59話 【偏在】と【アバター】
呆れ顔になったイルミーナは、
「言うと思った…分体でも派遣するつもり?」
「ええ、そうですよ。よく直ぐ分かりましたね?」
ちょっと意外に思って言うと、
「そりゃあ貴方達の分体が、戦争に行っていた期間以外はあちこちでずっとあれこれやっているのだから、直ぐ思いつくわよ。
でも、ここのダンジョンの5階層以降に入るには、冒険者ランクCは無いと入れないけど、今から登録してもEからだから最短2ヶ月かかるわよ?」
「あっ、それも大丈夫です。
僕達の分体がバイユークで冒険者を3ヶ月近くやっていて、つい先日Cに昇格しましたから。
勿論、容姿は変えてますからバレていませんよ」
「いつの間に…【(至高級魔法)アバター】って普通は入念な準備と詠唱に結構長い時間がかかる儀式魔法なのだけど、貴方達簡単に使ってるわよね…【偏在】の方が【アバター】より随分使い勝手が良いようね。
私の分体を出す時も手伝って欲しいわ」
嘆息しながらイルミーナが言った。
「はい、その時は是非手伝わせてもらいますよ」
と応えると、イルミーナは再びにっこり笑って、
「それは助かるわ。貴方達がここのダンジョンに入る時に私もついて行くから、その時はよろしくね」
…どうやら嵌められた様だ。
「…ええと、イルミーナさんの分体のランクは?」
「Bね。時々しか出してなかったから、あまり冒険者の活動はしてないの。
私とヴァレシルは一応まだ2人共SSランクだけど、さすがにこの姿のままだと問題しかないから、姿を変えて一からランクを上げないといけないけど仕事柄時間が無かったわ」
「国政をやりながらですからね。
因みにヴァレシルさんの分体…って、ヴァレシルさんは【アバター】使えるのですか?」
「私が補助して何とか使ってたけど、分体を残してむしろ本人が【(最上級魔法)シェイプ・チェンジ】で分体と同じ姿になってダンジョンに潜ったりしているわ」
「………その間、王としての仕事はどうしてたのですか?」
「分体には大した事が出来なかったから…わ・た・し、が大体していたわよ」
「………(ヴァレシルさん、ずっと尻に敷かれていればいいね)」
僕はヴァレシルに同情して損をしたと思った。




