52: 平和の裏側
「おはよう、かすみ……ちゅ」
「おはよう……ロック」
ロックより遅く起きてしまった。
亭主関白じゃなくて良かったとホッとする。
「朝食すぐ作るね!」
厚切りベーコンとオムレツを作る。
最近はロックもコーヒーにハマってブラックで飲んでいる。
そんな姿もカッコイイ♡
食事を食べ終え領地に向かう。
ロックはメイドに申し付け直ぐさまシドを呼び出した。
間もなくしてシドがやって来た。
「領主様、本日はどの様なご要件でしょうか?」
「調べてわかったんだが、この領地の生産量で今まで700人もの住人達はどうやって暮らしてきた?」
シドがうつ向く。
「それは……。」
「俺は全て把握しなくてはならない。知っている事を正直に話してくれ。」
ロックの言葉に、シドがポツポツと話し出した。
「人身売買ですよ……この街には1年に1度子買がやって来るんです。子供を売ってお金をもらう……それが当たり前の様に行われています……」
「子供を売るだと?!」
「はい……赤子なら見栄えが良ければ養子に、少女は貴族の慰みものに、売れ残れば奴隷でしょう。」
「そんな……」
思わず口をつく。
平和に見えた街だったのに……
そんな事が行われてたなんて。
中には貴族と一夜を共にしてお金を稼ぐ人も居るとか。
「そんな事普通じゃないだろう!」
こんなに怒ったロックは初めて見る。
そりゃそうだよね……
自分の子供を売るって、どんな気持ちなんだろう?
とにかくもうそんな事は止めさせないと!
要は自活出来ればいいんだから。
ロックは直ぐさま2年間の納税廃止と人身売買禁止のお触書を出した。
「後は仕事をあてがってやればいい。かすみ、明日から男性には荷馬車の手綱捌きと言葉使いを教えるよ。
女性陣は頼んだぜ!」
「大丈夫!もう調味料作り始めてるから!」
「そうか!荷馬車がもっと必要だな。」
「それはそうとシド、お前はどうやって暮らしていたんだ?」
「そ、それは……」
「税金の横領だな?こんな悲惨な現状に目をつぶって、税金でのうのうと生きているなんて恥を知れ!」
物腰柔らかな男性、そう思ってたのに。
人は外見じゃ分からないね?
シドを追い出したロックはふぅぅと大きなため息をついた。
「これで膿は全部でたのか?人間不信になりそうだ。」
ロックの背中をギュッと抱きしめる。
「ロックが居れば大丈夫!この街はきっと良くなるよ!」
「そう思うか?頼りにしてるぜ、かすみ!」
私は親指を立てて見せた。
またロックに優しい笑顔が戻っていた。
翌日、訓練に集まったのは100人程。
後は冒険者や老人、女子供みたい。
早速馬の扱い方を教える。
アンにも来てもらったから心強い!
皆んな一生懸命話に耳を傾ける。
アンがスラム街を立派な街に変えた事を話すと、皆んなの顔にも希望が湧いたように見えた。
「皆さん頑張ってね!」
「もう自分の子供売らなくても良いんだな……」
1人の男性がポツリと言った。
それに釣られるかのように皆んなが次々と涙をこぼしだした。
心残ってたんだね。
良かった。
一緒に頑張ろうね!




