第24話 人気者
「おはよう」
「おはよう」
朝ランニング。
気付けば毎日一緒に走るようになっていた。
最初は挨拶だけ。
今は普通に会話もする。
不思議なものだ。
「そういえば」
走りながら葵が言う。
「東條くんってさ」
「ん?」
「友達少ないよね」
失礼だと思う。
「少ないけど」
「やっぱり」
なぜか納得された。
大学。
昼休み。
俺は佐藤達と学食にいた。
「東條」
佐藤が真顔だった。
「何だよ」
「お前」
「うん」
「朝比奈さんと毎日朝飯食ってるって本当?」
危うく味噌汁を吹きそうになった。
「何で知ってるんだ」
「有名だから」
意味が分からない。
「朝比奈さんだぞ?」
「朝比奈だけど」
「だから」
佐藤が頭を抱える。
「分かってねえ」
「何が」
「朝比奈葵」
佐藤が言う。
「陸上部エース」
「へぇ」
「学内有名人」
「へぇ」
「普通に人気あるぞ」
「そうなんだ」
本当に知らなかった。
朝走る人。
その認識しかない。
「お前知らないのか?」
「何を?」
「学内ミスコン候補」
「ミスコン?」
「知らないのか」
知らない。
本当に知らない。
「美人ランキング」
佐藤がスマホを見せる。
そこには。
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大学ミスコン予想
第三位
朝比奈葵
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写真付きだった。
「へぇ」
「へぇじゃねえ!」
なぜ怒られるのか分からない。
「普通に人気あるんだぞ」
「そうなんだ」
「告白された回数知ってるか?」
「知らない」
「二桁超えてる」
「マジか」
それは少し驚いた。
だが。
言われてみればそうかもしれない。
明るい。
話しやすい。
可愛い。
スタイルもいい。
人気がない方がおかしい。
「東條くん」
その時だった。
本人が現れた。
朝比奈葵。
「お」
軽く手を上げる。
すると。
周囲が静かになった。
なぜだ。
「今日走る?」
「走る」
「じゃあいつもの時間ね」
「了解」
それだけ。
本当にそれだけ。
だが。
周囲は固まっていた。
葵が去った後。
「お前ら何なの?」
佐藤が聞いてきた。
「何が」
「付き合ってるの?」
「違う」
「絶対?」
「絶対」
即答だった。
「朝比奈さんは?」
「友達」
「向こうは?」
「友達だろ」
佐藤は頭を抱えた。
「お前なぁ……」
何なんだろう。
本当に。
その日の夕方。
BAR Moonlight。
「東條」
店長が笑っていた。
「はい」
「青春してるな」
「してません」
「してる」
「してません」
「してる」
店長は譲らなかった。
帰宅後。
ラブステータスを開く。
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東條直人
総合ランク:C
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運動能力 C
頭脳 C
センス D
ルックス C
経済力 D
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「経済力も上がってるな」
思わず呟く。
引越しバイト。
バーのバイト。
収入自体は少しずつ増えている。
最近は無駄遣いも減った。
服を買った時はかなり痛かったが。
それでも以前より貯金は増えている。
『経済力を再評価しました』
ラブステータスが表示する。
「そこまで見てるのか」
少し怖い。
だが。
確かに間違ってはいない。
数か月前の俺より。
今の俺の方がお金を持っている。
そして。
総合ランクもCになった。
以前なら想像もできなかった。
その時。
新しい通知が表示される。
『新しいマッチング候補が表示されました』
総合C。
世界はまた広がっている。
だけど。
最近は。
少しだけ。
ラブステータスを見る時間が減っていた。




