## 番外編 「同棲バカップル日常記録」
## 番外編 「同棲バカップル日常記録」
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朝。
陽太は目覚ましより先に、ある音で起きる。
――カシャッ。
カシャッ、カシャッ。
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嫌な予感しかしない。
ゆっくり目を開けると、スマホを構えた牧原りさが、至近距離にいた。
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「何してんだよ」
「朝の陽太保存してる」
「やめろ」
即答だった。
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りさは悪びれもせずに言う。
「だって毎朝違う顔するじゃん」
「人間だからな」
「だから記録するの」
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(理屈がバグってる)
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キッチン。
陽太がパンを焼こうとすると、後ろから抱きつかれる。
もはやデフォルト。
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「離れろ、危ない」
「危なくない」
「トースターあるだろ」
「陽太が一番危ない」
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意味が分からない。
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「なんで俺が危険物扱いなんだよ」
りさは真顔で言う。
「油断するとどっか行きそうだから」
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(信用がないのか執着なのか判断できない)
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朝食。
陽太が座ると、りさが向かいじゃなくて“横”に座る。
距離ゼロ。
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「食べにくいんだけど」
「じゃあ私も食べる」
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同時にフォークが伸びる。
同じ皿。
結果、ぶつかる。
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「痛い」
「それ私のセリフ」
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昼。
陽太が仕事(学校)に行こうとすると、玄関でりさが待っている。
当然のように。
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「どこ行くの?」
「仕事」
「何時に帰る?」
「普通の時間」
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りさは少し考えて言う。
「普通って信用できない」
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(何を信用して生きてるんだこいつは)
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夜。
帰宅。
ドアを開けた瞬間。
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「おかえり」
即。
0秒。
待機してたレベル。
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「早くない?」
「待ってたから」
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リビング。
陽太がソファに座ると、りさが膝に乗る。
当然のように。
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「重い」
「愛の重さ」
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「物理的だろ」
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りさはスマホを見ながら言う。
「今日の陽太評価」
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「まだやってんのかそれ」
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「100%」
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「基準低いな」
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りさは真顔。
「今日は普通に息してたから」
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夜。
テレビを見る二人。
陽太は途中で眠くなる。
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その瞬間。
りさが小声で言う。
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「ねえ」
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「ん……」
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「寝る前の陽太、好き」
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「全部じゃねえか……」
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翌朝。
陽太が起きると、冷蔵庫に貼り紙。
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『陽太へ
今日は“逃げ禁止デー”です』
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「何の制度だよ」
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さらに下に小さく書かれている。
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『逃げても追いかけます(確定)』
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陽太はため息をつく。
でも、顔は笑っている。
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(もう逃げるとかじゃないな)
(最初から捕まってる)
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玄関。
りさが靴を履きながら言う。
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「ねえ陽太」
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「ん」
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「一緒にいるの、飽きないね」
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陽太は即答する。
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「お前が飽きないからな」
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りさは満足そうに笑う。
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「合格」
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## 終
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