初めて見た時は〜東雲未来〜
今という今まで『恋愛』の2文字を遠ざけていた俺は、こういう時どういうことをするのが相手の納得解なのかが分からない。
そういう初心なものが相手をキュンキュンさせるとかも聞いた事がないことはないけど、目の前を歩く金髪さんがそんな人でないことぐらいは十分わかっている。見た目で判断させていただきましたが。
そもそも一番古い記憶でさえ孤児院にいた俺は、まともに外食したことすらあまりないから、行きつけの店とかそういうのも一つもない。
一応俺なりにお見合いとしてエスコートするつもりではいるが、満足させられるかどうかは別の話だ。
はぁ、こんなことになるなら、日頃から女心を理解できるみたいな胡散臭い本、2.3冊買っとけば良かったかな..。
ため息まじりの苦笑いは心の中で留めておいて、俺はふと前を見やる。
目の前を行く長女は、悩み?何それ。とでも言うように金髪をなびかせながら鼻歌を歌っていた。
※
―東雲未来視点―
初めてこの人のことを見た時は「変な人だなあ」って思った。
意外といい顔してんのに、女の子の下着姿をちょっと目にしただけで、ボっと効果音がついちゃうくらいに急に顔が赤くなるんだもん。
まあたしかにあれはウチらにも分があると思うけど、流石におもしろすぎたよね。
今でも思い出したらちょっと笑える。
男の人って昔からよく分かんない。
可愛いと思って買ったアクセ見せたら、「それ何がいいの?」とか言うし。
気合い入れて選んだ服着て行ったら、「前のやつで良くない?」とか言うし。
いや、別に良いんだけどさ。
わざわざそれ言う意味ある?とは思っちゃう。
まあ向こうからしたら、ウチらが似たような写真何枚も撮って盛り上がってる方が意味分からんのかもしれないけど。
で、そんなウチの持つ男の先入観の中に現れたのが蓮っち。
ちな最初は蓮っちって呼んでたんだけど、おつかれんたんってめっちゃ語呂良くね?って思って、たまに心の中で蓮たんって呼んだりもしてる。
彼気付いてるかな?
まあ一回もおつかれんたんなんて言ってないんだけどね。
最初の方はなーんか面白そうなやつ〜って思ってギャルノリかましてたんだけど、反応は想像以上に薄かった。
やっぱ冷徹系だったかあ!理系だ理系。←ド偏見。
でも結局そういうテンプレなのかなって思ってたらさ。
神楽舞の日。
人波捌いて戻ってきたウチと紗理奈に、「お疲れ様」って。
本当にそれだけ。
それだけなんだけど、なんか覚えてる。
しかも舞も見に来てた。気付いてるよ?ウチは。横見てたけどね。
いやもうツンデレか!?
仲良い男子いたっちゃいたけど、やっぱひとつ屋根の下バフかかってるっていう感じで、今までの奴らとは比べものにならないくらい距離近くなってるのかもしれんなあ。
そうしてやってきた「第2やっぱ蓮っち面白いじゃん期」。
そこに飛び出したのはまさかのお守りイベント。「舞、すごかった!」だっけ笑。あれはずるいよ。
ちひろちゃんに何書いてたかは少し気になったけど、その時はそれ以上にこっちが面白くなっちゃってたから深く聞かなかった。
ウチは逸材を見つけてしまったのかもしれないって、その時は思ってたなあ。
それでそれで。
彼がただの婿養子候補じゃなくて、後継ぎ候補でもあるって話を皆で聞いた。
正直あの時は普通にビビった。
だって婿養子とかいう曖昧な話じゃない。
神社の将来そのものじゃん。
思わず紗理奈たちと顔見合わせたくらいには驚いたと思う。
でもそんな問題を目の前にして、三人で話した結果が今日。
彼の本性を確かめるデート、東雲未来編。
ちらっと後ろを見る。
蓮っちは何か考えているのか、少し俯きながら歩いていた。
今日の予定のこと?それともウチのこと?
真相は聞かないけど、こういう時まで真面目な顔してるのはちょっと面白い。
さてはウチを満足させられるか悩んでんのかな。
まあ、ウチは最初から本気で品定めするつもりなんて無いんだけど。
だって一日で人のことなんて分かるわけないしさ。
―――それにね?
昨日は久しぶりにアクセを選んだんだ。
そして今日は髪も巻いて、メイクだっていつもより少し気合い入れた。
本当に確かめるだけなら、こんなことしないよ。
だから今日のウチの鼻歌が何音か高くなってても、それは仕方の無いことなんだ。
6/22 本文改稿、訂正内容→説明的文章を親しみやすくしました。
6/30 一部改稿、今後のストーリーに関わる部分を少し変えさせていただきました。




