第23話 : 未知の部族の村で語られる真実!探検隊が知ったこの島の伝説とは!?!
この熱帯の島の、なぜか寒冷地の再現がされた場所の村には、飛竜人ことズメイ族の住む村があり、そこでは予想以上に知能が高かったティラノサウルス上科の恐竜達も暮らしていたのです。
この凄まじい場所へ案内された私こと天才美少女古生物学者の名香代ちゃんとその仲間達は今、島の奥の大きなテント状の建物へと誘われていました。
「ババヤガ、いるか!?」
村の若い長であるゲラシム氏が、大きな入り口の布を軽くめくって中にそう叫びます。
「───いるか、だなんて奇妙な言い方だねぇ?
この老骨がどこに行くと言うのやら」
「散歩にでも行ってかと思ったんだ。
元気なお年寄りだからな」
「へっへっへ、生意気な口なのは長になっても変わらんね。
……皆を入れるんだ。湖に落ちた後ずっと寒空を歩かせてきたんだからね。
喧嘩した二人も入れるんだ」
テントから聞こえてきたどこかしわがれた印象の言葉に、驚きます。
なぜ我々のこれまでを知っているのか、その疑問を教えるためなのでしょうか、この場全員を招くゲラシムさん。
明らかに、巨大な何かのための入り口を通り、テントの中へ。
我々の続いて、ナヌークサウルスことホグル族のアリーサさんと、飛竜ことフェンドラグ族のヴェロニーカさんも入ります。
「婆様、予言の客人が来たぞ」
この建物の奥で、巨大な鍋をかき混ぜる巨大な存在が一つ。
それは、飛竜。ズメイ族の皆の言葉で言えばフェンドラグ族の一人。
しかし、その腕にあたる翼は、こちらに見える左腕の膜が中途半端な物になっていて、
よく見れば、なぜか目もない。
傷や事故というより、最初からないような。
「知ってるさヴェロニーカ。
お前の祖母は、目が良いからね」
どこか、ファンタジーの占い師というか、そんな格好をしている盲目の飛竜は、そう言ってない目を向けてそうクックック、と笑って言っていました。
「ババヤガ、あなたの孫とまた争った身で招かれて申し訳がない」
「喧嘩ぐらい良いさ。
まぁ、その争いの原因の一端はこの老骨にもある。
ほら……丸鼻の盾竜のシチューでも食っていきな。アンタらは生のが好きかもだがね」
「すみません」
「おっと……ゲラシム、オリガ。お前らの分も小さい鍋に入れてちょっと味を調整して出してやりな。
……そうだね、そこの異世界の賢者の持ってるやつを入れな。
アンタらの舌にはきっと合うよ」
……え?私!?
「なんで、私のマキシ◯ムを知って!?」
「クックック、この老骨は鼻がいいのさ。
……もっともそれだけじゃあないがね」
一つ分かりました。
このお婆さんらしき飛竜は、只者じゃあない。
そうして、ゲラシム氏と彼の妹さんのオリガさんと協力してマキシマムで味付けした何かのシチューが我々の前へ。
肉はなんだか、鳥に近いですが……なんでしょう、あの飛竜のお婆さんの前の大きな鍋にはなんか恐竜っぽい頭骨の鼻の部分が見えます。
「これ、恐竜の肉か……!?」
「はい。この場所には案外大きなものが住んでいますので。確か、鼻の丸い頭の後ろにフリルのような骨がある恐竜です」
「パキリノサウルスだ……トリケラトプスみたいな角竜類の一種」
オリガさんの説明で同定できる恐竜でした。
そして、このシチューというのが美味しいんですわ。
肉がいい。万能調味料マキ◯マムの補正が最大になるほど。
「あったかいのが……染みる……!」
「こりゃあ、俺がティラノサウルスなら毎日襲うわな。
シチューでほぐれてなお残るちょうどいい肉肉しさ……ステーキでもしたら行けるな」
「クックック……やはり、ベナト族の森を生き延びたり、鳥の王相手にして見たりした後には染みるだろうねぇ?」
……また、だ。
この人は、この飛竜のお婆さんは、私達のこれまでの動きを知っている?
