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マンションごと転生したけど、住人仲が悪いから協力できるか微妙  作者: 花房ジュリー
第六章 戦争勃発!旦那様は香辛料をご所望
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戦争勃発

その翌日、ジャスミンは久々に厨房に立っていた。作っているのは、焼きおにぎりだ。昨夜の居酒屋メニューに触発され、早速挑戦したくなったのである。


米にふんだんにペッパーをまぶし、よく混ぜてから握る。これらを十個ほど作って油で焼き、醤油もどきを塗ってさらに焼き色を付ける。これが成功すれば、肉や卵などの具材を仕込んでもよいな、とジャスミンは思った。


‘ロラン様がお帰りになったら、召し上がっていただくために……’


程よい焼き色になったところで、ジャスミンは火を消した。だが、ウードたちを呼んで試食してもらおうかと思ったその時。ゴーチェが厨房へ走り込んできた。何やら、深刻な表情だ。


「奥様。旦那様より、早馬にてお手紙が参りました!」


「貸してちょうだい!」

 

ジャスミンは、手紙をひったくった。早馬だなんて、ただごとでは無い。無性に嫌な予感がする。


案の定と言うべきか、手紙からは挨拶文が省かれていた。端的に、用件だけが綴られている。


‘ジャスミン、落ち着いて聞いて欲しい。ダールヴィランドはソイザウルクアと手を組み、我が国に宣戦布告した。今セルフォシアには、未だかつて見ない量の魔物が放たれている。やはり今回の魔物侵入は、ダールヴィランドによる意図的なものだったのだ。これまでも、恐らくそうだろう。魔物討伐のたびに各地の領主を招集していては、国は疲弊する。ダールヴィランドは、少しずつ我が国を弱体化させるつもりだったのだ’


ソイザウルクアというのは、同じくセルフォシアの近隣国だ。以前からダールヴィランドとは親密な様子だったが、まさか結託して敵に回るとは。目当ては恐らく石炭だろうな、とジャスミンは思った。サロー領を筆頭に、セルフォシア国内には、多くの炭鉱がある。これは、ジャスミンが勉強して学んだことだ。


‘今私は、最前線で戦っている。とはいえ、案ずるな。必ずや無事で戻るので、それまで領地をしっかり守っていて欲しい’


ジャスミンは、拳をぐっと握りしめた。ロランのために、しっかりと留守を守ろう。勢い込んで手紙の続きを読み始めたジャスミンだったが、そこには意外な言葉が綴られていた。


‘ついては、君がお守りとしてくれた布袋の中の香辛料。急ぎ、追加で送ってくれないか。いちいち布袋に詰めずともよいので、できるだけ多くの量を頼む’


はて、とジャスミンは首をかしげた。ロランは、お守りに頼るようなタイプとは思えないが。それに、頼るとしても、なぜ袋詰めしなくていいなんて言うのだろう。


‘よくわからないけど、必要ならお届けするしかないわ!’


ジャスミンは、すぐに収納庫を開けた。だが、アミュレの残りはごく少量だった。元々多く仕入れたわけではないからだ。


ジャスミンは、ゴーチェに命じた。


「この香辛料を、急いでロラン様にお届けしないといけないの。とりあえず今ある分を、早馬にて届けて差し上げて。それから、すぐに馬車を出してちょうだい。ジレット家へ向かうわ!」


「承知しました!」


ゴーチェは、真面目な表情で答えた。

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