第7話 : たどり着いた恐竜島メソゾイク!白亜の村と呼ばれるその場所には、恐竜との非日常的生活があった!
ついに、私こと美少女古生物学者の小平名香代ちゃんは辿り着きました。
船が港にたどり着き、桟橋か砂浜に面した船の大きな扉からとうとう上陸します。
装甲車で、爆速で!!
「村まで何キロだ!?」
「分かんないけどこの勢いなら5分ぐらい!!」
そう、怪我して気を失ったアルトリーシャさんを緊急搬送です。
早速、舗装されてそうな道に跡を残しながら村に突撃です。
「あの教会だ!!
あそこに聖女様がいるよ!!」
「あのねぇ、アンタら回復も蘇生も効かないでしょ!?」
「そうだよ!
でもあそこの教会は、」
「……『刑の教会』か」
「なるほど、それならば納得か」
なお、竜狩り騎士隊全員参加です。
みんな心配してるみたいで!
「『けいのきょうかい』ってなんです?」
「異世界の人間は知らないだろうけれど、ある意味で異世界の存在を一番喜んでる教会よ!
魔法抜きでもその教会所属の聖職者全員が、異端ながら凄腕の医療技術に精通しているの!」
「『罪は死後神が裁くべきであり、この世の病や怪我による死は人が遠ざけ癒すべし』と言う協議で、先の大戦でもどの陣営にも属さずあらゆる怪我人を治してきた、ある意味で一番狂ってる人間達だ。
……我々も世話になった」
「なんでも良いや!
こんな僻地でレントゲンでもあるなら良いがな!!」
その村を突っ切って教会らしき建物の、なんだかそう言う十字架的なシンボルのある建物の前に装甲車を横付けします。
後部ハッチを開くとそこには……
「───それで、怪我人はどこですか?」
いわゆる、シスターみたいな格好の女の人でした。
違うのは、その羽織る長く黒いマントに教会のシンボルの様な飾りが付いたものを羽織っていること。
ギュッ、と強い意志を持った目でこちらを見る眼光が極めて鋭い美人でした。
「アルトリーシャ姉ちゃんが!!
頭から血を!?」
「事故により頭を強打してます。
頭部の出血、意識の混濁有りです」
落ち着かない子を制して、私が分かる範囲で詳しい病状を伝える最中、寄ってきたその聖女様がアルトリーシャさんを見ます。
「出血に関しては縫えば治るはず。
問題は頭の強打。脳震盪だけならばなどと言えない。
すぐに教会に運んでください!
飛竜人は魔法による検査が不可能ゆえに、MRIとCTを使う!」
「えむ……?」
「MRIがこんな場所にあんのか!?」
「ええ、こんな場所だからこそ必要ゆえに。
彼女を運ぶのを手伝ってもらいます!」
そこからは、あまりに早い転回でした。
まずはアルトリーシャさんを教会内に運んで、かなり最新の設備が整った中での検査。
「やはり、脳震盪だけではない。
急性硬膜下血腫、傷と反対側の脳が打ち付けられて血が溜まっている!
緊急手術!!彼女を救います!!」
即座に手術。
気がついたら集まっていた教会の人達が、良く見る手術着に着替えて外科手術を。
待っている間に、村の人達が教会に集まってきました。
「てめぇガイルのクソガキが馬鹿野郎!!
アルトリーシャを殺しかけるとはどういう了見だ!!」
「ごめん!!言い訳はしないよ!!
いくらでも殴ってくれ!!」
「お前まで聖女様に世話させる様なことしてたまるか!!
殴られるならアルトリーシャに殴られろ!!
しかもお前、弟のガモン巻き込んで!!
二人とも死んでたらお前の親父の墓になんて言えば良いんだバカヤロー!!」
かのおチビちゃん……大きい方のガイル君と、黙ってはいるけどずっと責任感じてそうなガモン君も泣いてずっと手術室の前にいます。
村人の大人に怒られている間に、ふと私の世界と同じ手術中を示すランプが消えて、扉が開きます。
「聖女様!」
「聖女カノン様!!アルトリーシャは!?」
出てきた血がついた術着の聖女様が、一つため息をついてこう言います。
「安心してください。血腫は取り除き、恐らく脳の後遺症も無いでしょう。
それより、ガイル君とガモン君、こちらに来なさい」
と、ゴム性らしい手袋を外して近くのゴミ箱、それも足で踏んで開くタイプの物へ捨て、二人のちびちゃんを呼びます。
「聖女様?」
「どうしたの……」
ゴスン!
