33: 新たな気持ちで
昨日の夜は、何時までも辛さが消えなくてロックに抱かれたかった。
「ロック……めちゃくちゃにして……」
いつもより激しいロックに途中から意識を失ってしまったみたい。
部屋を出るとロックが朝食を作ってくれていた。
「おはよう……」
「おはよう!かすみ、よく眠れたか?」
「うん、ありがとうね。」
いつもと変わらない優しい笑顔。
ホッとする。
「愛してるよ、ロック。」
「俺もだよ。」
ロックはハムとレタスのサンドイッチを私に渡すと、甘い甘いキスをした。
お馴染みの朝、いつも通りの朝
昨日の出来事が嘘みたい。
まだ引きずってるなぁ……
それでも気持ち切り替えてやって行かなくちゃ!
ロックを送り出すと同時にエラさん達がやって来る。
「先生おはよう!」
アレクは今日も元気!
私も元気出さなくちゃね。
開業の札を出すと、みるみる患者さんで溢れかえる。
冬になると疫病が発生しやすい。
患者さん達に手洗いうがいを教えていく。
最近は貴族の往診注文が多く頭を悩ませる。
庶民が通う治癒院には来たくないみたい。
治癒院をエラさんにまかせ、貴族の往診に出向く。
大概、大した事ないからイラッとする。
往診を3件すませ治癒院にもどると床が血まみれになっている。
びっくりして慌てて中に入るとクマに襲われた患者さんが居るみたい。
患者さんは白い顔をして息も絶え絶えだった。
強力ポーションを飲ませる。
徐々に呼吸が整っていった。
「もう大丈夫!」
そう言うと、連れの仲間たちがホッとした顔をした。
「でもね、傷は治せても出血した血は元には戻らないの。当分安静にしてね?」
そういえば最近嫌がらせが無くなったみたい。
王家御用達の紋章付けたからかな?
何にせよいい事だね。
嫌がらせしてきた病院はいつの間にか王都から消えていたみたい。
陛下の仕業かな?
繁盛ぶりはそのせいかもね。
精一杯頑張らないとね!
昼過ぎ、そろそろスラム宅急便が来る頃かな?
急いでポーションを準備する。
騎士団にも卸す事になったのでその分も追加で作った。
今や宅急便は凄い勢いで利用されているみたい。
本当に良かった!
他に何かアイディアないかなぁ?
よく見る異世界物でガチャポンプとか水車とか作っちゃうシーン有るけど
あれ、絶対無理あるよね笑
私に出来るのは浄化と癒しだけだしね。
転移魔法も貰えば良かったと少し後悔する。
王都は栄えているとはいえ、下水等は1箇所にまとめて処理するだけ。
疫病はそこから発生するに違いない。
何かいい方法はないかと頭を抱える。
浄化魔法を付与出来ないのかな?
白いタイルに魔法を流し込んでみる。
実験的にタイルを何枚か貼ってみる事にした。
立ち込めていた悪臭が消えていく。
まあまあかな?
タイルを大量に用意して下水に貼っていく。
これは、私がボランティアでやってる事。
疫病防げると良いなぁ!
いい事すると気分がいいよね♪
午後もそつ無く患者さんを診ていく。
開業して早くも4ヶ月になろうとしている。
エラさんのお腹も大分大きくなってきた。
冬を越した頃に出産かな?
一応、緊急事態のために帝王切開の準備もして置かなくちゃね。
傷はポーションで塞がるからと言っても、痛みはどうしようも無い。
麻酔って作れないかな…
そうこうしてるうちに、スラム宅急便が来る。
「こんにちは!」
アンは今日も元気一杯だね。
「今日は、騎士団とシフォンギルドの2箇所お願いね!」
そう言って銀貨2枚を渡す。
「宅急便、評判いいみたいね?」
「お陰様で!人手が足りないくらいですよ笑」
アンはニッコリ笑った。
安全、迅速、丁寧はしっかりと教えてある。
楽しく働いて自活できているなら何よりだね。
夕方になって患者さんも途切れた。
私は何時ものように、ロックを待つ。




