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第76話 もう一度、デート

 翌週。


 昼休み。


 直人は一人で学食へ向かっていた。


「なおくん」


 聞き慣れた優しい声。


 振り向くと。


 レナがトレーを持って立っていた。


「隣いい?」


「ああ」


 二人は向かい合って座る。


「いただきます」


「いただきます」


 食べ始めると。


 レナがふと笑った。


「この前のお店」


「美味しかったね」


「ああ」


「また行きたいな」


「私も」


 自然と笑い合う。


 少し沈黙が流れる。


 その沈黙さえ心地良かった。


 直人は箸を置いた。


「レナ」


「ん?」


「今度の土曜日」


「時間あるか?」


 レナは少し驚いたように目を瞬かせる。


「あるけど」


「どうしたの?」


「映画でも行かない?」


「映画?」


「ああ」


「この前は飲みに行っただろ」


「今度は昼からゆっくり遊ぼうかなって」


 レナは少しだけ俯く。


 頬がほんのり赤くなっていた。


「うん」


「行きたい」


 その返事に。


 直人も自然と笑顔になる。


「じゃあ決まりだな」


「楽しみ」


 昼休み終了のチャイムが鳴る。


 二人は席を立った。


「また土曜日ね」


「ああ」


 レナは教室へ向かいながら。


 自然と頬が緩んでいた。


(またなおくんと……)


(デートだ)


 自分でそう思ってしまい。


 少しだけ照れて笑う。


     ◇


 土曜日。


 午前十時。


 駅前。


 直人が待ち合わせ場所へ着くと。


「なおくん!」


 レナが笑顔で駆け寄ってきた。


「お待たせ」


「いや」


「俺も今来たところ」


 今日のレナは。


 淡いベージュのニットに。


 白いロングスカート。


 柔らかな雰囲気がよく似合っていた。


「どうしたの?」


「え?」


「なんか見てる」


「あ……」


 直人は少し照れながら笑う。


「今日も」


「似合ってる」


 一瞬。


 レナの動きが止まる。


「ありがとう」


 嬉しそうに微笑む。


「なおくんも」


「似合ってるよ」


「ありがとう」


 二人は並んで歩き始めた。


 映画館へ向かう途中。


 レナがクスッと笑う。


「なんか」


「前も服褒めてもらったね」


「ああ」


「本当のことだから」


 その一言に。


 レナの胸が少し高鳴る。


 映画館へ到着し。


 チケットを受け取る。


「ポップコーンどうする?」


 直人が聞く。


「食べたい」


「塩?」


「キャラメルも好き」


「じゃあ半分ずつにするか」


「うん!」


 飲み物も買い。


 二人はスクリーンへ入った。


 上映が始まる。


 笑える場面では。


 二人とも自然に笑った。


 途中。


 ポップコーンを取ろうとして。


 二人の手が触れる。


「あっ」


「ご、ごめん」


「いや」


 少しだけ照れながら。


 二人とも笑う。


 映画は終盤へ。


 主人公が幼なじみへ想いを伝える場面。


 レナは思わず涙ぐんでいた。


 上映終了。


 館内が明るくなる。


「どうだった?」


 直人が聞く。


「すごく良かった」


 レナは目元を拭きながら笑う。


「最後」


「泣いちゃった」


「俺も少しきたな」


「なおくんも?」


「ああ」


 レナは嬉しそうに笑う。


「一緒だね」


 二人は映画館を出る。


 昼の日差しが心地よかった。


「お腹空いたな」


「そうだね」


「この前は居酒屋だったし」


「今日はイタリアンでも行くか」


「うん!」


 レナは笑顔で頷いた。


 映画の余韻を胸に。


 二人はゆっくりとレストランへ向かって歩き始めた。

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