30話 冒険者現る
近衛達の到着を待つ間に、【フレイムバースト】の炸裂音を聞きつけたらしい隊商の護衛達が先にやって来た。
先頭に2本角の鬼人の男の剣士とドワーフの男の重戦士、その後ろにエルフの女の弓士、サタニアンの女の魔術師(或いは賢者)の4人の編成の様だ。
彼等は僕達の周りに転がっている盗賊達を見て驚きながら剣士が、
「これは君達が倒したのか?」
と訊いてきた。
いつでも戦闘態勢に入れる様にさりげなく位置取りしている彼等を見て、かなり高ランクの冒険者達の様だと当りをつけつつ、代表して姉上が、
「はい、景色を眺めていましたら襲って来たので倒しました」
と率直に答える。
剣士は姉上に見惚れていたらしく少し会話が途切れたが、魔術師の咳払いで我に返り、
「それは大変だったね。これから俺達は隊商を護衛しながらバイユークに向かうのだけど、良かったら一緒に行くかい?」
と訊いてきた。
「あっ、いえ、人を呼びましたのでもうすぐ来ますから大丈夫です」
姉上が答えるとほぼ同時に、こちらに飛来する近衛達が弓士の視界に入ったらしく、他の3人に声をかける。
僕達の後方に着陸した11人の近衛達に対して彼等は身構えるが、中隊長が一礼して、
「陛下、お待たせ致しました。この者共は連れて行きますので陛下達はお仕事をなさってください」
そう僕に言ったのを彼等は聞いて、
「「「「陛下⁉︎」」」」
と驚愕し、盗賊で意識がある者達でその意味を理解した者はみるみる青ざめていった。
「はい、ひと月前からこの国の王になりましたセラ・フレデリックといいます。
そろそろ仕事を始めないと遅くなるので、これで失礼しますね」
驚きで固まっている彼等に自己紹介をすると、後を近衛達に任せて3人で作業開始地点へ移動する事にした。
【(上級魔法)フライ】で飛び立った僕達の後ろでは、【竜人化】を解除した炎竜と氷竜に《バインドロープ》で拘束した盗賊達を載せて(乗せてではない)、その横で中隊長に冒険者達が頭を下げていた…どうやら言葉使いが悪かったと謝っている様だ。
(そんなに気にする程の事はなかったのに)
そう思いながら、カルサア渓谷入り口に移動した。




