43話 突撃
◆◆◆レティシアside◆◆◆
【落陽】を発動して、生まれた小さな太陽が堕ちてくる…そして地に堕ちた太陽は膨大な熱と光を放ち、一瞬で万に迫る人達を殺戮した…
覚悟していた事とはいえ、いざ現実となってしまうと胸の痛みと足の震えがなかなか収らない。
そんな中、フレッドが次々と命令を出していき、
《姉上、バルド王子とラムケ公爵は生きてますか?》
と、【テレパシー】で確認してきた。
それで半ば呆然としていた意識が戻り、慌てて【落陽】が堕ちる瞬間にバルド王子達にかけた【(初級魔法)プロテクションサークル:炎・光属性】の場所を確認すると、だいたい予定通りに動けるかどうかのダメージを受けた様だ。
《大丈夫、結構ダメージを受けたみたいだけど生きてるわ》
《そうですか、では早く倒して戦死者が増えないうちに降伏勧告しましょう》
そう、彼らをわざわざ生かしたのは死んだのを確実に知らしめるため…判別出来なくなったら分かりやすい降伏の切っ掛けが無くなるから。
王子が降伏を認めれば一番いいのだけど…これは実際に勧告してみるしかないわね。
そして私達はある程度隊列を整えた近衛3千の先頭に立ち、騎竜の襲歩に合わせ敵本陣目指して突撃を開始した。
騎馬なら襲歩はあまり長時間は出来ないが、騎竜は馬より遅いが体力は段違いなので10分や20分続けても全くへばる事がない。
私達の左右に騎竜隊が展開し、中央と左翼の境目に突入したけど阻もうとする人は殆ど居ない。
そもそも普通は接敵前に魔法の数百発は飛んで来るみたい(右翼には自軍の両師団から千発以上撃ち込まれているけど…)だけど、全く飛んで来なかった。
僅かに私達の前で突貫を防ごうとした敵を簡単に蹴散らし、視界に敵本陣が映った。
念の為、各近衛大隊から徒士の一個中隊を背後の備えとして残して、残りはそのまま本陣に接近する。
魔法の射程に入ると、さすがに数十発の魔法が飛んで来たけれど、弾道に【障壁】を割り込ませて全て途中で炸裂などをさせて無効化した。
一方、こちらからの魔法攻撃はあまり防がれる事もなく数百発が敵軍に弾着し、死者こそあまり多くないもののかなり混乱が見て取れる。
そのまま混乱の渦中にある本陣に突入し、私は母の形見の《運命を別つもの》で敵を薙ぎ払いながらバルド王子達を目指した。




