89: 僅かな期待
「おはよう、ロック……ちゅっ」
「足りない……」
「ちゅっちゅっ」
冬もそろそろ終わり頃。
そろそろ納入の時期だ……気が滅入る。
そう言えばこの前の茶色いおりものは生理だったのかなぁ?
レイノルズ領で治癒院を開く事になったので、ポーションを4000個作る。
春になったら冒険者の活動も始まって忙しくなるだろうな。
マリアちゃんは、わりとサバサバタイプだから血を見ても大丈夫そうかな?
小鳩急便を使ってそれぞれに送っていく。
本来ならそろそろ生理が来る頃なんだけど遅れている。
まさか、まさかね?
ぬか喜びにならないように冷静を保つ。
もう少し待ってみなくちゃね。
そうは言っても期待してしまう。
もうすぐロックのお誕生日。
出来ればプレゼントしたい!赤ちゃん出来たよって。
無性にベスに会いたくなった。
突然行ったら迷惑だよね……
私はベスに手紙を書く事にした。
明日会いたいってね。
小鳩急便に頼んで、その場で返事を貰ってきたらどうかな。
友達と言えるのはベスだけだもん。
まずはベスに報告したい。
そう言えば、ベスの家に行ったことないな?
それに、喘ぐ旦那さんどんな人か見てみたいしね笑
小鳩急便はすぐに返事を持ってやって来た。
手紙には待ってると書かれていた。
そうだ、チーズケーキ作って行こう!
1日寝かせた方が美味しいしね!
私は厨房でケーキ作りを始めた。
ロックの分も合わせて2個作る。
クッキーをまず焼いて砕いていく。
溶かしバターを入れて型の底に押し付けるように引いて行く。
玉子にクリームチーズ、生クリームに砂糖にレモン汁、小麦粉少々!
料理って楽しい!
早く明日にならないかな?
「ご機嫌だな?おっ、チーズケーキか?」
「ロックの分もあるからね!」
夕食を食べて一緒にお風呂に入る。
私は明日を楽しみにしてロックと仲良く眠った。
今日はベスのお宅にお邪魔する日。
朝から気合いを入れてお化粧をする。
「何処かいくのか?」
「うん、ベスの所に!」
「そかそか!よろしく伝えてくれ、楽しんで来いよ?」
「ありがとう!ロック、なるべく早く帰るよ!」
「ゆっくりしておいで!」
10時になるのを今か今かと待ち構え馬車に乗った。
ベスの家に着いてベルを鳴らすとメイドが顔を出す。
「かすみ.レイノルズです。」
「奥様からお聞きしております。こちらへどうぞ!」
私は客間に通された。
暫くするとベスが旦那さんと一緒にやって来た。
「ようこそいらっしゃいました、かすみ様。
ブルック.ローベンです。
いつも妻がお世話になっております。」
「こちらこそお世話になっております。初めまして」
「ごゆっくり。」
そう言って旦那さんは2階に上がって行った。
「急にごめんね、ベス。どうしても会いたくて……」
「なにかありましたの?」
「先月1回だけ茶色いおりものがでて、今月も生理がまだ来てないの!」
「それって、もしかして?」
「まだわからないけど……もしかしたら。」
「私神様に祈りますわ!」
「私も!ありがとう、ベス!」
「1番に伝えたくて……」
涙が溢れてきた。
ベスがぎゅっと抱きしめてくれる。
「子供達は同級生ですわね!」
「うん……ぐすっ……出来てるかなぁ?」
ベスは私の手を握って大きく頷いた。




