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魔族の罠。暗雲立ち込める山奥に眠る「常闇の古代遺跡」クエスト。『暁の旅団』大ピンチ?!

今回はいかにも怪しいクエストです。無事に帰ってきてくれると・・・よいのですが。

大きなトラブルもなく、カルラをパーテイー登録できた一行。

ギルドを出ようとすると、ギルドマスターからお声がかかる。

「ちょっと来てくれ」

ギルドマスターが言いにくそうに話し始める。


「実は、お前ら指名でクエスト依頼が来ているんだが・・・。その、場所がな。

瘴気の森の奥にある古代遺跡の魔物討伐なんだよ・・・。

依頼主は、貴族様なんだが様子がおかしくてな。依頼を出したあと病に臥せってるっていうし。

どうするよ。金額はわるくねえが・・・胡散臭いんだよな。

お前らなら大丈夫だと思うが。ただ、もし魔物がスタンピードなんか起こしたらって考えたら

調査だけでもいってもらえねーか」


瘴気の森はゼノとレイが住んでいた家がある。

確かに、その森の奥に誰も近づかない遺跡があった。

「俺たち指名じゃ、受けるしかないだろ。」

アルスがやる気をだしている。

「そうね、私も久しぶりに腕がなるわ。」

「いや、ねえさんは程々に・・・・」

「どー言う意味よ!」

その場の空気が少し緩む。

「とりあえず、戻って準備しようぜ!!」

ギルドをあとにした一行だが全員、いやな予感を感じていた。


遺跡の最奥へと進む一同を、不気味な紫の光が包み込みました。

魔族が「カルラとゼノを弱体化させる魔族の秘術結界」だった。

高位の魔物である二人はエネルギー源である魔力を急激に吸い上げられ、

ゼノが深刻な魔力切れを起こしてしまう。

カルラも魔力を抑え込むだけで精一杯という絶体絶命の危機。

そこへ、闇から無数の魔獣が襲いかかります!


