第20話 : 決死の大作戦開始!!ハツェゴプテリクスの猛攻から探検隊は逃げられるのか!?
魔法由来の激ヤバビームを吐き、同サイズの相手も捕食しようとする巨大翼竜ハツェゴプテリクスの猛攻を受けている天才古生物学者の小平名香代ちゃんですが、
「まさか君がいてくれるとは……!」
その目の前には、林に頭から突っ込んだハツェゴプテリクスがそのまま動かなくなった『原因』がいました。
それは、全身ゴツゴツしたトゲというよりは……装甲のような骨で覆われている恐竜でした。
赤い体表は、彼が見つかった時に残存していた皮膚のケラチン質の情報通り。
世界一保存状態の良いミイラ恐竜の、情報通り!
「コイツは、アンキロサウルスじゃねぇか!?」
「正確には、その系統とは別の『曲竜類』のノドサウルス科、
ボレアロペルタ、です」
そこには、天然の装甲車がいました。
恐竜の目にとっては見えずらい体表と、並みの恐竜では絶対貫通できない重装甲の。
「……君が大人しい上にきっと臆病なのは知ってるけど、
ごめんね?」
ここで私は、使えると思って持ってきていて良かったスタンガンを取り出しました。
「ほらほら行った行った!!!
休むなら砂浜で休んで!!!」
ブモー!!
動物虐待ごめんなさい。ワシントン条約違反確実でごめんなさい。
大人しく隠れてやり過ごすのであろうと生態予測されてるボレアロペルタ君を砂浜に引っ張っていきます。
「あのビームくるぞ!!」
「防御!!」
なんでも切れちゃう激ヤバビームが降り注ぐ中、このボレアロペルタ君を盾にする事で防いでみんなの元へ向かうのです。
曲竜類、あるいは鎧竜類と言った方が分かりやすい彼らは、皮骨と呼ばれる堅牢な装甲を全身に持った草食恐竜グループです。
アンキロサウルスが有名ですが、それと対岸にいる『ノドサウルス科』はより防御へと特化した身体を持つ種でもあります。
このボレアロペルタ君もまさにそんな曲竜類の中でもガッチガチに防御特化のようで、なんとあの激ヤバビームが背中の辺りで反射してしまうほどの完全防御を見せています。
魔法の世界のノドサウルス科は、言ってしまえば『生きた戦車』の言葉通り!!
「良いねぇ!こんだけ硬い盾が移動してくれるとは!!」
「けどこの子、臆病だから油断してると多分森に逃げちゃう!」
そう、問題はこの赤い戦車はその重厚な見た目に反して、大変に臆病というかこうやって電撃でおしりつついてあげないとすぐ止まっちゃう!!
虐待しないと動かないだなんて……こんな状況じゃなければ、可哀想って思えますがね!!
「先生!!こっちだ!!」
「助かった!!装甲車は先に行かせたぜ!!」
「してなんだその変な竜は?」
と、まぁなんとか生きてるアルトリーシャさん達と合流!
詳しいメンツは、他にはカイルさんとあの黒いエルフさんと、あの髑髏顔のナハトさん!
「なんの畜生拾ってきたかと思えば、使えそうじゃない!!」
後はフランツェスカさん。畜生って彼は救いのヒーロー兼盾ですよ?
「ボレアロペルタ君ですよ!
ハツェゴプテリクスが突っ込んでそのまま動かなくなるぐらい硬い!!」
「けど臆病でな!!今にも逃げ出しそう、って逃げてるじゃねーか!!」
やっべまた森にノッシノシ歩き始めたぞボレアロペルタ君!!
「もうスタンガンし続けるのもアレだから、盾にして行きましょ、うわっ!」
危ない!!立ってたらうっかり首から上が斬られちゃう!!
「……コイツ、やっぱりこれは反射魔法……いえ、『偏光魔法』が正しいのかも」
ふとフランツェスカさんがそう呟きます。
「偏光?竜落の魔術師殿の講義の時間にしては随分荒々しいが、興味はあるな!」
「前から、飛竜人の『魔法が効かない体質』にちょっと疑問があったのよ!
うぉ……でもこのブッサイクだけど頑丈なヤツのおかげで何かわかったかも!」
「それ気にはなりますけど、今話すのもアレでは?」
「アレね……じゃあ、別のアレについて言いましょうか?
