8: スラムへ
今日はスラム街で拠点になる物件を探すんだ
スラム街のイメージが湧かずに緊張する。
異世界に来て早1週間
段々生活にも慣れてきたみたい。
ロックの家に行くとジェシカが猫のように甘えている姿があった……
やっぱり2人ってそういう仲?
嫉妬で緊張もほぐれてしまった。
「おはよう!」
「おはよう!かすみ」
相変わらず優しい笑顔、キュンとする。
少しすると皆んな集まってきた。
「さて、行こうか!」
ロックが促す。
「かすみ、スラムでは俺から離れるなよ?」
やっぱりロックは優しい
スラム街に近寄るとツンと鼻を着く匂いがした。
今すぐ浄化したい
これがスラム……思った以上にその光景は悲惨だった。
いたたまれずにいる私の手をロックがギュッと握ってくれた。
中程まで行くと屋根のある小屋が何件かあった。
「ここら辺どうだ?雨がしのげるし民間人はここまで入っちゃ来ないからな」
「ロック、エリアヒールしてもいい?」
思わず口をつく
「かすみに任せるよ!」
少しでも元気になって欲しい……
「エリアヒール!」
周り一体が金色に包まれていく。
初めて魔法をみた仲間たちは呆然としていた。
「あの、私売り上げはスラム街の為に使いたい……」
やせ細った子供達にお腹いっぱいご飯食べてほしい、本心からそう思ったんだ。
「かすみの好きな様にしていいんだぜ」
ロックが微笑んだ。
拠点は決まった、瓶も仕入れた。
さあ、ポーション作りだね!
私のポーション作りは至って簡単
浄化した水に魔力を流し込むだけ。
魔力の量で回復力が変わるって感じかな?
とりあえず容器300個分のポーションを作って置いた。
それにしても、私の魔力底がないのかな?
全く疲れない
おじいちゃんありがとう……
余った時間で浄化を施していった。
少しでも生活が良くなりますように……
ジェシカが中年の男性を連れて戻ってきた。
仲買人だね。
半信半疑な様子で瓶を見つめている。
「まずはこれを仕入れさせて頂きますよ、料金はいかほとで?」
「これは効果の薄いポーションです、銅貨1枚でいかかでしょうか?」
「わかりました、では銀貨30枚お確かめ下さい」
中年の男性は手際よく荷物を回収して行く
上手くいくといいな…
「わたしはダンと申します、以後お見知り置きを」
「かすみと申します、これからお世話になります」
挨拶が終わるとダンはそそくさと帰っていった。
「ロック、このお金で炊き出ししたいの
買い物に付き合ってくれる?」
「オイラ達も付き合うよ!」
ケントも頷く
本当にいい人達、誰かさんを除いてね!
市場に行くと人が沢山居て賑わっている。
スラム街とは大違いだなぁ……
大きな鍋と肉と野菜をたっぷり買い込んでスラム街にもどる。
子供達が不思議そうにこっちをみているけど、近寄っては来ない。
私達は具だくさんのシチューを作った。
「皆んな集まって!シチューができたよ!」
不安そうに遠目から見ているだけで誰も来てくれない。
やっぱり警戒するよね…今までこんな事無かったんだろうから
ロックがシチューをよそい、子供達に近づいて行った。
「これはお前たちが食べていいんだぜ?おかわりもある、沢山食え!」
子供達の顔がパッと明るくなると一身に口に詰め込む。
「ゆっくり食べろ、誰も取らねーからな」
様子を見ていた大人達も次々とやってきた。
皆んな集まって笑顔になっていく。
いい事をしたんだ!
私は少し誇らしげになった。