「……千里眼ってやつかしら?
使い手は、50年ぶりに見たわね」
ふと、こういう時頼れるエルフの魔法使いであるフランツェスカさんがそう答えを問いかけます。
「クックック、言っただろう?この老骨は目が良いのさ。
生まれつき持たなかった目の代わりなのかは知らないがね、色々と見えてくるのさ。
おかげで、不気味がられたり頼られたりで大忙しの生さね」
「……ババヤガ様は、この村にとってはなくてはならない予言者であらせられます」
「まぁ、実際の所は変なものが見えるだけだけの剽軽な婆様でしかないが」
クックック、とオリガさんとゲラシムの言葉に笑うババヤガさん。
「……私達の事を、千里眼で来ると分かっていたと?」
「簡単に言えばそうさね」
フランツェスカさんの質問に、さも同然のように答えるババヤガさん。
「ずっと前から見えていたのさ。
我らが祖先を辿る巡礼のため、外からズメイ族の分かられた姉妹が来る。
我らを真に理解した賢者と、狩人、エルダーの子孫、そのほかに冒険者をたくさん引き連れてね」
「エルダー!?!」
ふと、フランツェスカさんが大声を上げました。
「どうしたんですか!?」
「……エルダーって、エルダーエルフのこと……!?」
「アンタ達の祖先のことをそういうのなら、ね」
エルフの祖先!?!
そりゃあ、そんな名前が出たら……フランツェスカさんも驚いてへたれ込んじゃいますって!!
「…………なんで、知っているの?」
「ふむ。
ちょいと長いことになるが、これを話すのも見えていたからね。
多分賢者さんも疑問というよりは、そうなんじゃないかって思うことでもある。
この老骨が話してやろう。
全ては、この島の成り立ちから始まる」
ってうぉぉぉぉぉい!?!??
マジで!?!?マジで言ってます!?!!
こ、この島の成り立ちを、知って、え!?!!
ヤバいですよ。語彙力ないなったですよ。
この島の成り立ちを、シレッと知ってると!?
そしてということは、まさか、
まさか、内心そうなんじゃあないか?ってずっとずっと思ってた、あの疑問!!
なぜ6500万年前以前の恐竜もいるのか。
何故白亜紀、ジュラ紀の恐竜がお互いを滅ぼさずに共存しているのか。
なぜ、異世界のこの場所に、絶滅したはずの恐竜が存在しているのか!!
その疑問の答え合わせが……今ここで!?!
「先生……顔色がすごいぞ?」
「そりゃそうさ、島の外のズメイの姉妹。
その賢者は、答えをうっすら持っていた。
この島は、誰かが作った箱庭なんだという事を。
そして、それは正解なんだよ」
─────や、
やっぱり、そういうことか〜〜〜……!!
「箱庭……?」
「……おかしいじゃないですか、進化とは世代を重ねてその時の最適解を選んでしまう事。
なのに、まずこの島に来るきっかけになった恐竜は、その進化の歴史において試行錯誤の中にいた生物です」
私が島に来た理由、アルトリーシャさんが見せた恐竜は、
取りに至る道すがら、異形となったスカンソリオプテリクス科の恐竜、コウモリの翼に鳥の姿のイ・チ。
ジュラ紀の試行錯誤の時代の一体。
鳥に到達されるはずの、悲しくも多様性を象徴する一体。
「でもここは、ミッシングリンクこそいないものの、先祖と子孫が平然と共存している。
おかしい、これじゃあまるで動物園です。
いや、この場合ジュラシックパーク。
この異世界で再現された『中生代』のテーマパーク。
いえ見せ物ではないとは言え、あまりにも区画分けや生息地分けが完璧すぎる。
人為的な、人工の自然再現。
バイオスフィア……人工の地球環境再現実験場として作られたと言われた方が納得する……」
そもそも、熱帯の島の中に明らかな寒冷地を作れるってどういう事なのか?