ほらあそこの死んでるヤツ!!」
気がつけば、ボレアロペルタ君の元いたあのハツェゴプテリクスが動かなくなった場所へ。
茂みの向こうまで覗いて見れば……うわ、クチバシが折れて脳天に刺さってる!!
「これ、二重のチャンスね。
私は心臓を貰うわ」
「俺は内臓なんぞなくとも、なんとかなるだろう」
「二人とも何する気で?」
「食餐魔法よ」
「それと死霊魔術だ」
手際よく、ナイフで胸のあたりを切り裂いて、血まみれの心臓を取り出すフランツェスカさん。
「魔法の習得方法は3つ。
知られている体系化した魔法を学び反復練習していくか、あの鳥トカゲみたいに知識なく感覚のみでその生き物や血筋固有の魔法を自然と覚えているか。そういう固有の魔法を一部では『スキル』とか言うらしいわね。
そして、そう言った固有の魔法はね?
そいつの心臓を自ら喰って体内に取り込むことで覚えられる場合がある」
可愛いお口に似合わない、血まみれの心臓の肉を噛んで、ちぎって、咀嚼して、飲み込む。
「……ぐっ!?」
そして、突然胸の辺りを抑えて表情が強張るフランツェスカさん。
「まさか何か毒が!?」
「違うわ……!これが成功の証……!!
むしろ、これは……!」
ギャオーッ!!
瞬間、現れた新しいハツェゴプテリクスが上から襲って来た!?
バシュゥッ!!
そして、真っ二つになって血の雨を降らせながら落ちて……私たちはとりあえず無事!!
「……とんでもない魔法使えるようになったかも……!」
何故か煙を上げている杖を掲げて、撃った本人なのに一番驚いているフランツェスカさん。
「なんで自分で驚いてるんですか」
「アンタら下等生物には分かりにくいでしょうけどね、恐ろしいほど馴染むのよ。
今初めて使った魔法なのに、初めて出会った化け物の心臓で得た魔法が……!」
ふと、再びあの激ヤバビームを放つフランツェスカさん。
そこには結構ボロボロな暗黒竜デーギラ氏が今にも襲いかかりそうだったところです。
しかしかのハツェゴプテリクスより得た激ヤバ魔法ビームで背中の片方の翼を斬り落としてしまいます。
「|主人《あるじ』よ!?」
「グッ……得たか、あの化け物の力を……!
いや……それにしてはなんだその火力は……!?」
確かに、ダメージも多く敵さんの幹部のお爺さんも少年君も目を見開いてしまうほど。
「私が聞きたいわよ。
今日初めて使った、今初めて食餐で得た魔法。
なのに、まるで生まれた時から使えたかのように、当然のように馴染むの」
気のせいか、なんかフランツェスカさんの周りの空気が歪んでると言いますか……
ほら、あの漫画とかである気とかオーラとかそういうのが身体から湧き上がるアレ!
「この反応……まるで『禁忌の食餐』をしたかのようよ。
ありえないぐらい、私の力が増している」
「禁忌の食餐……?」
「『身内喰い』よ、異世界の賢者。
血が繋がってるならなおのこと馴染むの」
げぇ、それって……つまりそういう事!?
「フン……エルフに翼付きのトカゲの肉親がいたとはな。
知らずに親を殺した感想はどうだ……?」
デーギラ氏の翼が、黒いオーラみたいなのが傷から湧き上がったかと思えば一瞬で翅の形になり、元の姿に変わります。
治るのか、あの傷……!
「そうね。クッソ気分悪いわ。
生の心臓、ましてや肉。マズイに決まってるでしょ?
ああ……アンタも見た目だけはトカゲだから分からないわね。
生でアンタも食えば?ほら、殺した肉はいっぱいあるでしょ?」
ただの嫌味のはずなのに、なんだかフランツェスカさんの威圧感がすごい。
なんでしょう……まるで、彼女自身が爆弾に思えてしまうような。
「…………フッ、ククク……!
ではそうさせてもらおうか」
ふと、デーギラ氏が何か、湧き上がる闇のオーラというか、泥みたいなエネルギー?とにかく何か異様な力に包まれていきます。
「な、アンタ……!!」
「そウ言えバ────オマエとハ、コノ姿は久々だったな」
突然声にノイズが走って……なんだか、声が高くなって……?
