62話 知らない所で…
◆◆◆炎と氷の国にて◆◆◆
「それでおよそ一月前に両国国境付近で会戦があったのですが、『鉱石と闘技の国』側から今までに無い威力の魔法が放たれ、大混乱に陥った『夜と月の王国』は一方的に叩かれて敗退し、そのまま北部一帯を喪失しました」
「ふむ。まあ『夜と月の王国』が領土を喪失したのはどうでも良いが、その魔法を撃った者が気になるが、どうだ?」
「参加していた傭兵団の者達の話によりますと、恐らく放ったのは例の3姉弟かと思われます」
ファーブニルの問いにヨルドが答えるとファーブニルは肩を震わせながら、
「フ、フフフッ、ハハハッ、そうかそうか…
それは面白い、大変面白いな…是非とも会ってみたいものよ。
『鉱石と闘技の国』にはグレンディルが行っておったな。
報告は来ておるのか?」
その問いにヨルドは苦笑いしながら、
「グレンディルは傭兵団長を辞めて3姉弟の直臣になっており、報告を送って来ておりません」
と答えると、ファーブニルも苦笑し、
「彼奴め、それで隠しておるつもりなのか…まあ良い、後で『夜と月の王国』から戻った者達より話を聞こう。
それで、3姉弟の一番下は何歳だ?」
「弟は10歳と報告書にはありました」
「確か人間族の成人は15歳じゃったかな?」
ヨルドが頷くと、
「では弟が15歳になったら、『成竜の儀』を行うとしよう。ヨルド、覚えておいてくれ」
3姉弟は竜じゃないという事をヨルドは言わない…やっても無駄な事はしない主義だからだ(リバイアサン絡みは除く)。
こうしてアルベルトが15歳になった時に強制戦闘が決まった3姉弟に幾分か同情しつつ、「分かりました」とヨルドは答えた。
「うむ。では儂は腹ごなしに『闘技場』で軽く運動するとしようかの。
ついでに先の戻った者達も『闘技場』に呼んでおけ」
食事を終えたファーブニルは最後にそう言うと、『闘技場』へと向かった。
そして、いつもより殺る気に満ちた魔大陸で唯一のSSSランクのファーブニルにより、『闘技場』が竜族などで死屍累々となったのは言うまでもない…




