53話 フランブルグ包囲戦③
農奴兵達の前に並んでいた盾兵達の大盾に魔法が全て吸収され、敵軍に動揺が走る。
しかし、既に最前列は白兵距離まで僅かにまで接近しているため止まる訳にもいかず、槍兵がそのまま突きかかろうとするがその時、大盾が鈍い光と共に衝撃波を放った!
まともに衝撃波を食らった最前列の兵達は、四肢や首のどれかを失いながら後方へ吹き飛ばされて絶命し、すぐ後ろの兵達も共に吹き飛ばされて更に後ろの兵達に激突して呻き声を上げる。
前方に転がった戦友達を踏み付ける訳にもいかず行き足が鈍った敵軍に容赦なく魔法が降り注ぎ、両側面から白兵攻撃を受けて更に混乱が広がる。
いよいよ包囲殲滅の危機が迫った敵軍に向けて、僕の目配せを受けたケッセリングが麾下に前進命令を出し、3方向から攻撃を受ける敵軍が崩れ出してみるみる損害が増えていく。
そして敵陣に斬り込んだ僕達の前にカイテル将軍が現れた。
「おのれ小僧共が…せめて1人でも道連れにしてくれるわ!」
怒鳴りながら僅かな供回りと共に突撃して来る!
「陛下、カイテルは私に任せて頂いてもよろしいでしょうか?」
ケッセリングが訊いてきたので、今後を考えるとケッセリングに手柄が必要な事を勘案し、斬りかかろうとしていたアルを抑えて(姉上は農奴兵達の援護と治療で忙しいので後方に居る)、
「僕達は供回りを倒すから任せるよ」
と答えると、一礼後にカイテルに向かって突っ込んで行った。
供回りの半数をアルが倒し、残りを僕とこちらの供回りが倒す間にケッセリングとカイテルは斬り結び、十数合目に剣を弾き飛ばされたカイテルは、ケッセリングの心臓を狙った突きを回避出来ずに、
「国王陛下…万歳」
と遺して斃れた。
◆ ◆
カイテルを失った敵軍は総崩れになるかと思われたが、カイテルが戦死する前に既に一部が退却路の確保に動いていた様で(だから供回りが少なかった様だ)、包囲の輪を伸ばそうとする近衛隊と元公爵兵を必死に抑えた結果、2千余りが橋を渡って撤退に成功した。
援軍の敗退とカイテルの遺体を確認した(遺体は後で丁重に弔った)フランブルグ守備隊は降伏し、カイテルの軍の生き残り共々後送されて収容施設に入るか、新たに設立される第九師団(根拠地フランブルグ)の要員になるかを選ぶ事となった。




