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異世界ってやっぱり異国よりも言葉が通じないよね!?  作者: 月媛(*'―'*)♪
優しい大きな人達に、子供扱いされる私は中年女
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30.夜明けまで暗闇の中


 ──もう、このまま帰らなくても良くない?


 そんな危険な思考がわきあがってくる。

 ここで、公爵家の方々に可愛がられてるのも、使用人達に面倒見てもらえてるのも、たまたまだ。勘違いしてはならない。

 たまたま、公爵領の森に迷い込んで、たまたま、自分の配慮不足から事件があって、たまたま、夜中にも拘わらず通りすがりの領主様に助けられた。それだけ。


 いつまでも公爵様に、ルーシェさんに面倒をみてもらえると思うのがおかしい。

 言葉が通じないから、状況が進展しないから現状維持なだけで、いずれ、身元不明の不審なオバサンだと判ったら、1人で生きていかなくてはならないだろう。

 漫画やラノベみたいに、ここの子になるなんてあり得ない。

 夜一人になって、素敵な天蓋付きベッドの中で、朝までの長~い時間、ぐるぐる考えるのは、いつも同じ、現状に甘えるな、だ。


 そして、やはり呪いなのかもしれない。ここの言葉は一向に覚えられなかった。


 電気が明々(あかあか)とつく現代日本での、夜更かし当たり前の生活から一転、陽が落ちると寝静まるのが当たり前の世界で、自然と共に健康的に過ごすようになって、私は1人で夜の時間を持て余していた。


 言葉は、聴き取れなくて正確には覚えられなくても、文字は覚えたい。

 文字が書けたら、筆談だって出来るだろうし、本が読める。

 本が読めれば、色んな事の幅が拡がるはずだ。


 枕元に置いてある絵本の写しを広げ、ランプシェードの縁を軽くたたく。

 魔法が使えない私のために、マーサさんが持ってきてくれたもので、このランプの中には、光る石が入っている。この石は、私にはただの石に見えるけど、実際は妖精や妖魔のようなものなのだろう、叩いたり声をかけたりすると、一定時間光るのだ。

 餌? なのかな…… 夕方になると、メイドさんの誰かが、蓋を開けて、中に鈍く光るパン粉みたいなものを蒔き入れていた。光る石に粉が触れると、一瞬だけ石が光って吸収される。

 あの粉が高いものじゃなければ、けっこうコストパフォーマンス良さげな生きたランプ君である。

 ここを出て行く時、分けて欲しい。


 自作の絵本の写しは、毎晩見るので、わりとしわくちゃになっていた。この世界の紙の材質がなんなのか判らないけど、どちらかというと、極薄の布のような皺のより方である。


『花』ウォロアー

『葉』ふぃィードルドゥ

『猫』ミウオーヴィー

『樹』モヴリィーヴァ


なんとか覚えているのはこれだけである。


 後は『ぶっひあるぐ』で、おはよう(たぶん)、ありがとうが『シーリンくいる』か、前後を取っ払って『リンクル』だけかもしれない…… 状況で言う事が微妙に違って(聞こえて)、よく判らない。


 絵本にいる動物も、『猫』の(ミウオーヴィー)他、『犬』(ヴァウワアゥ)狼かもしれないけど、猫と同じで殆ど鳴き声(オトマノペ)だね。 ん? オノマトペだっけか? オマノトペは違う……かな。オマトノペ……段々余計に判らなくなったからいいや! 擬音擬声の書き文字的なヤツね。

 とにかく、動物は代表的な鳴き声に近い呼び方をするみたい? これは覚えられるかも。


 ルーシェさん、帰ってきて、もう私とお話出来なくなって、残念に思うかな。元々通じなかったんだから、そんなにがっかりはしないかな……




 文字のお勉強をしていたはずなのに、気がついたら朝だった。


「ヴァニラヴィエ、ヴッフィアルヴ。フィレオヒィドゥアレヴィオルマグル※※※(以下略)」

 マーサさんがにこやかに起こしてくれる。うわー寝落ちしちゃったよ。


 手際のいいメイドさん達が、浮腫(むく)んだ顔を蒸しタオルで柔らかくしたり、氷の粒の魔法で目元を冷やしたり、引き締め化粧水(アセトリンゼン)で顔全体を引き締めてくれたり……

 なすがままきゅうりがぱぱ状態で身支度されるのにもだんだん慣れてきた。本当にいやな事はしないでくれるし。

 数少ないいやな事……煌びやかなドレスを品評会よろしく並べてくれる事が始まる。いや、こんなにどこから出すの?


 総レースの紫のドレスなんて、誰が着るんや、日本人には似合わんて(笑)


 真っ赤なイブニングドレス、サーモンピンクのフリルまみれ、ダークグリーンのモスリンロココドレスまで出て来た日には笑うしかない!!


 その中で、桜色のオーガンジードレスが、ウェディングドレスやバレリーナ、妖精のようなふわっとしてて、幻想的でリリカルで可愛い♡

 つい目が釘付けになると、それを着せられそうになる。

「だ、ダメダメダメ……!! 桜色は好きだけど、ただでさえキューピーちゃんなのにますます肥って見えて笑えるからダメー!!」


 なんとか回避出来たけど、いつもはワゴンに載せて元あった場所(たぶんルーティーシャさんの昔の衣装が仕舞われてるウォーキングクローゼットのある衣装部屋)に返されるのに、その桜色のオーガンジードレスが1番に、続いて、黄色、藤色、若緑色など、私の好きな色で型違いが何着も私の寝泊まりしてる部屋のクローゼットにしまわれた。

 ちょっと、絶対に着ないからね!


 しかも、ちらっと見えたけど、他にも、昔好きだったブランド『伯爵令嬢』のレースの層をなしたブラウスが宝物だったんだけど、それに似たドレスが収められていた。いつの間に……!?

 好みをガッチリ摑まれてる! でも、好みと似合うは別なんだよ~。



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