第64話 また歌いたい!
昼休み。
学食。
直人。
結衣。
葵。
栞。
レナの五人が昼食を囲んでいた。
「そういえば!」
結衣が突然顔を上げる。
「先輩!」
「ん?」
「また歌いたいです!」
直人は苦笑する。
「この前、学祭で歌ったばかりだろ」
「足りません!」
結衣は即答だった。
「もっと歌いたいです!」
葵が笑う。
「本当に好きだね」
「もちろんです!」
結衣は胸を張る。
「じゃあ!」
ビシッと直人を指差す。
「先輩のバイト先行きましょう!」
「ああ」
直人は頷く。
「そういえば最近行ってないね」
葵も笑った。
栞も頷く。
「私も行きたいです」
その時だった。
レナが首を傾げる。
「バイト先?」
結衣が固まる。
「あっ!」
「レナさん!」
「知らなかったんですか?」
「うん」
レナは直人を見る。
「東條くん」
「何のバイトしてるの?」
「バー」
「バー?」
「カラオケ付きの個室が三つある店だ」
レナは少し目を丸くした。
「そんなバーあるんだ」
「ああ」
「初めて聞いた」
結衣が笑顔になる。
「料理も美味しいですよ!」
葵も頷く。
「個室も落ち着くよ」
栞も小さく微笑んだ。
「また行きたいです」
レナは四人の顔を見る。
「そんなにいいお店なんだ」
「はい!」
結衣は元気よく頷く。
「絶対気に入ります!」
レナは少し考えてから。
「私も」
「行ってみたい」
直人はスマホを取り出した。
「明日休みだから」
「予約しとく」
「今ですか?」
結衣が目を丸くする。
「ああ」
店長へ電話をかける。
『もしもし』
「お疲れ様です」
「明日の夜なんですけど」
「個室一つ空いてますか?」
『空いてるぞ』
『何人だ?』
「五人です」
『問題ない』
『予約入れとく』
「ありがとうございます」
電話を切る。
「取れた」
「やったぁーー!」
結衣が両手を上げて喜ぶ。
「楽しみ!」
葵も笑顔になる。
「久しぶりだから楽しみ」
栞も頷いた。
「楽しみです」
レナも自然と笑顔になった。
「初めてだから」
「楽しみ」
直人はスマホをしまう。
「じゃあ」
「明日の夜七時な」
「はーい!」
結衣の元気な返事に。
みんなも笑顔で頷いた。
明日の夜。
レナは初めて。
直人のバイト先を訪れることになる。