それは、おっきなゲンコツでした。
「飛竜人は、蘇生が出来ない。
もっとも、他の冒険者も蘇生などという一歩間違えれば魂が消えて亡者になるものを当てにするアホも多いですが、」
「〜〜ッ!!」
「痛いでしょう?結構、生きている証拠です。
あなた方は未熟だ。そしてまだまだ未来もある。
それで、命を捨てる様な行動をとった挙句、他の人間の命まで危険に晒した。
その事を、その痛みとともに覚えなさい。
それが、大人になるという事です」
極めて冷静に、わかりやすい正論で叱る。
そりゃあ、殴られて怒られる事されてそうまで言われたら、二人は頷くしかなかったでしょうね。
「全く。
……村の方、どうかこの二人を責めるのはこの辺に。
目の前で、自分の不注意で死なれかけた人間を見たのです。
私のゲンコツでどうか勘弁を」
「いやいや、すんません聖女様。
まぁ……コイツらには、良いお灸でしたでしょうし……
擁護するわけじゃねぇけど、不漁気味であの悪徳領主が苛立ってたってのはマジだしよ」
「くれぐれも漁師の皆さんも無理はなさらぬ様に。
肉がえぐれた、歯が刺さった程度なら治せます。
ただ、手足無くしたですらここではマシな怪我な部類なのですから」
「へへぇ、肝に銘じておきます」
そう言う飛竜人の人、良く見たらなかなかすごい怪我の跡が腕にあります。
大きさからして、サメに噛まれた……クレトキシリナでは無いでしょうけど。
「ただ一つだけ良いことをしたとしたら、この数の島外の方を教会に運んできてくれた事ですね」
「え?」
ふと、そう言って聖女様がこちらへ……地味に心配して一緒にいた私達異世界の4人と、竜狩り騎士隊の4人に向き直ります。
「まずは初めまして。私はカノンと言います。
この島の刑の教会の司祭長、言わばこの島の医療機関のトップをさせていただいております」
「だから聖女か。
我々は、」
ふと、立ち上がって名乗ろうとしたハーヴェストさんを制する聖女のカノンさん。
「名乗るなら、コレから渡す資料に名前、性別、年齢、身長と体重、可能なら血液型その他持病、全てを書いていただきます」
「……何?」
「この島に来た以上、怪我や病気は死ぬか私の教会に来て治すかの2択。
カルテは必ず作らせてもらいます。
その上で、あなた方にはこの島特有の病気のワクチンを今すぐ打ってもらいます。
同時に、持ってきた衣服特に靴の洗浄も」
……おぉ!
防疫が、思ったよりしっかりしている……!
「ようこそ、メソゾイク島へ。
この島は一筋縄では行かないことをここで心得てもらいます」
数時間後、いえ真面目に日が真上通り過ぎて今少し傾き始めてるぐらいです。
「……こりゃあ、本格的なティラノ探索開始は数日かかるな。
いてて……早速皮下注射したトコが痛み出してきやがった」
私たちはあの後、軽い検査とワクチン接種をされ先に異世界組つまり私達のようにエモールディア以外の出身者で集まって外にいました。
ここはまさしく白亜紀並みに暑いので、装甲車の冷蔵庫に置いてあったポッキンするタイプのシャーベットなアイスをみんなで食べてます。
「そりゃあ、太古の島、出なくてもここは外国の中の外国。
必要でしょうね、そういう措置」
「……やべー、俺コロナのワクチンとかで発熱したタイプだったんすよねー。
暑いのに寒くなってきたかも」
「まぁ、わたくし達は慣れてるから良いでは無いですか。
おや、早速屈強なる騎士様達が帰ってきましたわよ」
見れば、教会の入り口からドヨーンとした顔で出てくる騎士隊御一行です。
鎧越しなのにドヨーンが分かるんです。
「みなさんお元気で?」
「……剣で切られるのと違って、針は怖いんだ。
情けない竜狩りだ」
「……うぅ、グスッ!」
「泣くんじゃ無いわよ、あんた一番身体でかいんでしょ?」
「泣かせてやれフランツェスカ殿。俺もちょっと泣く」
まぁでも元気そうですね。
「……それにしても、せっかく恐竜の島に来たって言うのに、意外と普通の島ですねぇ」
気温は意外と普通、やや高めで蒸し暑い南国風。
植生も案外太古のっぽさが感じられず……まぁ一応村とは言え石垣ですし。
「確かに、むしろ劣等種どもの「始まりの村」と言うよりはもっと栄えているんじゃ無い?」
「……だが、やはりここは恐竜島、と言うのが相応しいようだ」
ふと、アスラさんが言うと、私の横からぬぅ、と鋭い爪が。
「ん?」
鋭い爪。まるで熊手です。
それが、石垣の上に生えてる草を引き寄せるように動いています。
「オイ!いつのまに!」
「待った!
