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異世界メソゾイック-剣と魔法のファンタジー世界の奥地、そこに恐竜がいまだ生きていた!?-  作者: 来賀 玲


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第12話 : 骨は語る!名香代准教授が復元した飛竜と飛竜人の骨格は、驚愕の真実を含んでいた!?






 美少女天才古生物学者、小平名香代ちゃんがこのメソゾイク島に来て既に4日経ちました。



「よし……」



 そして、この島に来た目的である『異世界エモールディアに何故か存在する恐竜達の調査』と同時に『その恐竜達の子孫であるワイバーンと飛竜人の祖先の発見』の為に、


 この3日間、寝ずにずっと、


 骨、組み立てました。



「ふはははははは!!

 とうとう飛竜の全身骨格を組み立て終わりましたよー!!」



 カフェインと糖分のパワーでなんとかやってやったぜー!!ふーははー!!この島にコーヒーあって良かったー♪



「ほう、それは良かったですね」


 すごいテンション爆上げしてたら、後ろにシスターが。

 刑の教会という異世界の宗教団体の聖女、つまりこの島唯一の『医者』であるカノン先生が、目が笑ってない笑みで私の肩を掴みます。


「まず鼻血を拭いてから、寝なさい」


 ……頑張りすぎて鼻血出してました。

 あ、そうですね。鼻血に気づかないなんて美少女じゃなくてもダメですね、


「はい」





 ───5日目の朝、ムクリと教会という名の病院のベッドで起き上がった私です。


 いやー、久々にすっごい寝ちゃった……


「さてと……なんか適当に摘んで骨見に、」


 ガシリ、と肩を掴まれたと思えば、ニコニコした顔と殺気だった目で、病院食入りのお盆片手に聖女様カノン様お医者様がまぁそこに。


「……栄養失調気味な自覚はおありですか?

 固形物が食べられないなら、点滴と入院延長もありえますが?」


「自覚無いので、医師の判断に従いマス……!」



 ───やっと、退院できたらお昼頃です。


「畜生、名医ですよあの聖女様」


 実際、美味しいご飯でしたよ。

 あとキツくキツく無理をするなと言われましたね、そうですね。


「とはいえとはいえ、ええとはいえ!」


 ちょうど置かせてもらってる空いてるほったて小屋に到着!!


 そこには、巨大な骨格と、なんか藁の上で寝てるカルノタウルス君が!


「……えぇ?」


 一応、起きた時のための餌もらってくるか……私がブランチになりたくないですし?




「さてさて、記録を開始しますか。

 マイク音量大丈夫です?チェック、1、2」


 カルノタウルス君がガフガフ食べてる横で、まずは復元した飛竜ことワイバーンの骨格から録音機能片手に観察開始。

 携帯のカメラでも割と高精度で映せるので、撮りながら見てきますか。



「……ワイバーン、あるいは飛竜。

 基本的な生息地は山岳や崖など高低差がある場所の上。

 下半身の骨格はまさしく、テタヌラ類っぽさ全開!

 ……カルノタウルス君と尻尾の柔軟性がちがうなぁって分かるなぁ……ピョッ!???」




 いやいやいやいやいやいやいやいや待って待って待って待って待って待って待って待って嘘やろこんな!?こんなことが許されてええんか!?!?!



「おち、おつけ、おちつけわたす、私……ひっ、ひっ、え、嘘!?いやいやいやいやいや、なんで今まで見逃してた私これを!?!

 組み立てたの私じゃん!?え???組み立てたの私じゃんよこれぇ!?!?

 え!?え!?いやいやいやいやいや待った!!!



 …………結論は早い。早い。

 まずは、他から見ましょうか。ええ」



 なんで組み立てた私が今の今まで気づかなかったんですかって言う、クッソやばい特徴を下半身に見つけてしまいました。


 ヤバすぎて、そりゃあもう……いやよそう。


 でもまず落ち着いて一旦……そこは置いておいて上半身から。

 



