8話 荒野の戦い
◆◆◆スコルツside◆◆◆
「初めましてスコルツさん。この部屋は空間を隔離しましたので出れませんよ」
【霧散】で部屋から出て撤退しようとしたが、壁にぶつかった様に出る事が出来ない。
(罠だったか…)密かにほぞを噛みつつも、寝室に入って来た3人に【アプライズ】を隠匿発動する…が、誰のステータスも見れなかった。
(ステータスが見れないという事は、少なくとも3人共魔力は私よりかなり上という事か…)
思った以上に悪い状況だが、何とか逃げるなり証拠を渡さない様にしなければ…と異常なほどこちらの内情を見透かした話に戦慄しながら思っていると、突如空間が切り替わり、辺りに何も無い荒野となった。
幻覚の類いでは無いのが気配で分かり、眼前の姉弟達に対する評価が全くの過小評価だった事を痛感する。
何とかフレデリックに元の場所に戻させる…しかも当然、戻っても簡単には逃げれないという状況に諦めがチラつきつつも、一番下でまだ10歳だというアルベルトが1人で進み出たので僅かな光明が見えた。
弟を人質に取って逃げるという当初の目的とはかけ離れた事になるが、ここで捕まるという最悪の事態を回避するにはそれしか無い。
私は【血の剣】を出し構えるが、アルベルトが抜いた剣を見て悪寒が走った。
今までに見たどんな武器よりランクが上だと分かる剣を中段に軽く構え、
「じゃあお兄さん、片目が無くてもバンパイアだから大した事は無いよね…いくよ?」
そう言うと爆発的に高まった殺気と魔力に刹那に満たない間、私の動きに空白が生まれる。
その間にアルベルトは間合いを詰め、突きを三度放ってきた!
最も致命的な突きを辛うじて躱し、剣を持つ右腕に近い方の突きに【血の剣】を割り込ませ、剣が斬られる代わりに僅かに軌道が逸れ、掠る程度で済む。
そして防ぐ術の無くなった三度目の突きが左脇腹に突き刺さった。
そのまま深く刺し込めば噛み付く機会もあっただろうが、アルベルトは必要以上に踏み込む事なく剣を振るう為、【血の剣】を何度も斬られながら防戦一方になった。
詠唱なく撃てる【(上級魔法)ダークランス】を何度か放つも、アルベルトの周りに突如雷の龍が出現し、全て撃ち落とされ間合いを取る事も出来ず、徐々に傷が増えていく。
普通なら【再生】で癒える筈の傷がほとんど治る事もなく、左眼も含め大小様々な傷から血が流れ続け、限界が急速に近づいて来た…




