30: 嫌がらせ
治癒院を開業してから2週間。
安いし完璧に治るという話は王都に知れ渡って行った。
「先生おはよう!」「おはようございます!」
今日もエラさんとアレクが元気に出勤する。
私はエラさんに簡単な治療を任せて、昼食と夕食の作り置きをしてアイテムボックスへ。
お風呂も沸かして準備はばっちり!
さっそく治癒院へ。
そこには困り顔のエラさんが居た。
「どうしたの?」
私が聞くと、エラさんはため息をつきながら治療費を払わない人達が居ると答えた。
「俺たち金がねーんだよ!ここは貧しい患者からは金とらねーんだろ?」
男達はニヤニヤ笑った。
来たか。嫌がらせ。
そろそろ来るんじゃないかと思っていたけどね。
意外と早かったな。
男達は、大声で周りの患者さんに「ここはタダだってよ!金はいらない治癒院だ!良かったな!」
と触れ回っている。
そう来るなら良いじゃない?
無料診察しようじゃないの!
そう思った瞬間、エラさんがモップを振り上げた。
「怪我を元に戻してやろうかしら!」
妊婦のまさかの攻撃に男達はたじろいで逃げていく。
かっこよ……♡
その姿に見惚れてしまった。
母は強し、だね笑
その日も沢山の患者さんを必死でさばく。
アレクにオムライスを食べさせ、私達も交互に食べる。
午後になると、貴族丸出しの太ったオジサンが来た。
「痩せさせてくれ。ここは何でも治すんだったな?」
また無茶なことを言って……
「ついでに若返りたい。」
「ここは治癒院で魔法使いはいませんよ?」
そう言うと太ったオジサンは顔を真っ赤にして怒り出した。
「治せないなら慰謝料を請求する!」
「食事を見直して運動すれば両方叶いますよ?」
エラさんがキッパリと言う。
「覚えておけよ!」
そう言うとデブゴンは去っていった。
「先生、最近タチの悪い人増えてますね……」
「多分、病院からの嫌がらせだね。」
私は、フゥとため息をつく。
証拠が無いからどうにも出来ない。
私が魔女だとか、そんな噂もあるみたい。
「警備員、置きますか?」
真面目な顔でエラさんが言う。
何でも従兄弟が元騎士団で、怪我を理由に引退しているらしい。
「怪我や後遺症ならポーションで治せるからね。
アレクの遊び相手にもなるし、採用で!」
そう言うと、エラさんの顔がパァっと明るくなった。
「明日一緒に連れてきますね!」
これで、屈強な輩がきても安心だね。
銀貨15枚で来てもらえる事に。
「そんなに安くていいのかな?」
先ずは様子見て決め直そう。
エラさんも給料アップしたからね。
閉業して、ロックを待つ。
この瞬間が割と好きだったりする。
「ただいま!」「おかえり!ロック」
優しくキスをする。
私達は一緒にお風呂に入りながら1日の出来事を話すのが日課。
今日あった事や、警備員の事を話す。
「いずれ嫌がらせはあると思ったけど早かったな?」
ロックが言う。
「私、魔女だって……」
「ふざけんなって感じだよな!」
ロックも怒り心頭な様子。
「警備員置くのは良い考えだけど、浮気すんなよ?」
「ヤキモチやきさん、安心して?ロックだけだから。」
そう言うとロックのスイッチが入ってしまった。
はい、寝室行き。
まだ髪も乾かして無いのにぃ……




