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【かみはで】神様、うちの巫女達が今日も派手すぎます。〜神社に引き取られた俺を待っていたのは三姉妹ギャル巫女でした〜  作者: 仁波昼海
第1部第2章:知らないあなたを知るために

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夜風の吹く境内で


―――東雲紗理奈―――


「じゃ、おやすみぃ」


適当に手を振りながら私は居間へ戻る。


後ろでおにーさんが何か言いたがってたような気もするけれど、まぁいいや。

今はそんなことよりも、少しだけ考えたいことがあった。


居間には誰もいない。

みらねぇはお風呂でちひろねぇは自室。

連続ドラマだけが静かに音を流していた。


私はソファへと飛び込む。

柔らかいクッションに体を預けながら、ぼんやりと天井を見上げた。


「ふーん……」


誰に聞かせるでもない声が漏れる。

別に深い意味はない。

ただ今日のお姉ちゃんを思い出していただけ。


デートから帰ってきた時。

私たちがからかっていた時。

そして、さっき縁側でおにーさんと話していた時。


どれもいつものお姉ちゃんだったのに、少しだけ違った。

説明しろと言われてもそれは出来ない。

機嫌が良かったとか、楽しそうだったとか。

そんな簡単な言葉では表しきれない何か。

長年一緒に暮らしているからこそ分かる微妙な変化。

恐らくそういうものだった。


「まぁ、楽しかったんだろうね」


当たり前と言えば当たり前だ。

私の記憶が正しければ男付き合いなんてほぼないし、私含め妹が2人いるのだから我儘はきっとそれなりに慎んでいた。


だから相手側に予定を組んで貰ったデート。

それだけでも彼女なら十分楽しそうである。


でも多分、それだけじゃない。

もし本当にそれだけなら、お姉ちゃんはあんな顔をしない。


私は何となくスマホを取り出した。

特に見るものがあるわけじゃないのに、画面を眺める。

そうして指だけが勝手に動いていく。


「おにーさんねぇ……」


最初に会った時の印象は今でも覚えている。


むっつりで、スケベで、でも賢そう。

そして少しだけ警戒心が強い。

まぁ実際、その辺は今も変わっていない気がする。第一印象が変わらない珍しいパターン。

だけど当初と少し違うのは...。



「意外とちゃんと見るんだよなぁ」

人のこと。


みらねぇのことも。

ちひろねぇのことも。

そこには私も入ってるかもしれない。

少なくとも興味がない相手を見る目じゃなかった。


そして、だからこそ。私は少しだけ面白いと思った。


「知ろうとしてるんだよね」


またぽつりと呟く。


それはお見合いだから、とか。家族になるかもしれないから、とか。思いつく理由なんていくらでもあるけど。

でも、彼はきっとそれだけじゃない。

多分あの人は元々そういう人間。


面倒臭がりなのに、人付き合いが得意そうでもないのに。冷たいスタンスでいくと誓っていたのに。


一度向き合うとちゃんと見ようとする。

だからきっとお姉ちゃんも嬉しかったんだ。

縁側であんな顔をしていたのにも合点がいってしまう。


「そっか」


小さく笑う。なるほどね。

考えてみれば少しだけ分かった気がする。


...でもね、おにーさん。


「だからって簡単にはいかせないよ」


私は寝返りを打つ。天井が横向きになった。

みらねぇはみらねぇで、ちひろねぇはちひろねぇで、そして私は私。

同じやり方で上手くいくとは思えない。というよりも、上手くいかせる気はあまりない。


せっかくなら面白い方がいいよね?

せっかくなら予想外の方がいいよね?

その方が思い出に残るでしょ?

その方が私らしいんだよ、きっと。


「ふふっ」


思わず笑みが漏れた。

きっと今頃、おにーさんは何か考えている。

デートプラン?行き先?はたまた当日の流れとか。

真面目だからその辺はしっかり準備しているんじゃない?でも。


「残念だったねぇ」


少しくらい振り回されてもらわないと。

少しくらい困った顔をしてもらわないと。


私はスマホを開いて、昼間見つけたページを表示する。

画面には県内でも少し変わった体験施設の案内が映っていた。

三女はしばらく画面と睨めっこし続けたが、満足そうに頷く。


「うん」


悪くない。

むしろ最高かもしれない。

おにーさんがどんな反応をするのか、今から少し楽しみになってきた自分がいる。


窓の外では夜風が木々を揺らしている。

静かな神社の夜の中、私の頭の中だけは、次の予定でいっぱいだった。

さて、どこまで付き合ってくれるのかな、おにーさん。

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