67: 空気の読めない人
「奥様、お客様がお見えでございます。」
「どなた?」
「ハンナ様です。応接室でお待ちです。」
え?!約束して無いのに……
とりあえず支度をして応接室に向かう。
「ハンナさん、おはよう!今日はどうしました?」
「また連れて行ってくれるって仰ったから来ちゃいました!」
「昨日行ったばかりでまた行くの??」
「だめですか?」
「ダメでは無いけど、毎日行くのはどうかと思いますよ?」
「ゲルドさんに会いたいの……」
はぁ……困った。
何か理由付けて断りたい。
「私も治癒院がありますし、頻繁には出かけられないんですよ。」
「少しの時間も無いんですか?」
「わかりました、行きましょか。」
奥手だと思ってたけど、割と強引だね?
ちょっと苦手なタイプ。
暫く馬車に揺られ王都に着いた。
2人で騎士団の兵舎へ行く。
「こんにちは!ゲルドさん」
「かすみ様、こんにちは!昨日はヒールしてくれてたんですね!訓練が終わったのに1人も怪我人が居ないから不思議に思ってましたよ!」
「暇だったので笑」
「安心して訓練出来て助かりますよ!」
「ゲルド様、ごきげんよう!」
「ハンナ様、昨日はサンドイッチありがとうございました。美味しくて毎日でも食べたい位でしたよ!」
「本当に?ならば毎日持って参ります!」
いやいや、社交辞令でしょ……本気にしないでね、お願いだから。
「ハンナ様、流石に毎日はご迷惑でしょうから……」
「迷惑なんかじゃありません!かすみさんが連れて来て下さる約束していますので!」
ゲルドさんと目が合う。
助けてと言わんばかりに見つめてくる。
こっちが助けて欲しいくらいだよ。
「私は訓練見てきますね!」
2人を残して逃げ出す……ゲルドさん、ごめんね。
「皆さん、回復は任せて思い切り頑張ってね!」
皆んな一斉にお辞儀をする。
今日も頑張ってるなぁ!
さて、2人は……何か会話になってない?
一方的にハンナさんが喋ってる感じ。
これ、毎日続けられたら流石のゲルドさんもブチ切れるだろうな笑
「エリアヒール!」
私はヒールをしながら時間が過ぎるのを待つ。
少しすると、2人がこちらに歩いてくる。
助けて欲しいのかな?笑
「かすみ様、ヒール助かります!疲れていませんか?」
「全然大丈夫ですよ!」
「最近入った新人は元気が良すぎて怪我人が絶えません。」
「心強いですね!」
私がゲルドさんと話しているとハンナさんが凄い形相で見てくる。
怖っ!黙っておこう……
私は無言でヒールを続ける。
「ゲルド様は、何かお好きな食べ物はありますか?私料理得意なんです!」
「好き嫌いはないですよ。」
「じゃあ、明日は私の得意料理をもってきますね!かすみさんも来てね?」
「流石に毎日は無理ですよ?仕事もありますし。」
ゲルドさんも続く。
「私もずっと毎日お話していては部下に示しがつきません、申し訳ありませんが。」
「毎日食べたいって嘘ついたんですか??酷い……かすみさんだって付き合ってくれるって約束してくれたのに!」
「嘘ではありませんが普通は真に受けないものですよ。」
うわ、ハッキリ言った!
「2人して私を邪魔者にして!帰ります!」
ハンナさんは泣きながら帰ってしまった。
ゲルドさんが困った様な顔をしていたから、つい「お疲れ様です」と言葉がでてしまった。
やれやれだね。
家に帰った後、ロックにハンナさんの傍若無人ぶりを話して聞かせた。
「散々だったな笑」
ロックは大笑いしている。
「疲れたぁ……明日も来たらどうしよう?」
「その時は俺が追い返してやるよ!」
「本当にお願いね笑」