……別に危険な恐竜じゃ無いですよ、彼は」
バートさん、すぐ銃を抜くー。イギリス人と言うよりアメリカ人ですよまさにー。
さて、と見上げると、クチバシのような口先の羽毛が生えた恐竜がいました。
3mぐらい、かな全長は。
鋭い熊手みたいな爪で、植物をかき寄せる……ん?
「あ、でもまさかコレ……!
え、マニアックな恐竜だなぁ」
「危なく無いの?爪がデカいのよそいつ?」
「いやいや、この子は爪がデカいだけで草食恐竜ですよ?
それも、言ってしまえばナマケモノみたいな草食恐竜なんです」
「ナマケモノ?」
「怠けてるのか?」
「怠けるために、爪を発達させたんです」
そう、この私たちに構わず草食ってる恐竜は、ナマケモノのような進化をしたとされる恐竜。
「名前を、テリジノサウルス。
いえ、海沿いでこのサイズなら、
パラリテリジノサウルス、だと思います」
テリジノサウルス。
恐ろしい爪の腕だけが見つかり、長年どんな恐竜かが不明だった恐竜。
その正体は、ティラノサウルスや鳥と言った物に近いグループである、コエルロサウルス類の一種にして異端な恐竜。
なにせ、活発で小型な肉食傾向の強いコエルロサウルス内でも、大型であまり動かず草食である恐竜なのです。
恐ろしい爪は、言わば植物を引き寄せて動かず食べるためのもの。
そして、そのテリジノサウルスの仲間であり、海の近くにいたのがこのパラリテリジノサウルス。
この名前も『海のそばの恐ろしい爪のトカゲ』の意味です。
そしてもう一つの特徴というか、面白い情報が一つ。
「名香代、なんですぐパラリテリジノサウルスって分かったのかしら?
他のテリジノサウルス科の仲間かもしれませんのよ?」
「だってパラリテリジノサウルスは、日本で見つかった恐竜なんですよエリー?
情報が覚えやすいし、同定しやすかったんです」
そう、パラリテリジノサウルスは日本から発掘された化石から発見されたんです。
言わば、いや異世界種だからもしかしたら別種かもしれないけど……
この私の目の前でのんびり草食ってるコイツは、シノニムだとしても間違いなくパラリテリジノサウルスです。
「良いねぇ、故郷や住んでる場所にいたヤツを見かけるってのも。
俺の場合は、ティラノサウルスがまさしくそれだが、流石に街中には出て欲しくはねぇな」
「……ただ、街中でもとんでもないのが徘徊していますわよ、ここ」
ちゃき、とエリーが自慢のAR-15改造猟銃を向ける先、
ぬぅ、と顔を上げ、魚を咥えたワニに似た様な顔が見えます。
「領主のセイル!?」
「いえ、その親戚ですね」
近くにある池の魚を咥えていた、典型的な獣脚類の体型と前足の長い爪、そしてスピノサウルスに似た顔と、サイズで言えば6mほど。
「バリオニクスですか。
……一応、コイツ肉食とは言え、襲う気は無いみたいですね」
こちらを警戒して見てはいますが、魚を食べているので襲い掛からなければ襲いかかりはしないはず。
「こんな町中に、このサイズの竜がいるのは珍しいぞ」
「────驚いたかな?」
ふと、そんな声が聞こえたかと思えば、頭に包帯を巻いたアルトリーシャさんが歩いてこちらにきました。
「アルトリーシャさん、怪我は!?」
「なんと痛々しい!
大丈夫なのですか!?」
「正直すごい痛いが、寝てばかりなのも健康に悪いだろう。
どうせ数日入院で、ベッドの上で過ごすんだ……その前に空気でも吸いにきたのさ」
そう言って、しんどそうに近くへ座るアルトリーシャさんです。
でも、頭の手術までして数時間で歩くとは。
どんな生命力で?
