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61話 一方その頃

◆◆◆炎と氷の国にて◆◆◆

ヘイゲル火山の中腹に築かれた行政中枢…通称『神殿』の最奥部、火口の至近のため火に耐性の無い者は数分と居られない様なその広大な空間で全長30メートルはある巨大な竜が眠っていた。


その真紅の鱗で覆われた腹部は規則正しく収縮を繰り返していたが、それが止まると同時に丸くなっていた身体が身じろぎし、真紅の竜はゆっくりと目を開く。

そして欠伸(あくび)をして大気を震わせ、

「ふーむ、良く寝たのう。むしろ少々寝過ごしたかも知れんな」

と、ひとりごちた。


「ファーブニル様、お起きになられた様で」

震動から察したのか、(竜人には)見た目が渋めに見える竜人男性が空間に入って来て声をかけた。


「おお、ヨルド。儂はどの位寝ておった?」

「大体3ヶ月ほどですな」

「ふむ。…それを聞いたら腹が減ってきたのう」

「こちらに参る前に食事を用意する様に言い付けましたので、間もなく準備出来るかと」

「流石よの、では行くとしようか」


【竜人化】によりヨルドと同じ位の背丈と野性味が濃い容姿になったファーブニルは寝所を出て、食事が用意されつつある部屋へと入る。

五月雨式に運ばれてくる料理を平らげながらファーブニルは、

「それでヨルドよ。儂が寝ている間に何か面白い事は無かったか?」


「それでしたら、『鉱石と闘技の国』の王が人間族の3姉弟に取って代わられたのを覚えておられますでしょうか?」

「うむ、あそこの国の王とその妹はなかなかの強者(つわもの)じゃったからの」


「その後、3姉弟に『夜と月の王国』から刺客が送り込まれ、それが発端で両国で戦争が勃発致しました」

とヨルドが言うと、ファーブニルは目を輝かせて、

「確かにそれは面白い話じゃ。新たな強者が現れれば尚良いが…」

と言い、話を続けるよう目を向ける。


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