60: 横暴な家族
「旦那様!旦那様!!」
執事の声……?
「どうしたの……こんな朝早くに……」
「申し訳ございません奥様、実は急な来客でして……何度もお断り申し上げたのですが聞いて貰えずに……」
「何事だ?誰が来てるんだ?」
執事の声でロックも起き出して来た。
外で衛兵が騒いでいるのが聞こえる。
嫌な予感しかしない。
玄関を開けると4-50代の夫婦と20歳くらいの綺麗な女の子が立っている。
突然すみませんでもなければ、名乗りもしない。
暫く沈黙が続く。
「領主のロック.フォン.レイノルズだ。こんな朝早くになんの要件だ?」
ロックが先に名乗ってしまう。
家は侯爵だよ?普通、地位の低い方から名乗るものなのに……。
「私はユリウス.グランツ。隣は妻のヒルデガルド。そして娘のイザベラだ。」
随分高圧的だなぁ……?
「それで、そのユリウスさんはなんの要件で?」
「私達親子が住む場所を見に来たのだ。」
「そんな約束はないぞ!」
「返事が遅いから見に来てやったんだ!有難く思いなさい。それで、私達の邸宅はどこだ?案内してくれ!」
はぁ?何言ってるのこのオジサン……
邸宅なんてあるわけないじゃない、ここ街だよ……?
「申し訳ないが、ローザの街は貴族が住む様な家はない。他を当たってくれ。」
「……じゃない。」
「なんだって?」
「今はもう貴族じゃない!恥をかかせるな!」
「平民と一緒に働けるのか?ここでは働かざる者食うべからずだぞ?」
「住まいだって、豪華な物は用意出来ない。問題を起こせば追放だ。それでも住みたいのか?」
「それでよい!」
「なら、誓約書を書いてくれ。」
あれ、普段誓約書なんて交わさないのに。
ロックも慎重になってるんだね。
奥さんと娘はずっと黙ってるけどマトモなんだろうか?
イザベラが口を開く。
「わたし、働いたことが有りませんのでメイド見習として通っても宜しいですか?」
娘はマトモそう?
ロックがチラッと私を見る。
「引っ越しは何時されますか?」
「早いに越したことはない!」
「では、物件にご案内しますね。」
そう言って私は親子を新しい一軒家に連れていった。
「何だこの狭さは!」
「お気に召しませんか?」
このオジサンはまだ自分達が平民に落とされた事を理解していない。
鍵を渡して、イザベラには明日から来るように伝えた。
サッサと帰ろう……
「ただいま、ロック!」
ロックは渋い顔でコーヒーをすすっている。
「何事もなけりゃいいんだけどな!」
「本当に……」
こうなっては、様子みるしかないよね。
朝からドッと疲れてしまった。
ロックもお疲れ様!




