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第4話 変化

 運動を始めて三週間。


 最初は二十分走るだけで息が切れていた。


 今では四十分くらいなら普通に走れる。


 人間、慣れるものらしい。


『運動能力の向上を確認しました』


 通知が表示される。


 慌ててラブステータスを開いた。


━━━━━━━━━━━━


東條直人


総合ランク:F


━━━━━━━━━━━━


運動能力 E


頭脳   D


センス  F


ルックス E


経済力  F


━━━━━━━━━━━━


「おっ!」


 思わず声が出た。


 初めてランクが上がった。


 たった一段階。


 それでも嬉しい。


「やれば上がるんだな」


 当たり前のことなのに少し感動する。


 俺は洗面所へ向かった。


 鏡を見る。


 何となく。


 本当に何となくだけど。


「あれ?」


 顔が少しスッキリした気がする。


 気のせいかもしれない。


 でも。


 前よりはマシだ。


「そういえば」


 前髪が目にかかっていた。


 大学に入ってから適当に切っていた気がする。


「髪も切るか」


◇◇◇


「今日はどうします?」


 美容室。


 正直苦手な場所だ。


 美容師のお姉さんが眩しい。


「えっと……おすすめで」


 我ながら情けない。


 美容師さんは笑顔で頷いた。


「じゃあ顔型に合う感じでやってみますね」


 三十分後。


「どうです?」


「おお……」


 鏡を見る。


 別人ではない。


 だが。


 確実に前より良い。


「そこそこいけるやん」


 思わず本音が漏れた。


「ありがとうございます」


 美容師さんが笑った。


 少し恥ずかしい。


◇◇◇


 帰宅後。


 何となくラブステータスを開く。


 変わるわけがない。


 そう思っていた。


━━━━━━━━━━━━


東條直人


総合ランク:F


━━━━━━━━━━━━


運動能力 E


頭脳   D


センス  F


ルックス D


経済力  F


━━━━━━━━━━━━


「えっ?」


 思わず二度見した。


 ルックスが上がっている。


「マジか」


 髪切っただけだぞ?


『身だしなみの改善を確認しました』


『ルックス評価へ反映されます』


 そんな説明が表示される。


「そこも見てるのか……」


 恐るべしラブステータス。


 すると別の通知が表示された。


『おすすめアプリがあります』


『AIコーディネート』


「なんだこれ」


 興味本位で開く。


『利用者情報を解析しました』


『おすすめコーディネートを表示します』


 目の前に服装が並んだ。


 全身コーデ。


 靴。


 腕時計。


 バッグ。


 全部。


「すげえ……」


 いや。


 今の時代なら普通なのかもしれない。


 でも俺は初めて見た。


『現在の東條直人様との相性』


『92%』


「高っ!」


 しかも値段も表示されている。


 大学生でも手が届く範囲だ。


「……服も変えてみるか」


 どうせなら。


 やれることは全部やってみよう。


 そう思った。


 その時の俺はまだ知らない。


 服を変えた翌週。


 大学で初めて女子から話しかけられることになるなんて。

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