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小さなお家の素晴らしきご主人様と、愉快な弟子達。  作者: 雨宮ツムグ


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この地に住む弟子

ご主人様が学校を作ると宣言して三日が経った。

私は外に出て、お家を見上げる。


燃えてしまった箇所は皆さんと、手作業で直した。

だから何だか齧られてしまったような形で修復されていて、それがとても可愛くて気に入っていた。


そして。

視線を動かすと、お家の奥に見えるのは、立派な建物。

木で出来たそれは、ご主人様が一晩で作り上げた校舎だった。


後の二日で外からの攻撃魔法を防ぐ防御機構と、内からの魔法暴走に備えた強度構築、学校設立の申請、生徒募集を全て終わらせていた。


ご主人様の行動力はすごい。

そして、それに対応できるお弟子の皆さんもすごかった。


雑談の様に打ち合わせをして、遊ぶように魔法を組んでいく皆さんが、これまでに見たどの姿よりも楽しそうで。

その姿を見るご主人様も、楽しそうで、嬉しそうで。私はとてもとても嬉しかった。


学校をこの地に作ったのは、敢えてだとご主人様が仰っていた。


「私がこの地に住んでいることもバレましたし、メアリに懐いた精霊も、この地の子ですからね。全部逆手に取ってやりましょう」


そう言うご主人様は、ちょっとだけ悪戯を企む様な顔をしていた。

最近知ったが、ご主人様は魔法研究所のことになると、少し扱いが雑になる。


そんな態度から、これまで色んなことがあったのだろう、と察せられた。

ご主人様のまた新たな一面が知れて嬉しい。


そして。

お弟子の皆さんも、なんと、この地に住むことになった。


補佐として、生徒として、弟子として、この地で、ご主人様と学校を支えてくれるのだという。

けれど、皆さんの住む場所はまだ決まっていなかった。


ここに生徒も住める居住区を作るか、お家を増築するか、いろいろな案が出ながら、まだ決まってはいなかった。



ご主人様が見回りから戻られて、暫くして皆さんも集まる。

今日は皆さん朝から自分の荷物を取りに、各自お家に帰っていた。


シェラさんとマーシュさんは二人で一つの箒に乗って帰って行って、そういえば最初、窓の外に見た大きな影は4つであったなと思い出した。


あの時はあんなに怯えていたのに、そんな微細な事を覚えていたのかと自分に驚く。

けれどきっと、一生覚えているのだろうと思った。


ご主人様を想って集まってくれた、皆さんのことを。

今や大好きで大好きで仕方ない、皆さんとの出会いを。


ご主人様がシャワーから戻られて、皆さんと準備した朝ご飯を全員で囲む。

朝から沢山動いたから、皆さんいつもより食べる勢いがあって微笑ましかった。


「そうだ、住む場所。どうしましょうか」


玄関には、魔法で小さくされた皆さんの荷物が置かれている。

ミニチュアみたいで可愛いなと思っていたら、「見んじゃねー!」とリアさんに言われてしまったけれど。


「そうねぇ、今のままでも良いけれど」


「ぜってえ一人部屋!!!!」


「そうですよねえ」


襲撃から今日までは、小さなこのお家のダイニングもフル活用で、なんとか全員過ごしていた。

といっても、正確にはご主人様のお部屋が、異常に人口密度が高かった。


何故ならリアさんが真っ先にご主人様のお部屋へ乗り込み、次の日からはマーシュさんも侵入するようになって、いよいよ昨日の夜はせっかくだし、とベルクさん、ハーティさんも混ざっていたからだ。


とてもとても、ずる……微笑ましい。


私はこの調子で、皆さんと暮らしたいなと思う。

家族の様に温かくて、大好きな皆さんと共に。


けれど、生徒さんとの差が出来てしまうのも、あまり好ましくないとも思っていた。

共に頑張る人達とも、対等に居たいと思っている。


皆さんの住む場所は、生徒受け入れのために今日中に、決めてしまおうという話になっていた。

だから皆さん荷物を取りに戻っていた。


期限は今日、つまり今。

どうするか、決めてしまわなくてはいけなかった。


「私は、皆さんとこのまま暮らしたいです」


決して大きな声ではなかったけれど、皆さんこちらを向いてくれる。

全員の視線を浴びるのは相変わらず緊張する。


けれど、それは畏怖ではなく、むず痒いような、心地よさのある物だった。


「でも、生徒の皆さんとも仲良く暮らしていきたいです」


矛盾しているのは分かっている。

けれどそれが本心だった。


皆で仲良く、は実際には難しいのかもしれないけれど、皆で仲良く、ここで暮らしていきたかった。

私が言い切ると、ご主人様は少し驚いたお顔をされていた。


やはり難しいだろうか。

そう思っていたら、ご主人様はあっという間に朝食を食べ切り、手を叩いた。


「そうしましょう」


「え?」


私が言い切ったように、ご主人様も清々しい程に言い切った。

何だか満足そうなお顔すらされている。


どういうことだろう、と思っていると、「掴まっていてください」とご主人様が言い、パチン、と指を鳴らす。


刹那。

ごごごごごごと地響きのような音がして、何故か、重力を感じた。


「わあ!」


「ちょっと!」


「先に言え!!!!」


色んな声が聞こえるけれど、私は椅子に座りながら倒れないように姿勢を保つので必死で、周りを気にしていられる余裕がなかった。

そのうちガタガタと床が揺れ始めて、私の不安を感じ取った精霊から風も感じる。


飲み物が!と思った時にはハーティさんが魔法で抑えてくれていて、精霊の風はマーシュさんが留めてくれていた。

ははは、と楽しそうなベルクさんの声が聞こえて、次第に揺れが収まって。


恐る恐るご主人様を見上げると、ご主人様も楽しそうに微笑んでいた。


「広げました。不足があれば足します」


何のことだろうと振り返ると、そこには、広い広い廊下が生まれていて。


「えーーーーーー!?」


精霊が暴れ出すほどの、大きな声が出た。


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