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第41話 それデートです!

 月曜日。


 昼休み。


 直人が学食へ向かうと。


 すでに陽菜がいた。


「おはよう」


「昼だぞ」


「細かいことは気にしない」


 陽菜は笑う。


 いつも通りだった。


 昨日。


 水族館へ行った人間とは思えない。


 すると。


「先輩ー!」


 元気な声。


 音羽結衣だった。


 トレーを持って近付いてくる。


「聞いてください!」


「嫌な予感しかしない」


「酷いです!」


 だが。


 結衣は気にしない。


 いつものことだった。


 席へ座る。


 そして。


「先輩!」


「何だ」


「昨日何してました!?」


 来た。


「別に」


「怪しいです!」


「怪しくない」


「怪しいです!」


 結衣がじーっと見てくる。


 その時だった。


「昨日楽しかったね」


 陽菜だった。


 直人は固まる。


 結衣も固まる。


 数秒。


 沈黙。


「昨日?」


 結衣が聞く。


「うん」


 陽菜は頷く。


「水族館」


 結衣が停止した。


「……水族館?」


「うん」


「誰と?」


 陽菜は不思議そうな顔をする。


「東條くんと」


 学食の空気が止まった気がした。


 直人は天井を見た。


 逃げたかった。


「二人で?」


「二人で」


 即答だった。


 結衣の目が見開く。


「え?」


 陽菜は続ける。


「楽しかったよ」


「え?」


「ご飯も美味しかったし」


「え?」


「カクテルも飲んだし」


「え?」


「部屋でコーヒーも飲んだし」


 机を叩く音が響いた。


「それデートです!!」


 学食中に聞こえそうな声だった。


「違う」


「違うよ」


 二人同時だった。


「違いません!!」


 結衣は立ち上がる。


「水族館!」


 バン!


「ご飯!」


 バン!


「お酒!」


 バン!


「部屋!」


 バン!


「全部です!!」


 周囲の視線が痛い。


「落ち着け」


「無理です!」


 結衣は直人を指差す。


「先輩!」


「何だ」


「私ともデートしてください!」


 今度は直人が止まった。


「デートじゃない」


「じゃあ私とも行きましょう!」


「ライブ見に行っただろ」


 即答だった。


 結衣が固まる。


「それはライブです」


「その後飯も食った」


「打ち上げです」


「カラオケも行った」


「練習です」


 全部返された。


「水族館行ってません!」


 結衣が叫ぶ。


「お酒飲んでません!」


 さらに叫ぶ。


「部屋行ってません!」


 もっと叫ぶ。


 学食が静かだった。


 陽菜が吹き出す。


「確かに」


「笑い事じゃないです!」


 結衣は本気だった。


「先輩!」


「何だ」


「今度の日曜空いてますか!?」


「聞くな」


「空いてますか!?」


「知らん」


「空いてますね!」


 勝手に決まった。


 陽菜が笑う。


「頑張って」


「何をだ」


「色々」


 嫌な予感しかしなかった。


 その時。


 スマホが鳴る。


 雨宮栞だった。


━━━━━━━━━━━━


デートとは


━━━━━━━━━━━━


 吹き出しそうになった。


 さらに続く。


━━━━━━━━━━━━


水族館


━━━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━━━


ご飯


━━━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━━━


お酒


━━━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━━━


部屋


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━━━━━━━━━━━━


デートだと思います


━━━━━━━━━━━━


 直人はスマホを閉じた。


 味方がいなかった。

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