39話 陣地構築と最終確認
会食も終わり翌日を休養に充て、いよいよ会談当日となった。
黎明時に町を出陣し、太陽が登ってしばらく後のまだ早朝と言える時間に会談場所の国境地帯に到着する。
【ボーリング】などで粗く掘り出した土砂を南側に積み上げ、円匙で形を整える事2、3時間…一応の塹壕陣地が出来上がった。
少し遅くなったが朝食を兼ねた休止を取る間に、半日以内ならある程度自分の知りたい物事が視れるアルに、『夜と月の王国』に派遣されている『炎と氷の傭兵団』がどこに配置されるか視て貰う事にした。
アルはしばらく目を閉じていたが、やがて目を開くと、
「向こうは右翼、左翼、中央に大体8千ずつ配置して、中央の後ろに残り1万1〜2千を本陣として置く布陣みたいだけど、傭兵団は僕らから見て左側に居たよ」
と説明してくれた。
アルに礼を言うと、休止後に塹壕から南東側に出やすい様に作る事を指示した。
休止が終わって、兵達に塹壕の居住性などを向上させている間に首脳陣が集まり、《新通信球》でヴァレシルと開戦前の最後の連絡を取る事にした。
「こちらフレデリックですが、ヴァレシルさんよろしいですか?」
僕が特別製の《新通信球》に魔力を込めると映像が浮かび上がり、ヴァレシル軍の首脳陣の姿となった。
「ああ、こちらも集まっているぞ」
ヴァレシルの明瞭な声がこちらにも届いた。
「通信状態も良好ですね、では始めましょう」
僕の軍議開催宣言に皆が一礼する。
「こちらはもうしばらくすると第一王子達が来ると思うのですが、そちらの現在の状況はどうですか?」
「こちらはラムケ公爵領に2千ほど残して来たが、代わりに降伏した者達3千を連れてきたので2万1千になっている。
幸い、特に戦闘が起こる事もなく接収出来たから、本隊も数日中に国境に到着するぞ」
という報告に、こちらの陣営から「さすがヴァレシル様」など称賛の声が上がる。
「それは良かったです。では会談時にも通信球を繋いだままにしておきますので、決裂しましたら直ちに侵攻を開始してください」
「分かった。決裂したら直ちに先発隊に下令しよう」
「よろしくお願いします」
他に幾つか打ち合わせをし、
「では、フランブルグで会おう」
『夜と月の王国』北部最大の都市での再会を約束し、軍議を閉会した。
その後、兵を休ませて待つ事1時間余り…正午まであと1時間足らずになってようやくバルド第一王子率いる軍が姿を現した。




