第52話 お誘い
学祭から数日後。
夜。
直人は自室にいた。
机の前。
スマホを見る。
ラブステータス。
━━━━━━━━━━━━
東條直人
総合ランク:C
━━━━━━━━━━━━
運動能力 B
頭脳 C
センス C
ルックス C
経済力 C
━━━━━━━━━━━━
変わらない。
「上がらないな」
学祭。
ライブ。
未来の彼氏騒動。
色々あった。
だが。
結果は変化なし。
「そんなもんか」
その時だった。
スマホが震える。
LINE。
珍しい相手だった。
━━━━━━━━━━━━
雨宮栞
━━━━━━━━━━━━
直人は少し驚く。
栞から連絡が来ること自体が珍しい。
開く。
━━━━━━━━━━━━
私もデートしたいです
━━━━━━━━━━━━
「は?」
思わず声が出た。
数秒。
画面を見る。
意味は分かる。
分かるが。
突然だった。
━━━━━━━━━━━━
デート?
━━━━━━━━━━━━
送信。
すぐ既読が付く。
だが。
返事は来ない。
一分。
二分。
三分。
そして。
━━━━━━━━━━━━
はい
━━━━━━━━━━━━
「長いな」
何故そこで考えたのか。
分からなかった。
━━━━━━━━━━━━
どこ行くんだ?
━━━━━━━━━━━━
送信。
既読。
また止まる。
そして。
━━━━━━━━━━━━
分かりません
━━━━━━━━━━━━
「分からないのか」
誘った本人だった。
━━━━━━━━━━━━
誘ったのはお前だろ
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
はい
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
行きたい場所は?
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
ないです
━━━━━━━━━━━━
「ないのか」
本当にないらしい。
直人は少し考える。
そして。
━━━━━━━━━━━━
動物園とか?
━━━━━━━━━━━━
送信。
既読。
今度は早かった。
━━━━━━━━━━━━
行きたいです
━━━━━━━━━━━━
「そこは早いんだな」
思わず笑った。
━━━━━━━━━━━━
動物好きなのか?
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
好きです
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
人より話しやすいです
━━━━━━━━━━━━
少しだけ。
想像できた。
何となくだが。
凄く想像できた。
━━━━━━━━━━━━
じゃあ今度の土曜な
━━━━━━━━━━━━
既読。
数秒。
そして。
━━━━━━━━━━━━
ありがとうございます
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
楽しみです
━━━━━━━━━━━━
直人は画面を見る。
少し驚いた。
栞が。
楽しみです。
そう送ってきたからだ。
さらに。
メッセージが届く。
━━━━━━━━━━━━
内緒でお願いします
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
恥ずかしいので
━━━━━━━━━━━━
直人は少し笑う。
━━━━━━━━━━━━
分かった
━━━━━━━━━━━━
返信する。
すぐ既読が付いた。
そして。
━━━━━━━━━━━━
ありがとうございます
━━━━━━━━━━━━
それだけだった。
会話は終わる。
だが。
直人はしばらく画面を見ていた。
雨宮栞。
静かで。
本ばかり読んでいて。
何を考えているか分かりにくい。
そんな彼女が。
自分から。
デートに誘ってきた。
「意外だな」
小さく呟く。
その時。
再びスマホが震えた。
━━━━━━━━━━━━
雨宮栞
━━━━━━━━━━━━
直人は少し驚く。
開く。
━━━━━━━━━━━━
おやすみなさい
━━━━━━━━━━━━
短い一文。
だが。
何故か少しだけ。
嬉しそうな雰囲気が伝わってきた。
直人は苦笑する。
━━━━━━━━━━━━
おやすみ
━━━━━━━━━━━━
送信。
すぐ既読。
返信は来なかった。
たぶん。
もう寝るのだろう。
直人はスマホを置く。
そして。
少しだけ思った。
動物園。
案外。
面白いかもしれないと。