闇の泥的ななんらかのエネルギーが、包んでいたデーギラ氏ごとどんどん萎んでいって……
いや違う、なんでしょこの変な感覚。
圧縮。咄嗟に頭に浮かんだ言葉がそうです。
本来空気でスカスカだったような発泡スチロールやらそういった素材を、深海のすごい圧力で晒すと縮んでいく感覚。
そして、圧縮された分の密度がどんどん上がっていく感覚。
「なん……だよ、この魔力量は……!」
「下等生物の割に、そこのガキンチョは分かるのね」
「一体何が?」
「デーギラは見栄っ張りっていうことよ」
パン、と闇が一瞬で消えた時、そこには信じられない物が立っていました。
「貴様らは良いな。羨ましいぞ。
他種族へ恐れを抱かせる責務もなく、威圧感が無いことをむしろ美徳として扱う」
声が、幼い。
いえ声だけじゃなくて……その、デーギラさんのサイズが……!!
「羨ましくあり……あまりに醜い。
この我の真の、唾棄すべき姿を鏡越しで見るのと同じだ」
デーギラ氏は、サイズがずっと小さくなっていました。
1m……いやあっても2m。尻尾の先まで。
翼開長も、似たようなサイズです。
何より顔立ちが……先ほどまでの竜同然な顔をより幼くしてしまったような。
「久々に見たわね、素顔を。
100年ぶりかしらね、そのかわいいチビトカゲ顔をまた見れるなんて。
また……ああ、そう言えば?」
ふと、大仰に左上辺りを見て顎に手を当てて思案する顔を見せて、フランツェスカさんはデーギラ氏へ嫌味たっぷりに口の端を曲げて言います。
「その顔を見たやつは全員殺す、だっけ?
おかしいわね、なんで私二度目なのかしらね?」
嫌味、ここに極まれり。
短くその説明の要点をまとめてたっぷりの悪意を込めての言葉。
それに対して、デーギラ氏は……
「……ハァー」
でっかい、それでこそさっきまでのドラゴンっぽさ全開の姿のサイズぐらいありそうなため息を一回。
「今更、だな。
お前たちは殺す。必ず殺す。
だからこそ、この醜い姿を晒してやったのだ。
それと、口の減らないエルフのガキ、
お前は100年前我から逃げた癖に、よくまぁそんな嫌味が言えるな。
世界樹並みの神経の太さだよ、いやこれは嫌味じゃ無い。褒めてやってる」
「あら嬉しいわね。
戦略的撤退の事なら、逃してる次点でアンタの負けよクソチビ」
「そうらしいな。そこは認める」
ふと、小さな手を横に伸ばしたデーギラさん。
瞬間、ぞぶりと闇のような魔力的なアレが腕のような形になって伸び、おそらく本人が噛み殺したであろうハツェゴプテリクスの遺体を引き寄せます。
「お前相手に、舐めた真似をしていた。
竜落の魔術師、我が憧れた英雄たる古竜を英霊に変え、我を下げずんでいたクソのような身体だけ大きくなった同胞を幾つも屠ってきたお前相手にだ。
……ハァー、情けない。我は、役に入りすぎた」
そして、もう片方の手に同じ魔力的パワーの腕を作ってハツェゴプテリクスの身体に捩じ込んで、心臓を引き摺り出します。
そして……やっぱりというか、生のまま食べます。
「……本気ね」
「お前ほどの相性はないが、あの我が愚かだが身体だけは頑丈だった同胞を模した擬態を貫ける技は使えるだろう。
……アンシール、アリーヤ君。下がっていろ。
他の物もだ。巻き込むのは気が引ける」
瞬間、部下の皆さんが無言で一礼してから下がり出します。
まるで動きに迷いがない、むしろ邪魔になるとわかっている動き。
「……みんなも逃げなさいな」
「置いて行けと?」
「勇者になったからってボケたわけ下等生物の飛竜人。
邪魔だっつってんのよ、コイツはいつもの強くて残忍な強大なドラゴンのフリを辞めたガチの暗黒竜よ。
島の地形変わるわよ?」
「それは困る!!」
ついでた本音に、皆一斉に私を見ます。
「……なんです?」
「いやその、何に反応してんだよアンタ」
「……ソイツは、なんかもう殺すのも嫌になってきたが?
人と常識がずれていると言われないか?」
「そこまで言います!?!」
それは……多少あるけど……いやあるけど!