「……テタヌラ類ではない獣脚類、例えばケラトサウルス類まさしくこっちのカルノタウルス君などとの違い……は多すぎるようで、実は一番は腕の発達にあり。

 あのティラノサウルスですら身体に対して腕が小さいようで、ケラトサウルス類よりはずっと腕が強靭な恐竜です。


 そして、テタヌラ類でもコエルロサウルス類には強靭な腕を発展させていった種類も数多く存在します。


 テリジノサウルス、デイノケイルス、ドロマエオサウルス科や……そう、鳥なども」



 ワイバーンの腕は、まさしく強いものでしょう。見りゃわかります。


「ワイバーンの前脚に当たる部位は……ある種可動域がかなり高く、羽ばたきや微妙な翼の開閉を可能とするのに適しています。


 翼としての構造は第二指と第三指の間、第三指から脇腹の一部に被膜を持つコウモリや翼竜に似た構造。


 ただし広さや構造から羽ばたくのは余り得意ではなく、固定して風を掴む様にできている模様。


 そういえば、まだ細かいスキャンはできていないのですが、さっき見た下半身には恐らくある種の生体合成化学液を噴射するための総排泄孔(そうはいせつこう)、つまりうんちとオシッコと卵が生まれる穴が揃った部位とは別の穴が存在する以上、そういった毒腺のような袋がある痕跡があるはずなので後に探す予定」



 意外かもしれませんが、骨には柔らかくて消える部位でもそれが接着されていた痕跡が必ずあるはずなのです


 昔無知な漫画家がSNSで『ゾウとカバの骨格だけ見たらこう言う恐ろしい生き物と勘違いするよね』という絵をあげ、それを鵜呑みにしたバカアホボケカスのggrksとしかいえない低脳ども……おっと闇が溢れてしまった。とにかくそう言う悲しくも中世から脳を発展させてない方々のせいでそこを無視して『恐竜の復元は大変』と言うのです。



 そこじゃないんですよ大変なのは。

 少なくとも死後数日から数週間程度の白骨程度なら復元は簡単ですわよ。

 6550万年前で『最新の恐竜』だから困ってるんですよ、こっちはね。

 経年劣化ってどれほど骨の形やら何やら歪めるかを教えてあげたいです。

 あと、残ってる骨の数もそりゃあ減りますし、岩か骨かわからん場所なんていつものことで……


 おっと、闇が出てしまいましたね。

 つづき行きます。



「頭部は……え?何このツノの構造。

 うっそ、これ側頭骨から生えてるんじゃないの!?

 鼻骨から……えぇ!?!」


 角の骨の生え方がすごい事になってました。

 鼻骨……鼻の上の骨から薄く伸びて頭頂骨と合体して横にって……なにこの変な角?


 これツノというより……


「…………鶏冠(とさか)、ですかねやっぱ?」


 普通は、頭頂部にあるものを、なぜ私が鶏冠と言ったのかには理由があります。

 ……さっき見つけたやばい特徴を含めて考えると、いやもう死ぬほど嫌な予想が的中なんじゃないかということでしてね…………………………………………



 調べるしかないか……歯。


「……ここまできた場合歯を調べる必要があるので、まずは……歯形を調べますよー?」


 まず、頭蓋骨の歯の周辺を写真撮りまくります。

 次に口の中にカメラを突っ込んで、上下をパシャリ。

 最後は顎の裏から噛み合わせもパシャリ。


 さて……問題は『歯の形』ですかね。


「…………」


 写真の歯の形……その、どちらかと言えば噛み砕くためな歯を上から見た形は、まぁ予想通りというか……


 改めて、顎の骨を少し開いて、飛竜の歯特に前歯を見てみます。


「…………どうみても『D字』だ」



 ……この僅かな間でも、すでに信じられないある仮説が生まれる結果になってます。


 ……ではいよいよ、隣の飛竜人の骨格も見ますか……

 すでに、骨盤……というより『坐骨』の形で、仮説の補強がされてはいますが。







「名香代先生、いるか?」


「あ、どぞー」


 数分後、もうそうとしか思えない事実に飛竜人のシャレコウベ、まぁつまり頭骨を顔の上に乗せて寝そべってた私でした。


「うぉ!?何事だ!?」


 やってきたのはアルトリーシャさんと……

 あれまぁ、見たことないなんかなろう系ファンタジーに良くいる若者の皆様と目立つ髑髏顔の人達。


「ちょっと色々ありましてね。

 何かありました?」


「色々あってドクロかぶって寝そべるものなのか?」


「ネクロマンサーのオレでもやらないぞ」


「それ面白いぞ」


 アルトリーシャさんの呆れ顔に、なんかドクロの人と、アレ見たことあるな若い私と同じぐらいの男の子が面白ギャグを放ちました。


「ああ、彼らはここにきたいわゆる冒険者なんだがな。

 すまんが、先生が買った飛竜の骨を色をつけて買い取りたいらしい」


「……歯2本だけ貰えたら別にタダでも良いですよ」


「……歯?」


 それ、は?とかけたギャグなら激ウマですよドクロの人。


「どうしても、最後は断面図が欲しいので。

 ……ふぅー、大発見すぎても体力持たないですね」


「……どうした、先生?

