興奮しすぎて、お顔がまっかっかだ。


「すっごいことしてると思うんだけど、なんでこんな軽いの?」

「そこらへんが、ヒュリだよな」


なんか、同期二人がこそこそ話してる。

聞こえてますよ!


ぐりちゃんが来てくれて、思いっきりぐりちゃんと遊んだリアちゃんは急におねむになり、お昼寝。

そして、お昼寝から目を覚ますと、また元気いっぱいで。


高い高い、肩車に抱っこでくるくる――

ルカが全力で遊ばれている。

最後、お兄さんでなく、ルカくんと呼ばれていたよ……。


そのあと、カヤの提案の艶玉づくりの仕上げに取りかかる。

乾かしておいたお団子を、ていねいに磨いていく。


「こうやって、少しずつね」

カヤが手本を見せると、リアちゃんも真剣な顔でこくこくとうなずく。

カヤがざっと磨いたお団子をリアちゃんが最後の仕上げ。


小さな手で一生懸命に磨いて――

「できた!」

つやつやと光るお団子を掲げて、嬉しそうに笑った。

いい出来だ。カヤも満足そうにうなずいてる。

これで、今日の遊びもひと段落。


「夕食もご一緒にいかが?」とお祖母様が声をかけてくださったけれど、

「ありがとうございます。でも、ギルドに報告もありますし……」

それに、今日はお父様も戻られると聞いている。

きっと、ご家族でゆっくり過ごしたいはずだ。

そう伝えると、お祖母様はやさしく微笑んだ。


「そうね。またぜひ、いらしてちょうだい」

リアちゃんが、ぱたぱたと駆け寄ってくる。

「また絶対にきてね!」

「うん、また来るね」


手を振って見送ってくれるその姿に、最後まで頬がゆるむ。


……ほんとに、リアちゃん、かわいかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