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フィルム36枚じゃ、君を撮り足りない。 〜きみに感光(こが)れる、写真部の初恋〜  作者: ゆあ


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1.居場所探し

「シバ、部活どうする?」

 小学校からの腐れ縁である彰に声を掛けられ、オレは口を窄める。

「全然決まんない」

 高校に入ったら何か新しいことを始めようと思っていたけど、なんかどれもピンとこなかった。

 なんだったらバイトをがっつりやって、そこで出会いを求めるのもありじゃね?って思っていたのに、この学校は部活必須らしい。

 中学のとき同様バレー部に入ろうかと思ったけど、ここのバレー部はかなりの強豪らしく、オレみたいなチビは入部すら許してもらえそうになかった。

 最近のアニメでチビでも活躍できるって話はあったけど、現実的には厳しいのはわかってる。

 それに、中学のときは結構お遊び半分な部活だったしなぁ~。

 ルールはわかるけど、真剣にやってたわけじゃない。


 野球部は朝から晩まで大変そうだし、バスケ部は論外。水泳は泳ぐの苦手だし……

 この際文化部か?

 って、文化部って何があんの?吹奏楽?あ、オレにはムリムリ。

 オレに音楽の才能なんて全然ないもん。


「なぁ、帰宅部も部活じゃねーの?」

 机にうつ伏せになりながら文句を口にすると、彰から手刀が飛んできた。

「いてっ……」

「シバ、アホだろ。今朝のホームルームでも言ってただろ?どうしてもな理由がない限り、帰宅部は無理だって」

 確かに担任になったゴリラっぽい先生が言ってた。

「それに……シバはまだ知らないらしいが、ここの帰宅部はどこの部より過酷らしいぜ?」

「は……?」

 何を言い出したのかと目をパチクリしながら問うと、ニヤリと不気味な笑みを浮かべながら彰が言ってきた。

「ここの帰宅部は、何があっても家に帰り着くことを目的とした部活らしい。大雨や大雪、照りつく暑さにも負けずに帰らなきゃならない。あと……幽霊に襲われようと……」

 とか、バカなことを言い出している。

「なんだそれ?ってか、彰はどうすんだよ。さっきもバレー部の先輩に声掛けられてただろ?」

 彰の手を叩き落とし、仕返しとばかりに手を伸ばすも、簡単に叩き落とされてしまった。


「ん?あーあれなぁ~……」

 彰は困ったように眉尻を下げ、言葉を濁す。

「中学んときですらスカウトが来てたんだし、インターハイ目指すんじゃねーの?」

 オレが素直な疑問を問いかけると、彰はポリポリと人差し指で頬を掻きながら視線を泳がせる。

「……えっと、先輩たちには悪いけど……断った」

「なんで!?」

 思っていなかった返答に、オレは間抜けな声を上げてしまう。

「だ、だって将来はプロリーグだ!とか言ってただろ?」

 彰は中学の頃から身長が百七十センチを超えていて、一年のときからレギュラーだった。

 オレと彰は、ふたりで“最強コンビ”なんて先生や後輩に囃し立てられていた。

 って言っても、最強なのは彰のスパイクで、オレは彰に繋ぐための球を拾うのが得意だっただけだけど……

 チビだからこそ身軽に動けるって褒められたことはあるけど、そもそも高校の強豪校じゃお話にならない。

 入学初日から彰はバレー部の先輩たちに囲まれていた。

 ん?オレ?

 オレは当然のように誰にも声なんて掛けられなかったけどな!

 というか、気付いてすらもらえなかった気がする。

「中学までは楽しかったけどさ、高校ではいいや。それより、ずっとやってみたかったことに挑戦しようと思ってさ」

 なんとなく晴れ晴れとした笑みで言われると、オレもこれ以上は問い詰めることができなかった。

 彰とバレーをするのは楽しかったけど、オレも高校ではバレー部に入るつもりはなかったから……


「じゃあ、部活は何に入るつもりなんだよ。挑戦したいことってなに?バスケ部とか?」

 オレは唇を尖らせながら、彰の軽く小突く。

 すると、彰はくすぐったそうに笑いながら言ってきた。

「ん?俺は家庭科部!」

「……は?」

 意気揚々と答えられた部活名に思考が停止し、気の抜けたような返事をしてしまう。

「あ、料理じゃなくて、俺はお菓子専門だけどな♪」

 ニッと満面の笑みを浮かべながら追撃するように言い放たれた言葉に、オレはポカーンと間抜けに口を開けてしまった。

 だって元バレー部のエースが家庭科部?

 しかもお菓子専門とか言ってくるし……

「シバは知らなかっただろうけど、俺の趣味のひとつがお菓子作りなんだよ」

「へ……?」

 初めて聞く話に、オレは目をぱちぱちさせてしまった。

 そんなオレを揶揄うように「ひ?」とか言ってくる彰に、オレはなんとなく殴りかかる。


「おチビなシバの腕は届かないのであった」

 とか言って、オレのパンチを軽やかにかわす彰にイラッとする。

「まぁ、一緒の部活は無理だろうから、差し入れくらいなら作ってやるよ」

 ポンポンと頭を撫でてくる彰は、本当に嬉しそうに笑っていた。


 中学のときは同じバレー部だった。

 でも、高校では違う。

 あのときは確かに楽しかったけど、高校だからこそ、本当に好きなことを選ぶ。

 ……そういうのも、悪くないかもしれない。


 じゃあ、オレも……オレが好きな部に入らなきゃだよなぁ~……

「でも、オレ……何がしたいんだろ?」

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