--- ## 番外編 「重すぎる彼女と普通に生きたい彼氏」
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## 番外編 「重すぎる彼女と普通に生きたい彼氏」
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朝。
陽太は目を開けた瞬間、嫌な予感がした。
理由は単純だ。
隣に、りさが“起きてる顔”でこっちを見ているから。
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「おはよ」
「……朝から圧が強いんだけど」
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りさはにっこり笑う。
「だって、起きた瞬間の陽太見ないと1日始まらないじゃん」
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(重い)
(でも慣れた)
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キッチン。
陽太がコーヒーを飲んでいると、りさが後ろから抱きつく。
当然のように。
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「ちょっと離れろ」
「やだ」
即答。
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「理由は?」
「今、充電中」
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「何の」
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「陽太成分」
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陽太はコーヒーを一口飲む。
もうツッコむのも面倒になってきている。
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学校帰り(または仕事帰り)。
駅の前。
りさが急に止まる。
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「ねえ陽太」
「ん?」
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「今日さ、私のこと好き?」
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(またか)
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陽太はため息をつく。
「朝言っただろ」
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「それは朝の話でしょ」
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「じゃあ今は?」
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陽太は少し考えてから言う。
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「普通」
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その瞬間。
りさの目が細くなる。
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「普通?」
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空気が変わる。
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陽太は一歩下がる。
「いや、普通っていい意味の——」
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りさは一歩詰める。
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「普通って何?」
「好きの中でどの位置?」
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(やばい)
(理論攻め入ってきた)
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結局その日。
陽太は駅前で10分以上「普通の定義」を説明することになる。
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夜。
家。
テレビを見ている陽太の肩に、りさが頭を乗せる。
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「ねえ」
「ん」
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「今日さ」
「うん」
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「普通って言ったけど」
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少し間。
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「嬉しかった」
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陽太は少しだけ驚く。
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「は?」
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りさは笑う。
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「だってさ」
「“好き”よりちゃんと日常っぽいじゃん」
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(この女、感情の解釈がバグってる)
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翌朝。
陽太が起きると、りさが枕元にメモを置いている。
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『陽太へ
今日は“好き強めの日”です
覚悟してください』
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(何の宣言だ)
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昼。
会社(学校)帰り。
りさが待ち伏せしている。
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「今日の好き、どう?」
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「まだ評価制なのかよ」
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「うん、日替わり制」
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夜。
陽太がソファで寝落ちしかけると、りさが顔をのぞき込む。
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「ねえ」
「ん……」
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「今、何%?」
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「何が」
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「好き」
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陽太は目を閉じたまま答える。
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「100でいいだろ……」
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りさは一瞬固まる。
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そして小さく言う。
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「……ずるい」
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翌日。
陽太のスマホに通知。
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『本日のりさ評価:120%に更新されました』
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(もう数値化するな)
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でも陽太は気づく。
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この“重い甘さ”が、
昔のどの選択よりも安心できることに。
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りさは横で言う。
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「ねえ陽太」
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「ん」
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「逃げないでよ?」
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陽太は笑う。
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「もう逃げる理由がない」
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りさは満足そうにうなずく。
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「よし」
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「じゃあ一生甘やかすね」
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## 終
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