6話 潜入
◆◆◆スコルツside◆◆◆
その後、私はラムケ公爵の手配した者の手引きで『鉱石と闘技の国』の首都に入り、国王直属の諜報員から情報を受け取る。
王子からの情報は相変わらず抜けが多かったが、国王直属の諜報員はさすがと言うべきか、欲しい情報はほぼ網羅されていた。
(今回の手柄は恐らく第二王子のものになるのだろうが、私はどちらが王になろうと国に尽くすのみ、だ)
そう思うと不意に頭痛が起きる。時々やってくるこの頭痛は、大抵国の事を想うと起きるのだが…まあ気のせいだろう。
ラムケ公爵を討伐する為の軍を興すという事で騒がしいせいか、警戒はしているが随所に隙が見られる。これなら潜入も思ったよりやり易いかも知れない、と思いながら夜を待つ。
そして満月の夜、情報と下見により選定したルートで私は宮殿に潜入し、最奥にある王の寝室を目指す。
ラムケ公爵の手の者は監視の危険があるので、他の者が陽動がてらに接触することになっている。
【影化】で影から影へ渡りつつ慎重に進み、ようやく寝室の前に着く。部屋に感じる気配は1つ。…どうやら別々の部屋で寝ているようだ、都合が良い。
音を立てぬよう、【霧散】でドアの隙間から侵入する。
ベッドを見ると、まだあどけなさが色濃く残る男子(セラ・フレデリックの様だ)が寝ている…が、目を覚ました様で、
「う、うん………お兄さん、誰?」
と、問いかけてきた。
答えとして私はフレデリックの背後に一瞬で回り込み、硬直するその子に僅かな憐憫を覚えながら首筋に牙を突き立て【血の隷属】を発動…が、違和感を感じると同時に左眼に灼熱の痛みが襲った!
「ぐっ…」予想外の痛みに呻きが漏れ、フレデリックを突き飛ばして距離を取る。
彼は私から抜き取った左眼を持ち、ベッドの横に立っていた。
「何故…【血の隷属】が効かぬ?」
思わず呟いたその問いに、
「それは[分体]だからですよ」
隣の部屋から入ってきたもう1人のフレデリックが答えた。