「…………そのままふざけていてくれ」
ふと、背後で小声のナハトさんの声。
「ん?」
「……振り向くな!……そのままふざけていてくれ。
……逃げる準備をしている、もう少しあの暗黒竜を煽って会話を続けててくれ……!」
……え?
いやいや無理無理、首振れないですけど伝われこの気持ち!
「頼む……!」
いやいや頼まれてもどうすんです?
てかふざけてませんが?私至って真面目にこの島の保全状況を憂慮してますけど!?
「…………いやあの、やっぱ戦いとか辞めません?
この島の保全の方が大切ですし?」
じゃあ、素直にそう言ったほうがいいか。
チュンッ!!
いや、足元に黒い激ヤバビーム照射されましたが?
「知識に殉じたければ好きにしろ。
お前は……なんでそこまで自由なんだ?」
なんですかその目?
いや周りも言われて当然みたいな眼を。
「…………そりゃ、生きてる間は人間は基本的には自由なんですよ。
そりゃあ、この世には常識だの、暗黙のルールやらありますよ?
けど、いやちょっと主語小さいな。
生物とは、基本的に自由な物なんですよ。
生態系ニッチ、生き残りやすい形質はあろうとも、環境という制約があろうとも、
その中なら何やってもいい。
馴染めないいなら場合によっては、住む環境を変える自由がある。
どう生きたっていい。ハマれば儲け物。大繁栄。
でもハマらなくても細々生きている道もある。
まぁ、私は基本的に過去絶滅した生き物や絶滅から免れた生き物を見て思うのは、
自由なほうが基本生きやすい、ってことだけで」
何故か、ピクリと片眉が動くデーギラ氏。
「そりゃあ、私もこう見えて事実上の孤児で、親代わりの人は良い人だけど私のことは絶妙に理解してませんけど、まぁ基本的に放任である意味で自由にしてもらえたおかげでまだお酒も飲む前に大学で教鞭取れる程度に恐竜や小生物を学べましたし。
まぁちょっとニッチな道ですけど、私は今選んだこの道に満足してまして、この道の上では好き勝手やってやろうって思ってますし?」
「………………」
例えば、この感覚を理解してくれる人はいるでしょうか?
幼少期のおクソガキ様だった頃、揶揄った友達の顔を見た瞬間「あ、ライン超えた」って気づいた、あの感覚。
あ、泣かせちゃった。
涙が出る前に、やっちまったって気づいたあの瞬間。
「……ウグゥ……グ、グゥ……グゥ〜……!!」
デーギラ氏、泣いてしまいました。
「……え?」
「は?」
「……お前が羨ましい……!」
例えば、昔一度だけ見た顔です。
私が大学にいた頃、やたらと私にちょっかいを出してきた、同年代の飛級学生の子。
何かにつけて、私より自分が上って言ってたあの子。
あの日の論文発表の時、おんなじ題材が被った時、
私は彼の論文も良いなって思ったのに、彼、
私の発表後に、彼、
こんな、唇を噛みちぎりそうな顔で、
「なんで我はお前になれない……ッ!!」
言ってたな。そんなこと。
そう言えば、このセリフ聞いたのあの大学の階段の上で、
そうそう私突き飛ばされたっけ。今みたいに。
「危ない!!」
「うぉ!?」
アルトリーシャさんが咄嗟に突き飛ばしてくれたおかげで、髪の毛がちょっと切れた程度で済みました。
「頭狙った!?」
「お前を殺したいと思った理由を認めたくなかった。
ずっと我に敵意も憎悪も無かったな。
ずっとだ……それどころか、この我を心配してすらいたな?」
「それの何が悪いんです!?
というか、この島には恐ろしい恐竜やら翼竜やらいるのにまだ話が通じる方を、」
「それ以下か。この暗黒竜デーギラは?
お前は、この場で誰よりもこの我を過小評価していたな?」
は!?そう受け取りますぅ!?
「……そもそも、なんだ?今考えればなんだその名前は?
恐竜?恐ろしき竜?あのデカいだけのトカゲがか?」
……何ですって?
「ああ、納得だよ。あれほど強そうな、」
「あなたこの島でまだまともな、というか『恐竜』の名を持つに至った彼ら見たことないじゃないですか?」
デカいだけのトカゲ。なるほど、考えても見たら彼が見た中で一番強いのが、ハツェゴプテリクスじゃあそういう感想にもなる。まず彼は翼竜だし。
「メガロサウルスを見ましたか?