もしそれができるとしたら、それは……
「……我々は、別にこの島を作った存在に作られた訳ではない。
ただ、我々は連れてこられたらしい。
この島を作った、天地すら作れる何かにね」
そして、ババヤガさんはそう語り出します。
「これは、私の祖母がその祖母から、その祖母も祖母が、エルダーに出会った事から彼らから聞いた途方もない昔話さね。
この島は、何かとてつもない力のある存在に作られた。
神と呼んでも良いが、彼らかあるいはそれらはおそらく、
今この老骨がいる世界の外の世界……その賢者がいる異世界に存在したものだ」
「え?」
そこは予想外でした。
「どうも、彼らは異世界の天変地異で滅びを経験していたらしい。
その滅びより逃れるため、まだこの世界に命がない時代に異世界からやってきた。
彼らは神ではない。我らと同じいつしか生まれて知恵を持つようになったもの。
ただ、この世界に命がない時に世界を渡り、この世界に自らと生き残った種を保存する事を決めて降り立った。
以来、彼らはこの世界のどこかに住まいながらも、この世界に広めた命には干渉をせず、
されどある時代までに異世界の時代の節目に故郷へと舞い戻り、異世界の生き物をほんの少しだけ持ってきて、この島で保存をするようになったらしい。
我らの祖先も、そして我ら自身もそうしてこの世界に、この島に連れてこられ住まうようになった」
「…………」
なんてこった。
じゃあ、ここにいる恐竜は、本物ないし確実に直径の子孫。
いえ、それどころかこのファンタジー世界の全てが、その誰かが私達の世界から生き物を運んできて生まれた……!?
「…………じゃ、じゃあ……私達の聖教含めた神話の矛盾である、そもそも人間などは誰が作ったか分からない、っていうのも……!?」
「……え?そっちの宗教では、神様が世界の命作った創世論的な神話じゃないんですか?」
「ああ。神族すら知らない。
神同士の争いの原因にすらなる。
神を信じない魔族は外で楽しめるがな」
ナハトさんの説明で、結構アバウトな宗教観なんだなってことも今知れました。
「アンタ知らんかったの学者のくせに!?」
「宗教は専門外で……専門の知り合いが白目剥いて歯を剥き出しにして発狂しそうな内容ですが」
「たとえアンタの異世界猿の知り合いじゃなくて、私より長生きの老害ハイエルフとかが知っても同じことになるわよ!!
私も専門外だけどなりそう!!
これまでの常識がどっかに行く話よ、嘘でもつかれてなければね!!」
「クックック、アンタらも大変だねぇ。
まぁ、この老骨もエルダーなんてものは見たことがないもんでね。半分は昔話さね。
この島の最果て、嵐を超えた向こうにいてこの島を管理するよう『彼ら』に頼まれ生み出された存在と聞いているよ」
その言葉に、フランツェスカさんもあんぐり口を開けて固まります。
「アンタ達は伝え聞くエルダーの特徴が良く出ているね。
そもすれば、この老骨より長く生きているだろう?
長く生きる生き物っていうのはね、死にやすいか、すっとろいかのどっちかさね。
血の一滴の話で全てがすっとろいから長く生きる。
だがアンタみたいな耳の長いエルダーの血筋は、異世界から我らを運んできた彼らが何か手を加えているんだよ。
この老骨の祖母の祖母が生まれる前から生きているんだろう?
その異常な寿命……誰かはおかしいと思わなかったのかね?」
「…………そこまで、分かるの?」
「いんや、これはやはりエルダーから遠い祖先が聞いた話さ。
ただ、このエルダーの話やアンタのような子孫の話は、この老骨やズメイ族と島の外の姉妹の話に繋がる」
ふと、ババヤガ氏は巨大な飛竜用の煙管を取り出して、なんらかの草を入れてふと口から火を吹いて点火。そのまま煙管を吸い始めます。
「…………いつだって、外に出たがるやつ、ここではないどこかへ行きたくなるヤツはいる。
この場の島の外の民もそうだろう?
