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なんだかんだいって忘れられないヒーローなの

 NHKの総合で時代劇『眠狂四郎』を放送するとニュースを目にして戸惑った。え~、NHKで、衛星じゃなくて地上波で『眠狂四郎』を放送するんだ、大胆? なのかな? といったところが正直な感想。外連味あふれる剣劇シーンや女性が赤裸々な姿をさらす場面が散りばめられている小説なのは結構知られているはず。

 主演が長谷川博己で、その後発表されたキャストで茅場静香が黒島結菜、松平主水正が坂東彌十郎とあったので、原作の初期部分をドラマ化するのかと思った。

 放送があって、リアルタイムでは観ずに録画した。そういえば積ん録画に田村正和主演の『眠狂四郎 The Final』があったのを思い出して、そっちを先に観た。田村正和最後の作品。流石に主演者が七十を過ぎたので、いろいろと弱々しく観えちゃうのだけど、ニヒルな孤高の剣士の姿は保っていた。田村正和と同年配の津川雅彦が実の祖父に当たる人物を演じるのはもう無理があったけど。『The Final』で眠狂四郎の娘と名乗る若い女性が現れる。

「茅場修理之介という者を覚えておいでですか? わたしその者の妹の静香の娘です」

 と言い、狂四郎は戸惑いつつ、

「覚えがない! こともない」

 と曖昧な答え方をした。

 狂四郎の出生にまつわるエピソードや江戸城内での陰謀を絡めつつ、敵役が出てきて狂四郎の振るう剣によって終わりを迎える。

 いつものように狂四郎は一人、漂泊の旅に出る。ああ、老いたりと言えどかっこいいなあ。

 わたしは田村正和の眠狂四郎ものの昭和の連続ドラマは観たことがない。平成に入ってからのドラマスペシャルを何作か観たくらいだ。良人は片岡孝夫(現・片岡仁左衛門)版のテレビドラマが印象深いそうだ。わたしも片岡孝夫の眠狂四郎は再放送で何回か観た。あと大映映画の市川雷蔵版を二作ばかり観た。

 映像化作品の眠狂四郎、わたしは田村正和か市川雷蔵だなあと思った。そりゃ全部観られるものではない。ほかの俳優さんの出来については(観る術がないから)解らないとしか言いようがない。

 で、ハセヒロ版眠狂四郎、ええっと困ったなあ。似合ってると思うんだけど、もうちょっと若い時にオファーがあったらよかったのにね、と惜しかった。

 原作の第一作第一話「雛の首」で、眠狂四郎は「まだ三十にはなるまい。」と書かれている。その後に続く展開で両親に関する話が出てきて、眠狂四郎の年齢が三十前であるの推測できる。ちなみに金八は「まだ二十歳を越えたばかりの」と、武部仙十郎は「五尺足らずの、額と顴骨が異常に突出した、およそ風采のあがらぬ老人であった。」と、第二話登場の茅場静香は「まだ二十歳前後の娘であった。どこといって特長はないが、強く抱けばくだけそうな、姿ぜんたいの、ほっそりとした影の薄さが」と描写される。宅麻伸がついに老人の役になっちゃったかとか、『アシガール』や『ちむどんどん』の黒島結菜が影の薄い印象の女性かあといった配役に関する気掛かりはあったが、ドラマを観たら一応消えた。

 十年近く前、長谷川博己が金田一耕助を演じた際、「無駄無駄無駄」の台詞があって、なんで金田一がDIOになってるのと呆気にとられた。

 まあいいのである。原作に固執して演者の個性を否定したら新たに作品を作る意味がない。眠の旦那が窮地に陥った時に自嘲の笑みを浮かべたりする描写があるのだから、戦いの場で笑うのも、相手の主張を虚無的にぶった切るのも柴錬節である。長谷川博己のエロキューションと顔芸がハセヒロならでは。

 円月殺法を映像にするのはもうパターンが決まっているのだろうなあ。昼間なのに月が出たよ。頑張ってください。チャンバラシーンの迫力を求めるのなら、昔の時代劇の再放送を観るしかないのかも。(戸田隼人、もっとあなたは強いはずだ)

 視聴者の受けが良かったら続編を作ろうか、といった感じに登場人物を配して、おいおいパイロット版のつもり? と思った。年に一、二回のドラマスペシャルならともかく、連続ドラマにするなら、設定を整理し直さなければいけないんじゃないのかな? どうするんだろう。現代的なコンプライアンスでいろいろあるのだろうけど、原作の雰囲気をもっと濃く出してくれるといいな。

 引用は柴田錬三郎の『眠狂四郎無頼控(一)』から。わたしの手持ちは新潮文庫。

 眠狂四郎の本名は不明とされる。のちの『眠狂四郎無情控』で狂四郎の幼名は「新也」、『眠狂四郎孤剣五十三次』で若い頃に「松平主馬」を名乗ったエピソードがある。


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