「……そこのバリオニクス、ああこの村でのあだ名は「領主軍」な訳だが、ある意味でコイツらはこの村の平和を守ってくれる存在なのさ」
ふと、近くで魚を飲み込むバリオニクスを見ながら、そう語るアルトリーシャさん。
「コイツが、ですか?」
「そうだバベラ殿。
領主のセイル、それに似た領主軍達、本人達は別に我々を好んでここに置いているわけでは無い。
だが、この村はコイツらが住む大きな川に挟まれている。
そして、この村の沖はその立地ゆえに魚が豊富で、コイツらの餌にはある意味で困らない。
そしてコイツらは魚以外も食う上に……まぁ我々も襲う時があるが、それ以上に我々が住む上で困る様なサイズの他の恐竜をも襲う」
ふと、バリオニクスがノシノシと離れていきます。その過程で、別のバリオニクスとなんとなく合流してどこかへ。
「ここの生活は、畑から取れる作物と、漁業、そして草食恐竜を育てて賄っている。
作物の敵は何より、柵の隙間から来るか飛び越えてくる草食恐竜だ。
それもヤツらは食う。飛竜も住んでいるが故に餌にしているが、それでは足りない分は案外大食感な領主とその取り巻きが案外主に食べてくれる。
逆に大型の個体は襲わないおかげで、生まれたばかりのチビの管理さえしていれば、育てるのも楽だ。
……無論、我々も手頃な餌のサイズだ。襲われることもあるが、それは自衛して過ごせばなんとかはなる。
まぁ、生憎飛竜人は襲われるのには慣れているからな。はは」
「……あまり笑えないぞ、アルトリーシャ殿」
……襲われるのに慣れてる、とはまた物騒な。
「……異世界ザルのアンタらは知らないでしょうけど、この世には『食餐魔法』っていう下法だけどかなり強力な魔法があるのよ。
簡単に言えば食った物の力を取り込むって物なんだけど」
ふと、近くに来ていたフランツェスカさんがそう小声で解説してきます。
「主に力ある強靭な生命を持つもの、竜や魔物相手にやる技なの。
飛竜人の特性知ってるでしょ?
魔法攻撃無効。
そりゃあ、誰だって欲しくなるでしょ?」
「……うげ」
なんだろう。我が地球でもそこまでした歴史があっただろうか?
嫌な想像がよぎります。
「まぁ、フランツェスカ殿の解説通りだよ先生達。
長らく、我々は「食糧」でもあったわけだ」
聞こえてますよね……
「……この島を見つけた時、私は先祖がいたことが喜ぶと同時に……邪だが思ったんだ。
やっと、
我々の代わりが見つかった、とな……」
ふと、少しだけ苦虫を噛み潰した様な顔でそう呟くアルトリーシャさん。
「…………なるほど。
恐竜も、基本は魔法が効かない。
その食餐魔法なるものが出来るなら……」
「…………」
「ところでハーヴェスト殿、
挑むのは、暗黒竜か?」
ふと、ハーヴェストさんに問いかけをしたアルトリーシャさん。
途端、竜狩り騎士隊全員の顔色が変わります。
「知っていたか……!?」
「いや、ハッタリをかけたのさ。
ただ、きっとそれが目的で来たのだろうなと」
「どう言うこったい?」
「竜狩り騎士隊。
彼らは、言わば人間側の国家を脅かす巨大な竜種を狩るために結成された精鋭の騎士。
かの魔王との戦いでも、魔族側についた竜達を幾つも屠ってきた。
その実力も、実績も、私のような偶然親玉を一騎打ちで倒せたものとは比べ物にならない」
「賛辞は受け取るが、謙遜は過ぎれば侮辱となるぞ。
そもそもその我らが仲間の犠牲を経てこの数しか生き残れなかったのは、暗黒竜デーギラを相手にしたが故。
かの暗黒竜の片目と片角を斬り落としたのを一体誰か、本人が忘れたわけではあるまい?