きっと故郷では終われなかった。
それはエルダーも同じで、そして私達も同じだった」
ふぅー、と煙を吐くババヤガ氏。副流煙独特の匂いが、妙に鼻に残ります。
「なんのことはない、島の外に出て行ったヤツがいたってだけさ。
ここにいるのが辛かったのか、あるいはまだ見ぬ桃源郷を夢見たか、何かやらかしてしまったのか。
やはりこの老骨が生まれる前にそれがあったってだけさ。
…………ただ、それが今、この老骨の目が使える間に二つの島の外へ行った者の子孫が帰ってくるのが見えた。
そして、それがたまたま島の『異変』を解決する啓示だったというだけのことでねぇ」
「島の……異変?」
ふと、ババヤガ氏は、何か表情が真剣な気がする私達の隣のヴェロニーカ氏を見るよう顔を動かしました。
そしてそのまま視線をアリーサ氏に向けると、アリーサ氏がはっきりと頷きました。
そして次に下にいるズメイ族の長、ゲラシム氏に移ります。
「…………話してくれ」
「……ん」
そして、私たちに視線を戻すように動くババヤガ氏です。
「事の発端は、島の側面にある巨大で広大な平原の騒ぎだ。
あそこは、我らと似ているが違う種族が住んでいる。
ちょうどそこのアリーサに見た目は似ているが、より細く速い。
主に首が長く巨大な身体の獣を、見事な狩りの腕で仕留めるヤツらだ。
異世界の賢者殿はコレだけでなんとなく分かるんじゃあないのかい?」
「……アロサウルス上科……カルカロドントサウルス科、ですかね?
歯がナイフのような仲間で、噛み砕くのではなく切り裂き肉を抉り出血を誘う」
なんとなく知っている特徴が合う生き物を述べると、正解を示すかのようにゲラシム氏やオリガ氏、真横のアリーサ氏まで驚くのです。
「そう、その彼らさ。
彼らとは直接会う訳ではないが、我らがフェンドラグ族のいる『カイナ氏族』の兄弟たる『アギト氏族』の中でも大きく強いもの達が一つ『レズィナ族』というもの達がよく彼らとは交流している。
レズィナの族長は恐ろしい上に頭がキレるが、存外に他の族との外交が上手いものでね……
その結果、平原の異変と共に平原の一族が助力を請うてきたとのことなんだよ」
「助力?」
「曰く、『巨大すぎるモノが現れた』らしい」
巨大すぎる……モノ?
「賢者殿は知っているだろう。そこのアリーサも一族では大きな部類だが、平原にいる一族やレズィナ族はもっと大きいモノだ。
だが、それですら首が長いヤツらの半分にもならない」
「竜脚類か……!」
竜脚類とは、恐竜の時代の最初から最後までずっと巨大で強力な草食動物として君臨してきました。
ティラノサウルスと同サイズ帯のカルカロドントサウルス科の恐竜が集団で狩りを行うほどの巨体です。
「しかし、巨大だが見慣れてる筈の奴らが『巨大』というのは珍しい。
何より珍しいのは、先ほど話に出したレズィナ族の対応よ。
奴らは、小さき内は速く駆けてその目と鼻で世界を見聞きし、大きくなればその世界を支配すると言われる賢者でもあり強力な狩りの一族。
それが、妙に慌ただしい。
もしや、これもまた大昔の話に出てくる怪物が現れたのかもしれん」
「大昔の怪物……?」
「この老骨が幼い頃に祖母から聞いた怪物がいる。
森を喰らうモノ、
あるいは砂漠を広げるモノ、
そう呼ばれる巨大で恐ろしい何か、だ」
それは、ずいぶん穏やかじゃあない名前でした。
「森を……喰らう?」
「そのモノは、とてつもない巨体で、とてつもない巨体故に常に腹を空かせ、喉を渇かしている。
そのモノが通った大地の木々は枯れ果て、そして川は全て飲み干され干上がる。
それは、キバある竜たち全てを蹴散らすほど硬く、強靭で、そして何より巨大な身体を持つ。
そのモノが現れた時、あらゆる肉を食うモノたちはその縄張りを超えて挑まねばならない。
幾多の同胞の、あるいは敵の屍を超えてその長い首の頭を切り落とし、その硬くも美味なる肉を生きるもの全てに分け与えなければならない。
…………この老骨の祖母は、それを見たことがあると言っていたよ。
あれは首長のノッポの中でも、一際大きいモノだったらしい」
恐ろしいけれども、何故かその描写には私の知識が反応していました。
どう聞いても竜脚類。でも、誰だ?
