82: 確信
あれから3日、変わったことはない。
私はなるべく外出を控えてセーター作りに没頭している。
ロックが楽しみにしてくれているから、気合いもはいるよね!
外壁工事も無事に終わり一安心。
冬前の魔物間引きは、スタンピードがあったせいか必要ないらしい。
私は盗難事件で伝え忘れていた、ジェニーさんの旦那さんに施設で教師をやって貰う件をロックに伝えた。
今日も何事もなく過ぎればいいな、そう思った矢先に来客を伝えられた。
応接室に行くと、エラさんが青ざめた顔で座っている。
「また無くなったんだね?」
エラさんは頷くと泣き崩れてしまった。
「恋人を信じたいのは分かるけど、もう犯人はわかってるよね?」
私はロックを呼びに行き経緯を話した。
「なんと言うか、残念だったな……」
ロックもかける言葉が見つからない様だった。
「無くなったのは何時なんだ?」
「昨日の夜だと思います……」
「じゃあ、まだ所持しているかもしれんな。」
「サミエルさんは、今日仕事に行ってるの?」
「はい……」
「騎士団に行こう!」
エラさんを連れて馬車に乗る。
犯人をみつけたいけど、見つけたくない。
複雑な気持ち。
騎士団長に話を説明して、サミエルさんの私物を見せてもらう事になった。
「あぁ……サミー……そんな」
バッグの中には強力ポーションが2本入っていた。
「決まりだな。」
「うん、悲しいけどね。」
「後は陛下に任せよう。」
「待って下さい!私サミーと話たいわ!」
エラさんの気持ちを汲んでサミエルさんを団長室に呼び出した。
サミエルさんはなんで呼ばれたのかも分からずに妙な顔をしている。
「サミーどうしてっ!」
「え?何が?」
「治癒院からポーション盗んだでしょう?」
そう言うとたちまち顔色が変わる。
「沢山有るんだから少し位いいだろ?」
「他国で売ったらどうなるか考えなかったの?かすみさんを危険に晒す事になったかもしれないのよ?」
「ちっ……うるさいな」
「え?」
「お前みたいな子持ち、ポーションが無きゃ相手にしないっての!」
ロックがサミエルを殴り倒す。
「クソ野郎が!お前のした事がどれだけの事かこれからじっくり知ればいい!」
「エラさん、大丈夫……?」
「信じたかったのにぃ!」
エラさんを1人残して、陛下の元へ。
「盗みを認めたそうだな?」
「たかがそれだけで罪になるんですか?陛下」
「開き直るか。では処罰を言い渡す!騎士団からの追放、男爵位剥奪、オークションで手に入れた金貨6000枚の没収、王都への立ち入り禁止、以上だ!」
「そんな馬鹿な!」
「まだ足りないか?」
サミエルさんはヘタヘタと座り込んでしまった。
エラさんへの慰謝料もあったって良かったのに!
「これで良いか?かすみ」
「エラさんへの慰謝料も請求します!」
「それも付け加えよう!」
「ありがとうございます!」
泥棒騒ぎは一件落着。
後は出どころがバレなければいいのだけどね。
「かすみ、良かったな!」
「うん!ありがとう、ロック」
団長室に戻るとエラさんが泣き腫らした顔で待っていた。
「エラさんを悲しませた報いは受けさせたからね!」
「ありがとう……」
「帰ろう!患者さんと子供達が待ってるよ!」
「そうですよね!」
「結婚前に分かって良かったじゃねえか!」
「本当に!」
エラさん、ファイト!!




