66話 謁見
謁見の間に入り、絨毯を境に左右に別れて居並ぶ者達の多くは心からの、一部は儀礼としての最上の礼を受けながら、前に置かれていた無駄に豪華な玉座の代わりに置いた椅子に座る。
「皆、集まってくれてご苦労である。
先ずは皆の働きで大きな混乱もなくザーランド州とザクゼン州、フランブルグ州(占領した『夜と月の王国』北部の行政区分)の統治も進んでいる事に感謝する。
いずれこの地の奪還を狙うであろう『夜と月の王国』、ダンジョンを確保した『森と精霊の王国』の動向が気になるであろうが、民心を安んじて統治を安定させる事が侵攻意図を挫く為の第一歩となろう。
その為にも皆の今後の働きに期待する。私からは以上だ」
私の訓示に皆が一礼し、続いて報告と共に新たに着任する者達の任命も行う。
そうして粛々と謁見の間における行事を終え、軍務に関わる者達と共に空けておいて貰った部屋へと移動する。
中に入るとケッセリングが、
「こちらが1番広い部屋になりますが、大丈夫でしょうか?」
と訊いてきたので部屋を見回し、
「とりあえずは十分な広さがあると思うが、有事の際に人員が詰めたら手狭になるかも知れないな。
現状では空間魔法で空間を拡張すると《探査板》とのリンクが切れるから、隣部屋と繋げる工事をやっておいてくれ。
では、《広域情報表示台》を出すぞ」
頷いて副官に指示を出すケッセリングを横目で見ながら【亜空間収納】から台を取り出し、部屋の真ん中に配置すると、たちまち台を人々が囲んだ。
そして台を起動すると、フランブルグとプロホローグ要塞を中心に味方を示す青、幻魔の森と西部山脈の位置に魔物を示す黄色が多数灯り、幻魔の森西部にあるダンジョンがある位置の周りには『森と精霊の王国』の軍がおよそ1個師団配置されているのを赤で示した。
「表示されている色は《探査板》と共通になっている。
一部を拡大して見たい場合は、縦横に割り振られた記号と番号(C4など)を入力すれば…(例示の為に入力して)そのエリアが拡大して見れる」
周囲のどよめきの中、操作について説明していくと、空中哨戒隊の探知範囲ギリギリである幻魔の森を挟んだ辺縁部に数百〜千程度の反応が幾つも出ていた。
「ケッセリング、規模からして村〜町程度の反応が幾つも見られるのだが、こんな所に村や町を作る筈がないが何か分かるか?」
と訊くと、ケッセリングや問いを聞いたスコルツ達も苦い顔になり、
「陛下、それらの反応は強制収容所になります」
と答えた。