「……この老骨が、祖母の話を思い出したのが、レズィナ族の若造がこんな寒い場所まで今のレズィナの族長の協力を請うて来た時よ。
そこから、急に見える様になった。
そう、あんた達がくる未来がね」
「え?」
ふと、ババヤガ氏の翼のない右腕がこちらに伸びて、第二指をまっすぐ私達に伸ばしてきます。
「海の向こうから来た、遠い昔分かられたズメイ族の片割れ。
異世界から来た、この世で誰よりも我らを知る賢者。
同じく異世界の狩人。いずれは望みの獲物を撃つことになるだろうね。
若い冒険家の外の大陸の種族に、エルダーの子孫が二つ、白と黒。
ドクロ顔の魔術師。
見えた通りだ。
あんたらの、我らの祖先を探し、島を冒険する旅の果てに、
巨大な怪物を撃ち倒すのに必要な事をする未来が見えた」
え?
……そんな、そんなまさか……!!
「そんなまさか!?」
「白いエルダーの子孫、アンタの仲間の竜を狩るもの達と、要塞を砕いた事のある男は今ちょうどその怪物と相対し、負けている頃だよ。
次に会うときは、島の竜を喰らう事で力を取り込む魔術でそれぞれに合う竜を見つけてやりな」
「ちょ、ちょっと待ってください!?
本当に、本当に未来が見えてるっていうんですか!?!」
竜狩り騎士隊の事は言ってない!!
なのに、なんでフランツェスカさんの仲間達を知って!?
「……俺もまず、一本いいかい?」
ふと、隣でバートさんがそう言って、タバコを出して一本取り出します。
「アンタも呑むようだね?」
「普段は控えてるが、俺はイギリスの血を引くアメリカ在住の男にしちゃあ、日本の狩人の伝統が好きなんだよ。
眉唾な話や状況では、まずタバコを吸うべし。
煙は邪や幻を払う魔除けってね」
そう言って、許可も待たずに火をつけて、バートさんが一本深く吸って、長く煙を吐きます。
「…………で、だ。
占い屋のオールドレディ、俺の占いの結果を詳しく教えて欲しいもんだ。
俺は、Tレックスを狩る事は出来るかい?」
そして、ふとそう尋ねるバートさんです。
占いって、信じてないみたいな言い方!!