成体のティラノサウルスは?ティタノサウルス類をはじめとした大型竜脚類は?
そう言えば、あなたまず夜に来たせいで白亜の村の領主たるスピノサウルスも領主軍のバリオニクス達もまだ見てないですよね?」
「……何が、言いたい?」
「あなた、自分が恐ろしい存在として認知して欲しいっていう割には、言葉の節々に真の恐ろしい物に対しての解像度が低いですよね?
こうすれば怖がるだろう、恐れ敬うだろう。
そういうのが見え隠れしている割に、本気で恐怖させる要素が薄く感じてしまう。
そして、周りにいる本当に恐ろしい物を矮小化して見ていない。
いや……というより全力で眼を背けている。
知識として知っていて、だけどそこにある質感を感じないよう、眼を背け近づかないようにしている印象というべきか。
……もしかして諦めてません?内心自分が恐怖の存在になろうとしているのを。
ただ周りの期待に応えているだけの、役割以上になれないとか内心、」
「やめろ!!!」
攻撃が来そうな大声と、しかしかの暗黒竜はその小さな手で顔を覆って、うずくまる姿勢。
「やめてくれ……!」
……まさかの、本気で泣き出していたんです。
「……言いすぎましたね」
「……アンタ、すげぇよ。
この世で暗黒竜の真の姿を見たやつで今生きてるのは俺らも含めて多くなったけど、
口だけで、ドラゴン泣かせたの先生だけだよ」
「…………プッ、クククク……!!
哀れよねぇ、チビ暗黒竜ちゃん?
結局アンタは見た目通りの弱々しい性格のまま、力があるからってだけでずっと力のある強大な竜のフリをし続けただけの虚像の竜!
異世界から来た下等生物にすらそれが見抜かれるなんて、もはや哀れすぎてこれ以上煽る気にもならないわよ?」
そして、ひっどいトドメのセリフをフランツェスカさんがいうもんだから。
「────同情が、最大の侮辱と知れ……!」
私だって言いすぎたし謝ろうかなって時にそんなこと言う物だから、なんか唐突に黒い球体の一般人が思い浮かぶブラックホールみたいなのをデーギラ氏が手をかかげて作ってしまうんですよね!
あ、これは殺意マックスです。私魔法とか詳しくないですが分かりますもん。
「跡形もなく消してやる……!!
八つ当たりと地獄で罵れ……!!!」
「……ねぇ、ナハトさん!?
やりすぎちゃったみたいなんんですけど、首尾は!?」
「時間稼ぎにしては、最大のダメージを与えたな!!
だがこれで良い!!間に合った!!」
瞬間、小さく何事かつぶやくナハトさん。
そしてむくりと何かの影が私達を覆います。
そう、死んでいたはずのハツェゴプテリクス。
もはやゾンビと言っても良い彼らが、私たちを足で掴んで、
「死ね……!!
我だって、我だって本当は……!!」
なんかヤバい攻撃が放たれると同時に、視界が暗転というか……目まぐるしく変わるというか。
気がつけば空。そう、すごい勢いで空に飛び出していました。
「これ、どこに逃げるつもりで!?」
「悪い知らせだが、分からん!!
なんせあの湖は地図にない!!」
「良い知らせはあるかナハト!!」
「最悪な知らせならある!!
着地に自信がない!!!」
島が一瞬全体が見えたかと思えば、見たことがない湖と……え、あれは雪?
そしてだんだん高度が下がっていきます。
なんだか、熱帯のはずの島と思えない雪降る湖へ。
「オイ、ドクロ頭さんよ!!そういう時は映画なら良い知らせを持っておくべきだぜ!!」
「……ずっと黙ってたけど、最悪」
「てかナハトお前ネクロマンサーの癖にゾンビの扱いが下手なのかよ!!」
「すまんが、短い時間では単純な命令と一瞬の使用期限だ!!
落ちるぞ!!カナヅチはいないな!?!」
「クソドクロ魔族!!アンタ後で、魔法の鍛錬をちゃんとしろこの低脳!!」
「……ところですまん。
私がカナヅチだ」
ふと、よりにもよってそういうアルトリーシャさんが見えた瞬間、
ドボン、と冷たい水の中へダイブしていましたとさ……
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