剛力の勇者アルトリーシャ。
あるいは巨大剣アルトリーシャ」
アルトリーシャさんがそう呼ばれて、困った様なため息を付きます。
「……アルトリーシャさん、かなりすごい人とは思ってましたけど、
ファンタジーで言えばすごい英雄で?」
「じゃなかったら一つの土地を承る権利を持つ伯爵にはならんって」
「しかも聞く限りじゃ相当な被差別階級で」
「……そりゃ、派遣されるか日本政府から。覚えめでたくしなさいよって」
なんとなくとは思っていたとは言え、改めてそのぐらいの人なのかと。
「それで、つまりはリベンジか。
魔王四天王が最強、そしてヤツをあなたがたが抑えているうちに終わってしまったあの戦争の後始末のための」
「パレオシーン王国国王陛下からの許可は得た。
そして、それこそ我らの悲願であるのは承知のはず」
「……何をしてほしいと?」
「暗黒竜討伐の為に、我らに食餐のための恐竜の心臓を。
可能ならば、勇者アルトリーシャに参加を願いたい」
フム、とアルトリーシャさんは少し考える顔を見せます。
「……この怪我のせいもあるが、運が良ければ半月ほど参加は待ってほしい。
私は、そちらの小平名香代先生を招いた上で、私の先祖を探す旅に出たいのだ」
「半月で済めば御の字ですよ。
この島の広さも、まず恐竜の分布も分からない」
「……悠長なことを、とは言えない。
我らも今、この島に用ができた」
「……というと?」
「単純なことだ。
食餐による力を得るなら、より強い恐竜の力を得たい。
可能ならば、あの領主セイルの」
なるほど……
「スピノサウルスなら、川にいくらでもいる。
それがいいか悪いかは、まぁこの際置いておこう。
だが、知っての通りヤツらを倒すのは骨が折れるぞハーヴェスト殿。
それに……」
「それに?」
「……魔法が使えない程度より恐ろしい存在は他にも、いる。
それでも、私が一度死にかけて得たごく短い範囲で、だ」
『……!』
ふと、驚く竜狩り騎士隊を除いて、我ら地球組の私以外が私を見ます。
「……魔法は専門外ですけど、スピノサウルスは恐ろしいとは言え恐竜としての戦闘力はそこそこ止まりでしょうね。
ああ、フィジカルに限っての話です」
「やっぱ最強は、ティラノサウルス、か?」
「バートさん、確かにティラノサウルスは『最強の肉食恐竜』ではあります。
でも、『最強の恐竜』かと問われると、そうですね……まぁ、でも言うて2番手でしょうね」
「2番手、ってじゃあ最強は?」
「……『竜脚類』ですかね」
あ、と言う顔になるエリーの方と、いまいちピンと来てないバートさん他皆さん。
「りゅうきゃく……?」
「え?竜脚類有名でしょ!?
一般人でも分かるでしょ、竜脚類!」
まじですか!?竜脚類は一般常識でしょ!?
「そんなに恐ろしいのか、その、」
「竜脚類は本当に近づかない方がいいぞ。
やめておけ。本当に、やめておけ。
この島にいる竜脚類は、その取り巻きも含めて私も最初に会った時は死にかけた。
本当に、アレはまずい」
「でしょうね。アルトリーシャさんの言うとおり」
「なんならヤツらは、領主も真っ青な異常な能力を持っていた」
「それは初耳です。余計嫌です」
会いたくは無いなぁ、竜脚類は余計に!
「それ以外でも、この島はこの悪徳領主が支配する場所が『天国』に思えるほど、恐怖そのものたる古代の竜が闊歩する地獄、古いハイエルフの言葉でも『地獄の果て』を意味するメソゾイク島だ。
目的はともかく、旅に出るならこの『白亜の村』で準備はしっかり整えてほしい。
改めて皆、
ようこそ、メソゾイク島へ」
遠くから不気味な鳴き声が聞こえる。
がおー、やぐわー、みたいな勇ましい物じゃない、おどろおどろしい本能に恐怖が響く様な鳴き声が。
「まぁ、地獄へ旅立つまでは、くつろいで行こうじゃ無いか」
たしかに、今日はひとまず休まなければ。
ここからが、楽しくも地獄のメソゾイク。
異世界の言葉で地獄、我々の言葉では『中生代』を意味する島。
一体、何が待っているのか?
……楽しみであり、最後の光景にはしたくはないと願うばかりの絶景か。
「……それとな、ハーヴェスト殿」
ふと、アルトリーシャさんが片手を上げた時、教会の方から誰かが歩いてきます。
「もしかしたら、すでに国王陛下から聞いていると思うが、隠す気もないから紹介しておこうか」
「……!!」
現れた人達は、
いや……人?
青い肌、黒い白眼に金色の瞳、そして角、
片方は女性で、もう片方がすごく背も高いし筋骨隆々とした男性。
「あれって……」
「魔族がなぜここに!?」
答えはすぐに、バベラさんの言葉と臨戦体制でやってきました。
「一応国王陛下には手紙は書いたが」
「届いたが、やはり目で見てなお信じられんな。
紫炎の魔女ルーナ
そして魔王軍最強の城壁砕きのダーラム
なぜ、よりにもよって魔王四天王の二人がここに!?」
一瞬で、その場の空気が張り詰めます。
え、魔王四天王?魔族?
何事??
***




