第65話 初めてのバー
翌日。
午後七時。
直人。
結衣。
葵。
栞。
レナの五人はバーへやって来た。
カラン。
ドアベルが鳴る。
「いらっしゃい」
店長が笑顔で迎えた。
「ああ、直人」
「個室準備できてるぞ」
「ありがとうございます」
レナは店内を見回した。
落ち着いた照明。
静かな音楽。
思っていたバーとは少し違う。
「おしゃれ……」
思わず声が漏れた。
「でしょ!」
結衣が得意そうに笑う。
「料理も美味しいんですよ!」
「個室も広いしね」
葵も笑う。
その時だった。
「あら?」
カウンター席から女性が振り向く。
美月だった。
「直人くんじゃない」
「今日はお休み?」
「はい」
直人が笑って答える。
美月は四人へ視線を向ける。
そして。
レナで止まった。
「あら?」
「この子は初めてね?」
レナは軽く頭を下げる。
「初めまして」
「レナです」
「初めまして」
美月は優しく微笑んだ。
少し考えて。
「あっ」
「もしかして」
「この前アフターで話してた子かしら?」
一瞬。
空気が止まる。
「アフター!?」
結衣が叫んだ。
レナも目を丸くする。
直人は苦笑する。
「誤解する言い方やめてください」
「え?」
美月は首を傾げた。
「ラーメン食べに行っただけじゃない」
「なーんだ」
結衣がホッと胸を撫で下ろす。
その直後。
「腕は組んだけど」
「えぇぇぇぇぇっ!?」
結衣が再び叫ぶ。
葵が思わず吹き出した。
「二段オチだね」
栞も小さく笑う。
レナは直人を見る。
「本当?」
「勝手に組まれただけ」
直人はため息交じりに答えた。
「またまた」
美月は楽しそうに笑う。
「可愛かったわよ」
「もう……」
直人は苦笑するしかなかった。
店長も笑いながら声を掛ける。
「直人」
「今日は客なんだから楽しんでこい」
「はい」
五人は個室へ向かう。
初めて訪れたレナは。
まだ知らなかった。
この夜。
直人の新しい一面を見ることになるとは。




