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第69話 待ち合わせ

 土曜日。


 午後五時五十分。


 駅前。


 直人は待ち合わせ場所へ着いていた。


「少し早かったかな」


 そう呟いた、その時だった。


「なおくん!」


 振り向く。


 レナが小走りで近付いてきた。


「ごめん!」


「待った?」


「いや」


 直人は笑う。


「俺も今来たところ」


「よかった」


 レナはホッと胸を撫で下ろした。


 今日のレナは。


 大学とは違う私服だった。


 白いニット。


 ロングスカート。


 落ち着いた大人っぽい雰囲気。


 直人は思わず見とれてしまう。


「どうしたの?」


 レナが首を傾げる。


「あ……」


「いや」


「その服」


「似合ってる」


 一瞬。


 レナの動きが止まった。


「えっ……」


 少しずつ。


 頬が赤くなっていく。


「あ、ありがとう」


 照れ隠しに髪を耳へかける。


「なおくんも」


「その服似合ってるよ」


「この前一緒に選んだからな」


 直人が笑う。


 レナもつられて笑った。


「そうだったね」


 二人は並んで歩き始める。


 駅前は休日らしく賑わっていた。


「お店予約してるの?」


 レナが聞く。


「ああ」


「個室の居酒屋」


「そうなんだ」


 レナは少し嬉しそうに笑う。


「なんか」


「デートみたい」


 言ってから。


 ハッとする。


「あっ……」


「ご、ごめん!」


「変なこと言った!」


 慌てるレナ。


 直人は少し照れながら笑う。


「そうだな」


「……そうかもな」


「えっ?」


 レナは思わず直人を見る。


 直人は前を向いたままだった。


 けれど。


 耳が少し赤くなっていた。


(なおくん……)


 胸がまた高鳴る。


 少し歩くと。


 目的の店へ到着した。


「予約していた東條です」


「お待ちしておりました」


 店員に案内され。


 二人は個室へ入る。


「落ち着くね」


「ああ」


 向かい合って座る。


 メニューを開く。


「何飲む?」


 直人が聞く。


 レナは少し悩んでから笑った。


「今日は」


「なおくんのおすすめにする」


 その言葉に。


 直人も自然と笑顔になった。

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