「客人、ババヤガを疑うか?」
「お婆様が嘘を言うとでも!?」
「辞めなゲラシム。ヴェロニーカもみっともない。
そうさね、じゃあこの老骨の『占い』を教えてやろうじゃあないか」
しかし、まるで知っていたかのような顔を見せて笑うババヤガ氏。
「アンタは、レズィナ族を一人、そしてバタル族を一人、アンタの言う『Tレックス』かそれに近い二人、その命を奪う事になる。
一人は不本意だが、もう一人は名誉ある決闘でね。
アンタは、望む望まざるに関わらず、英雄になる。
良かったねぇ?これで満足かい?」
「……最高の占い結果だ、オールドレディ」
ニィ、と笑うバートさん。
「あんま信じてませんよね?」
「未来なんてもんは二分の一さ。
俺は基本占いも未来予知も信じちゃいないが、それでもたまらなく信じたい時がある。
今はそうってことさ。なんなら、ラッキーアイテムがあるなら持って行くぐらいだよ」
「ラッキーアイテムって……」
「まぁ、もしもこの老骨の占いを信じるなら、その銃の弾は余計に二発は懐に入れておくべきだね」
「そしてあるんですか、ラッキーアイテム」
剽軽なお婆様ですねぇ。
「……所で、異世界の賢者や」
「あ、私?」
「アンタ、まだ母親を恨んでいるんだろうね」
─────え?
「え、あ……えと、え?」
待って、なんで?なんでその事を?なんで!?!
「まぁそれも仕方ないが、アンタこの先近い未来に父親に再会するだろうから言っとくよ。
母親の遺言には従うと良い。
アンタの父親は相当女を泣かせたアホだが、クズではないからね。
まぁ、とはいえ決めるのはアンタだよ」
「おい待てや婆さん!!そりゃあいくらなんでも踏み込みすぎじゃあねぇのか!?!」
「待って。バートさん待って」
……ちょっと呼吸を整えさせてください。
……………………よし。
「……正直飲み込めない話題ですけど、覚えてはおきます。
それより……あなた方の都合もあるでしょうけど……
私達の目的は、達成できるでしょうか?」
ちょっと、この話題は今は触れられない。
本題でもあるし、卑怯な事ですがそう問う事を選ばせてもらいます。
「……そっちだが、ふむ……
まぁ、言っておく方が妙な事を言った詫びにはなるかね」
ふと、何か一瞬言葉が澱むババヤガ氏。
やがて、一服だけ煙管でタバコ葉の煙を吸ってから、こう言います。
「まず、これは頼みなのだが、そこのオリガを連れて行っておやり。
行く運命であり、役に立つからね」
「……アルトリーシャさん、一応あなたがリーダーです。
どうしますか?」
「私は構わないが……」
「問題はもう一つの方だ。
……アンタらは一度エルダーがいる土地に向かう必要がある。
アンタらの言葉を借りれば、『イラズのトリアス』に」
ぶーーーーーーーーーッ!?!!
ゲホッ!?!ガホッ、オエッ!?!
「待て!!!!!!!
トリアスはダメだ!!!!!!!
死んだ方がマシな場所だぞ!?!??!」
「そうですよ!??唯一の経験者、アルトリーシャさんが言うレベルの場所ですよ!?!?
聞いただけでまず今は無理な場所ですよ!?!
分かってんですか!?!??
地獄の三畳紀の世界ですよ!?!??」
「いいや、アンタらはその地獄に突っ込む運命だよ。
そこを通り初めて、鳥が生まれた森にて我らの祖先と出会うんだ」
「貴重な情報ありがとうございました!!!!
でも絶対、絶対トリアスには行きませんよ!!!」
なんて事を言うんですか、このお婆さんは!?!?!
私の……まぁ、個人的な話はともかく、トリアスへ!?!?!
「まぁ良いさ。
どのみちアンタ達は、地獄へ行く事になる。
意外な味方も出来るかもだが、どちらにせよ今日はこの村で休んで行ったほうがいい」
「一応、逸れた仲間がいるが?」
「そっちは心配しないほうがいいさ。
午後からはここら辺は天気が荒れる。
心配なのはそっちの方さ」
「ちょっと待ってくださいババヤガ。
我々はホグル族にとってはそちらの方が重要ですが!?」
「急いで同族を非難させないと!」
……まさか、そんなことまでこちらのお婆さんは分かるんですか!?
「さて、どうせアンタらも暇になるんだ。
他に聞きたいことがあるなら、ゆっくりしながら聞こうじゃないか?」
……申し出を、受け入れるしかないかな
***




