79: やり手のアン
今日はアンに会いに行く日。
お寝坊さんを起こす。
「ロック……ちゅっ」
「まだ起きてない……」
「ちゅっ、ちゅ」
「まだ起きてないぞ……」
「んもぅ!起きてるでしょ!笑」
ロックがブーブー言いながら起きてくる。
「今日は、シフォンに行く日だよ!」
「そうだったな!」
朝食を取り支度をする。
馬車に揺られ1時間程、久しぶりのシフォンだね。
元スラム街は見る影もなく、瓦礫も撤去されて綺麗に整備されている。
「これは、スラム街なのか?」
ロックが驚いているのも無理はない。
だってもう立派な街だもん。
小鳩急便の本社を尋ねるとアンが居た。
「アンさん!久しぶり」
「かすみさん、ロックさん!お久しぶりです!」
「王都で引越しの馬車見かけたよ?ちゃんと専売特許取ってある?」
「勿論です!抜かりはありませんよ!」
アンはもう、現場から離れて社長さんだ。
ローザの小鳩急便もアンが取り仕切っている。
「儲かってるみたいだな?」
ロックがニヤリとする。
「お陰さまで!」
アンもニヤリと返した。
「凄いよ!アンさん、よくここまで頑張ったね!」
「全てはお2人のお陰ですよ!」
あの時の出会いが無ければいまもお腹を空かせていたはず。
本当に良い事をしたな。
「引越しの方は順調なの?」
「徐々に増えてますよ!」
「いい所に目を付けたね?」
「私達運び屋ですからね!笑」
お仕事は順調だし、結婚も決まったらしい。
いい事尽くしだね!
私達は、街を案内して貰う事になった。
入口には-小鳩街-と書かれている。
右手には大きな馬房があり、馬も40頭は居る。
左手には綺麗な住宅が建ち並んでいる。
働けない子供や年寄りはアンが面倒見てるみたい。
最初は私が特許を取ったけど譲り渡しても大丈夫そうだね。
「みんなー!かすみさんが来てくれたよー!」
アンが大声で叫ぶと、子供達が集まってきた。
誰1人痩せている子は居ない。
広場の椅子に座り子供達と話をする。
みんなアンが大好きな様。
「働けるって素晴らしいですね……」
「突然どうしたの?」
「もし、救ってもらえなかったら私達今頃どうなっていたやら……」
「これは、皆んなの力だよ?私達はただ手を差し伸べただけ。」
「そうだぞ?頑張らなければ潰れていただけだろうよ?」
「ロックの言う通りだよ!」
「ロックさん……私達これからも頑張ります!」
「その意気だ!」
「アンさん商業ギルドに行こう!」
「商業ギルド?」
「いいからいいから!」
商業ギルドで専売特許の譲渡を行う。
「これで、名実共にアンさんのものだよ!」
「かすみさん……ありがとうございます!」
「良かったな!」
「お金の力の凄さと怖さを知りました。今では移住希望者までいるんですよ?隣町を買い取ろうかと悩んでます。」
「そりゃたまげたな!ローザも負けて居られないぜ!」
みんなでクスクスと笑った。
隣町も貧乏な街だったはず。
アンがいれば、いい様にしてくれるだろうね。
陛下も無視は出来なくなるだろうし。
「来てよかったな!」
「うんうん!付き合ってくれてありがと!」
私達はアンに別れを告げると、馬車に乗った。
「随分早く切り上げたな?」
「だって……2人で休みなんだよ?ゆっくりしたいじゃない?」
「ゆっくりするだけでいいのか?笑」
「んもぅ!意地悪!笑」




