33話 真面目な姉上
◆◆◆レティシアside◆◆◆
セミロングの髪が湯船に浸からない様にタオルを巻き、【クリーン】をかけているけど一応身体を軽く洗ってから湯船に浸かり、思わず「ふう〜」と息を吹き出した。
(あれからもう1ヶ月ちょっと経つけど、久しぶりにゆっくりしてるわね)
母の死を悲しむ間もなく走り続けた今日までを振り返り、あの時を思い出して暗い気持ちになりそうになり、振り払うように頭を振る。
(いけない、私が年長なのだからしっかりしないと…でもこれから…)
戦争とはいえ、1万人以上を殺さないといけない…そう考えると湯船の中なのに震えが来そうになる。
(私達3人なら冒険者としてでもこの大陸で生きて行けたでしょうけど、それは奴隷にされていた伯父様達を見捨てる事…それは出来なかった。
でも代わりに、こちらに来て直ぐに重責を担う事になってしまったわ。
フレッドは1人でも発動出来るから無理に参加しなくてもいいと言ってるけど、王の責務に加えてあの子1人に咎の全てを背負わせる訳にはいかない)
決意を新たにして湯船を出て、2人が待つ部屋に戻る。
部屋に戻ると、2人は窓際のテーブルで手製のボードゲームをしていた。
「お待たせ、いいお湯だったわよ」
微笑みながら2人に声をかけると、
「じゃあアル、入ろうか」
「うーん、もう少し…」
「湯船に浸かっている間に考えたらいいだろう、ほら行くぞ」
そうして浴室に入って行った。
テーブルに残ったボードを見ながら、
(こっちに来ても、こういう所は変わらないわね)
…何となく、肩の力が少し抜けた気がして笑みが溢れた。