「旦那! ねえさん! 後ろに下がってな!」

結界の影響を受けないアルスが前にでる。

人間であるアルスに魔族の結界は効かない。

「黒狼の軽鎧」で敵の爪撃を紙一重でかわし、

「双魔鋼の短剣」で魔獣の急所を神速の居合いで切り裂いていく。

「師匠、僕が守るよ!」

レイもまた、新調した「守護の魔導杖」を掲げ障壁を展開。

鋭い立ち回りのアルスと、必死に前線を維持するレイの魔法により、

最悪の窮地をなんとか凌ぎ切ることができた。


焦った魔族は、第二の矢を放つ。

魔獣ポテチを洗脳し、ゼノたちと敵対させる作戦だ。


魔法で惑わされ瞳を怪しく光らせてゼノに牙を剥こうとするポテチ。

グルルルルルルルー。ゼノに近づいていく。


その直前、

「――うちのペットに、変なもの魔法かけないでくれるかしら?」


魔力を制限されながらも、怒り心頭のカルラが放った容赦のない一撃がポテチの脳天に炸裂。

「ニャフッ!?」という情けない悲鳴と共に洗脳の霧は消し飛ぶ。

ポテチは一瞬でいつもの大人しい家猫サイズへと元通り。

幹部の「魔物同士を争わせる」という作戦は、

カルラの圧倒的な姐さん力(?)の前に完敗を喫する。


追い詰められた魔族は、呪文の起点であるレイに狙いを定める。

不意を突かれたレイは、強力な呪詛によって魔力を完全に封じられ、

さらに深い一撃を受けて大怪我を負う。

「レイ――ッ!!」

アルスの叫びが響く中、血を流して倒れるレイの姿を見た。

一番に動いたのはポテチでした。

自分を救い、威厳のない「ポテチ」という名前をくれた優しい命の恩人。

そのレイが傷つけられた怒りで、ポテチの逆鱗が弾け飛ぶ。

「キサマら……絶対に許さないニャアアアアアーーーッ!!!」

結界の圧力を力技でねじ伏せ、ポテチは過去最大級の紅蓮のトラへと完全覚醒。

猛り狂う炎の切り裂き攻撃は、

ぎゃあああああああ。

魔族伏兵たちを文字通りチリ一つ残さず消し炭にする。


ことごとく罠を破られ、全滅していく配下たちを見て、幹部は恐怖に戦慄していく。

「化け物め……!厄災とはよく言ったものだ……!」

魔族はまたしても、自らの影を切り離すような禁忌の転移魔術を使い、

一人だけ命からがら逃げおおせるのだった。

しかし、その表情には二度と彼らとは戦えないという絶対的な恐怖が刻まれていた。


◇


魔族が消え去り結界が解けたものの、ゼノの魔力は底をつきレイは大怪我を負い、

アルスとポテチも限界を迎えている――まさに満身創痍の状態だ。

魔族との戦いを終え、帰路につこうとしたときだった。

遺跡の奥から、大きい地響きと咆哮が聞こえてくる。


「これヤバイ奴だよ。旦那。急いで逃げよう!!」

アルスが叫んだ。その時だった。

地面が割れ、全員、呼ばれたように下へ落ちた。


不思議なことに、誰一人。落ちたのに怪我がない。

残っているのは、先ほどの戦いのダメージだが。レイは止血できただけだが、何とか生きている。

目の前に鎮座していたのは、

――圧倒的な威厳を放つ古の「火竜(ファイヤードラゴン)」だった。

絶望的な状況。

しかし、火竜はその巨大な琥珀色の瞳で、

ボロボロになりながらも互いを庇い合うゼノたちを静かに見つめている。

そして、ふっと鼻から熱い息を漏らします。

『……魔族の姑息な罠に嵌りながらも、己の絆で打ち破るか。

見事な戦いぶりだった』

火竜は翼を広げ、ゆっくりと立ち上がりました。

その身から放たれる圧倒的な熱気。しかし、そこには敵意はない。

『満身創痍の者を屠っても、我が誇りが廃る。……今回は見逃してやろう。

だが、次はない。牙を研ぎ、万全の状態で再び我が前に現れるがいい』


ゴォッ、と激しい炎の旋風が巻き起こり、

火竜はその場から天空へと飛び去っていった。命を救われた一行。

アルスは短剣を収め、地面に大の字に寝転がりました。

「……あー、死ぬかと思ったあ。」

レイに肩を貸すゼノが、不器用に笑います。

「ああ。だが、完全に粉砕してやる」

深い傷を負いながらも、絶望の淵から生還した一行。

一度は逃がした幹部への決着、そして火竜との再戦を胸に、

彼らは支え合いながら、街外れの我が家へとゆっくり歩みを進めるのだった。


◇

激戦の末、満身創痍で街外れの一軒家へと帰り着いた一行。

扉を開けた瞬間、冷え切っていた家に安堵の空気が広がると同時に、

ドサリと全員がリビングの絨毯へ崩れ落ちた。

特に魔力を封じられ、深い傷を負ったレイの容態は深刻で、

呼吸は浅く、顔色は紙のように真っ白だ。


「ちょっと、しっかりしなさいレイ! 異界の闇に沈むにはまだ早いわよ!」

いつもは妖艶なカルラが、この時ばかりは余裕の笑みを完全に消し去り、

必死の形相でレイの元へ駆け寄りました。

カルラがレイの胸元に両手をかざすと、

その手の平から神秘的で濃密なエメラルドグリーンの光が溢れだした。

高位の魔物である彼女が全魔力を注ぎ込むような、規格外の極級治癒魔法だ。

光がレイの体を包み込み、呪詛によって固く閉ざされていた

魔力の回路を少しずつ解きほぐしていく。


そこへ、一報を聞きつけたドワーフの親父さんが、息を切らせて我が家に飛び込んできた。

「おい! ガキども、生きてるか!? これをつかえ!」

親父さんが持ってきたのは、自身の妻を救ってもらった恩返しにと、

工房の奥から出してきたドワーフ族の秘薬「世界樹の奇跡薬(エリクサー)」だった。


「レイ、これを飲め……!」

アルスが震える手でレイの口元に薬を流し込む。

カルラの高位魔法と、ドワーフの最高峰の秘薬。

二つの規格外な癒やしの力が合わさった瞬間、

レイの傷口から立ち上っていた黒い呪いの霧が消し飛び、

みるみるうちに傷口が塞がっていく。

「……んっ……、アルス……? 師匠……?」

ゆっくりと開かれたレイの瞳に光が戻り、全員が心の底から長い息を吐き出しました。


魔力切れで筋肉が萎みかけていたゼノは、リビングのソファに横たわりながら、

ドワーフが持ってきた超高栄養の「魔獣肉のスープ」をバケツのような器でガブ飲みしていた。

「ふぅ……五臓六腑に染み渡る。これで明日には元に戻ることができるだろう」

そのゼノの腹の上では、同じく炎を使い果たしてボロボロになったポテチが、

いつもの家猫サイズで丸くなり、ペロペロと自分の前足を毛繕いしている。

今回ばかりはカルラに頭を叩かれたことも忘れ、ゼノの体温で温まりながら

「ニャー(疲れたニャ)」と小さく弱音を漏らしていました。

アルスもまた、包帯を全身に巻きながら、

レイのベッドの横に椅子を引いて座り込んでいました。


「無理すんなよ、レイ。お前が倒れた時、マジで心臓が止まるかと思ったんだからな」

「あはは、ごめんねアルス。でも、ポテチが助けてくれたんだよね? ありがとう、ポテチ」


ベッドの上で体を起こしたレイが微笑むと、リビングのソファからポテチがフイッと顔を背けます。

耳は嬉しそうにピクピクと動いていました。

魔力を使い果たしてすっかり妖艶さが抜けたカルラは、

ゼノの隣で普通の女の子のように泥のように眠っています。


強大な火竜には見逃され、魔族には逃げられた。

決して完全勝利とは言えない、苦くて痛い敗北。

しかし、お互いの傷を包帯で巻き合い、同じスープを分け合うこの一軒家の中には、

かつてないほど強固な本当の絆が完成している。

「次は絶対に負けねぇ。あの魔族も、あの火竜も、全員で叩き潰すぞ」

アルスの言葉に、レイは力強く頷き、凸凹ハウスの夜は静かに更けていくのだった。


傷が完全に癒えた数日後、一軒家の裏庭には凄まじい緊迫感――

ではなく、どこかトホホな熱気が立ち込めている。


「あの火竜に『次はないぞ』とまで言われて、ただ指をくわえて待っている私たちじゃないわ!」


カルラ姐さんの一喝により、火竜との再戦、

そして逃げた魔族を完全にぶちのめすための「地獄の合同特訓」が幕を開けたのだが。


カルラ以外、全員がこれからのしごきを思うと、逃げ出したくなるのであった。



何とか生きて帰ってきてくれました。お読みいただきありがとうございます。気に入っていただけたら嬉しいです。

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