52話 フランブルグ包囲戦②
開戦の口火を切った敵軍は、僕達の居る農奴兵の部隊に向かって真一文字に突き進んで来る。
一方こちらは両翼を半月状に展開して半包囲態勢に移行させながら、射程に入り次第、両翼から攻撃魔法を放ちはじめた。(教育を受けていない農奴兵に、射程がある中級以上の攻撃魔法を使える者はあまりいない)。
それを空中で相殺又は防御魔法で軽減しつつ、被害を出しながらも尚も接近する敵軍の先頭にいるカイテルは、懐から短杖状の魔道具を取り出した。
「陛下の名代として命ずる!
奴隷達よ、我が眼前の敵を捕らえ左右の敵軍を攻撃せよ!」
短杖に魔力を込め、【リプレイ・サウンド】で農奴兵達全員に聞こえる様に大音声を更に拡散して命令を出した…が。
隷属契約が解除されている農奴兵達が聞く訳がない。
カイテルは焦り顔でもう一度命令を出すが、返答は農奴兵達からの手槍の投擲であった。
慌てて剣で手槍を弾きながら、「ええい裏切り者共が!かくなる上はあの小僧共を捕らえるのだ!」
包囲されつつある中で唯一、活路となるであろう命令を出した。
◆ ◆
(ここまでは予定通りだね)
強制命令が不発に終わり、両翼から攻撃を受けながら接近する敵軍が、遅ればせながら魔法攻撃を始めようとするのを見やり、供回りの他に連れていた2メートル近い大きさの大盾を持つ者達に、
「盾兵、構え!」
の号令を発する。
国境での会戦では一方的な推移となりあまり活躍の場が無かった新しい盾兵だが、オーソドックスな接敵ならその力を発揮すると思う。
そして敵軍から4百発を超える魔法が放たれ…百余名が構える大盾に全て吸収された。
(さすが《不破の盾》、使える者がいれば最強クラスと言われてただけはあるね)
ダンジョンの比較的浅い階層で入手出来、防御力抜群で色々な機能があるが、重過ぎて使えずに放置されていたのを二束三文に近い値段で集めて、魔大陸でほぼ唯一使いこなせる種族…巨人族を《人化の指輪》を作って人化させて持たせたのだ。
現在魔大陸の覇権を実質握っている竜族は人化の魔法や魔道具を持っているが、巨人族は魔法も魔道具も持っておらず、食糧や武具などの関係で数が増やせずに『森と精霊の王国』の属国状態になっているが…それは兎も角…