 私もやっと退院させて貰えたが、なんだかこの前3日徹夜した後よりずっと疲れていないか?」


 脳の怪我で数日で退院したアルトリーシャさんに言われてもなって。


「……結論から言うと、まず落ち着いて聞いてくださいなアルトリーシャさん。


 アルトリーシャさんが見た、この島の『ジュラの世界』にいたらしい飛竜の祖先。

 残念ながら飛竜人の祖先ではないです」



 え、と驚くアルトリーシャさんと、何が何だか分からない顔の冒険者のみなさん。


「それじゃあ、私が見たものは、」


「ああ、言っておきますが、恐らく同じ様な場所に飛竜人と飛竜の共通祖先は必ずいます。

 それも断言できる結果になったと言うだけです」


「待て待て、我々を置いて行くな。

 いったい何の話をしている?」


 と、まともな事を言うドクロ顔の人。


「私の依頼だ。

 名香代先生は恐竜の専門家で、我々飛竜人と飛竜は恐竜から進化した生き物らしいんだ。

 私は、この島を死にかけながら探索した時にそれらしきものを見たんだが……」


「そっちは、恐らく飛竜の祖先かあるいは祖先筋から分化した親戚の可能性が高いかと思われます。

 この骨を調べた結果から、まぁ色々分かってきたんですよ」


「オイ、ちょっと待てよ!

 骨から調べた!?骨で何が分かるってんだよ!?」


 と、若い男の子冒険者が……ん?


「アレ、この人船の上でアルトリーシャさんのことめっちゃ差別発言してた人じゃ無いですか」


「ああ、そうなんだ。

 まぁ色々あってな……」


「ぐっ……悪かったで済まねーのは分かるけど、悪かったよ……


 てか、骨で何が分かんだよ結局!?」


「……いや、さもそうありえない事ではないな」


 おや、ドクロの顔の人からまさかの助け舟が。


「骨という物には案外跡が残る物だ。

 傷跡、成長線、病気の証拠まで……

 なんなら、オレの様なネクロマンサーは操る骨の歪みから得意な技まで分かることもあるぞ」


「それどころか、場合によっては姿形以上に生物の分類を決める手掛かりにもなります。

 何の仲間かも見た目より雄弁に教えてくれるのが骨なんですよ」


「……信じらんねぇ」


「と言っても、重要なのは蓄積した骨の知識というのも重要です。

 そういう意味でも、結構新発見ばっかりでしたけどね飛竜と飛竜人の骨格は」


 ……こういうと貴重だしあげたくなくなるよなー。

 まぁでも仕方ない……言った手前は歯だけで手を打つか。



「……待て。

 そうか、だから歯を欲しがったのだな異世界人?」


「あ?急になんだよ!?」


「骨の中で最も個性が出る場所は歯だ。

 生前の顔つきなんぞ分からないものだが、ネクロマンサーをしてきた身として骨を見続けたからこそ分かる」


「……お前すげぇな。わかんねぇけど、お前が言うならそうなのか」


「……まってくれ。

 飛竜と飛竜人の歯は全然違うぞ?

 飛竜人の私が言うほどに」


「それはそうとも言えないのですよ」


 ……どうせだし、飛竜の骨格から歯を一本、飛竜人の歯も一本ちょっと抜かせてもらいますか。


 そして、まぁ知ってるとは言え……これをノミで慎重に、でも一気に割る。


 二つとも割って、大きさの違う上に一見形が違う歯の断面をお見せします。


「?」


「……!!」


「やっぱり気付きますか、ドクロの(かた)は」


 顔がドクロだって言うのに、表情と視線が分かりやすい。


「……断面が、同じ形、だな?」


「その通り」


「は?え?

 ……あ、本当だ」


 飛竜と飛竜人の歯は、断面が同じ形です。

 ちょうど『D』の形の様になってますよどちらとも。


「へー……こうなってんのか……お前も見るか?」


「あ、遠慮なく。

 はえーてっきり、綺麗な円形か、ちょっと歪なのかなって思っていたけどこんなんなんか」


 と、彼らの目立つ二人後ろの3人目の男の人がそんな事を言いますのです。

 まぁ……珍しいですよね、それ



「他にも、飛竜の坐骨らへんと飛竜人の坐骨らへんなんかもちょっと特殊な形であったりしましてね。

 意外とこう見ると共通点多いんですよ。

 鼻骨がなぜか伸びてツノみたいになってたりとか」



 へー、と見せてみて驚く皆さん。


「そして、ここからが重要なんですが、

 この飛龍の坐骨周りと飛竜人の坐骨周りが、我々古生物学者で恐竜大好きな人間にとってはかなり重要な物でしてね」



 両者の坐骨、めっちゃ尖ってる三角形なんですよね。


 飛竜も飛竜人も、何故か下に伸びてる三角形の突起の様な坐骨なんですよね。

 それに恥骨がなんだかブーツ型です。


 ……この構造、死ぬほど見たことがあるんです。


「……股間周りの骨がそんなに重要か?

 少し恥ずかしいぞ、そこばかり見られると」


「あのですねアルトリーシャさん、


 ぶっちゃけるとこれだけであなた方分類できると断言できるんですよ」


「え?」


「もうこの際だから言っちゃいますけど、


 この特徴、プロケラトサウルス科っていう恐竜の特徴なんですよ」


「プロケラトサウルス……ん?

 まて、プロケラトサウルスといえば……!!」



 ふと、アルトリーシャさんが全身を探して、ふとズボンのお尻ポケットから私の書いた本を取り出します。



「プロケラトサウルス……聞いたことがあるぞ……入院中暇だから読んでたんだ……!」


「どれだよ、そのプロケラ何ちゃらっての!

 って、オイオイ、この前見たしこたま怖いやつじゃないか」


「おお、骨がここまで書かれている!

 これは材料選びにも使えるな」


「本なんて文字ばっかかと思ったら絵が多いなこれ」


「あった!!

 ……ええと、なになに……?」


 いやめっちゃ時間かかってるじゃないですか。

 本の内容ぐらい頭に入れておきません?


 ……作者のパワー見せてあげますか。



「似てるせいで間違えた名前から生まれた恐竜の正体とは?


 プロケラトサウルス


 プロケラトサウルスは、鼻骨付近に鶏冠をもつ獣脚類恐竜です。

 正則時代はジュラ紀中期。

 一見、ケラトサウルス類の祖先に見える姿形ですが、その正体はなんとティラノサウルスの祖先に近い恐竜。

 まさか、ティラノサウルスの系譜はジュラ紀中期まで遡る事になるとは驚きですね?

 彼らティラノサウルス祖先筋たるプロケラトサウルス科の皆は、恐竜が絶滅しそして人類が栄えるまでの6500万年を軽く超えるほど長く続いた生物達だという事を示す、貴重な証拠でもあります」



 一言一句間違いなく書いてあったはず。



「なるほど、ティラノサウルスの……え?」


 やっと、この説明の意味を理解するアルトリーシャさん。




「まぁ、つまり飛竜と飛竜人は、

 多分『ティラノサウルス上科』に分類される恐竜なわけですよ」


 鳩が豆鉄砲を食ったような顔ってこういう感じでしょうね。


 私も、おんなじこと思っていたので


 これ発表したらまた騒つくんでしょうね古生物学界隈は。


「ティラノサウルス、って毎回俺達をずっと見てきてるあの……?」


「領主のセイルも子供サイズを素通りさせる、あの……?」


「まぁそれは良いとして、もっと良い知らせというか、骨見て分かったことがもう一個ありまして」


 はい、ここが重要。


「多分ですが、肝心な飛竜と飛竜人の祖先に当たる恐竜の予想図と、

 予測した上でアルトリーシャさんが見た推定飛竜の祖先筋と変わらない生息地だっていう予想が立てられたかもしれないです」



         ***

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