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異世界ってやっぱり異国よりも言葉が通じないよね!?  作者: 月媛(*'―'*)♪
優しい大きな人達に、子供扱いされる私は中年女
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8.公爵邸 一日目の夜──楽園でお勉強会



 とにかく、言葉が通じない事には始まらない。


 私も覚悟して、絵本に向き合う。


 1ページ目に、猫に似た動物の絵。

 2ページ目に、ダリアみたいなお花と、どう見ても妖精さんな女の子の絵がついてる。


 さっきの成果を見せるよ!

「ウォロアー!」


 ダリアみたいなお花を指さして得意げに言ってみる。

 るーてーしおさんも満足げに頷く。



 にゃんこは《みるウォーびぃ》


 葉っぱは《いーる》


 樹木は《モヴリィーば》


 少しづつ、語彙を増やしていく。


 1度しか言わないと忘れてしまうから、何回も同じ事を繰り返す。



 ハチミツ入りミルクティーを飲みきり、何冊かの絵本や児童書を繰り返しお勉強して、夕飯になる。


 公爵様、ルーシェさんはまだ帰って来てなかった。

 まあ、私が助けられた時間帯も、陽が落ちて、月が昇ってだいぶ経ってからだったし、今夜も遅いのだろう。

 私を構って出勤も遅かったみたいだし。



 サラダ、今回は細かく刻んだものチップサラダではなく、手で、刃物を使わずに千切った葉物野菜に、細かく刻まれた果物と胡桃っぽい木の実が何種類か散らされたものでした。

 フルーツソースがとても美味しかったです。


 どんなのかは判らないけど魚の切り身をムニエル風にしたものにも、温まるあんかけが野菜とともにかかってて、なんだか本当に贅沢な生活です。お腹に、贅沢なお肉が蓄えられそう……


 パンは手で、千切って一口づつ食べました。今回は齧り付かなかったよ。


 やはり珈琲はないのかな、この国か世界には。

 ドライフルーツのスライスしたものが沈んでるお紅茶と、プリン的なぷるぷるしたものが出て来ました。


 プリンおいち~い。


 ますます幼児化してる気がする。ヤバい。


 るーてーしょんさんに手を引かれて、お2階の与えられた部屋に帰り、再び絵本で言葉のお勉強。


 語学のお勉強なんて、何年ぶり? 辛うじて30年は経ってないか……

 芸大に入っても、語学の授業はあった。解らん所は、英語答弁サークルに入ってた弟に教えて貰ったっけ……


 だんだん眠くなってきた。


 気を利かせたるーてーしょあさんと女中頭さんが、メイドさんを手配して、また、お風呂に入らされる。大事なところ、もう一度言います。入らされる。


 だから、子供じゃないんだから、一人で入れるっちゅーの!


 言葉が通じないからか、解っててスルーされてるのか、洗われるし、湯に突っ込まれるし。


 今日は、お花──たぶん薔薇だよね?この花びら──が浮いてた。いっぱい。

 ……いい匂いだな。

 生花で良かった。薔薇のエキス入り香料とか、ローズの香りとかって合成もの(この世界にはないかな?)だと、アレルギー出るから。


 一面の花びらの中に、昨夜と同じ弾力のある水晶玉みたいなの浮いてて、ビーチボール宜しく抱きついてました。

 バスタブは、一人用なのに、チビな中年日本人女性の私には大きすぎるのですよ。油断すると、足を滑らせて沈んでしまいます。


 髪もドライヤーではなく、メイドさんの魔法…魔道術で乾かされ、透け透けは力の限り却下して、ひらひらの寝間着を着せられます。

 てか、中年女の透け透けネグリジェなんか、どこに需要あんねん。ヤメレ。



 ほこほこになって、そろそろお布団にって所で、ルーシェさんがお帰りになられました。


 軽いノックの後、るーてーしあさんが扉を開けて中へ招き入れます。

 ルーシェさんに続いて、お母様も入ってこられました。


「ヴァニラ。◐★●※&……(以下略!)」


 優しい、近所の子供を見守るお兄さんな目をして、片膝をついて私に(たぶん帰宅の挨拶の)ほっぺちゅーをくれる。

 勿論、入室したすぐに、るーてーしあさんにもしてるし、たぶん、玄関でお迎えしたのだろうお母様にもしてるのだろう。

 だが、私にまでしてくれんでもええのに。

 お風呂上がりだからだけではない赤らみが、頰にパァっと広がる。

 るーてーしあさんもお母様も、女中頭さんもメイドさん達も微笑ましげに見守ってくれる。くれんでええわ!


 当のルーシェさんは立ち上がり際で、見てなかったらしい。ホッとしながら俯く。


 ベッドにあがろうとして(ベッドも大きくてよじ登らなくてはならないのだ)、今日はまだ1回も歯磨きをしてなかった事に気がついて、女中頭さんの側へ駆け寄る。


「歯ブラシ、ありますか? 歯ブラシ。皆さんも、歯、磨きますよね?」

 通じなくてもせめてゼスチャーで伝えよう。頰の前で、歯磨きのパントマイム的な動きをしてみせる。


 思い当たったのか、バスルームから、細かい所を掃除する先の細い刷毛みたいなのを出してくる。私らの知ってる歯ブラシは横並びの毛だが、コレは縦である。磨きにくそう……


 洗面台の前でイーをして、刷毛を当ててみるが、奥歯が無理だ。


 すると、背後から鏡に影が伸びて、刷毛を握る私の手を、暖かく大きな手が片手で包み込む。

「ヴァニラ。※※※(以下略!)」


 そうか! ジュードさんみたいに、魔術で磨いてくれるのかな。


 ちょっと恥ずかしかったけど、目を瞑って歯医者さんみたいにお口を大きく開けた。


 なんか、また、ギャラリーがざわついた気もしたけど、気にしたら負けだ。

 今、私は、5歳児。幼稚園でオニータン先生に歯磨きを教わる5歳児だ。自分に暗示をかけて耐える。


 すうっとした霧っぽいものが口に入ってきて、丁寧に1本1本、歯を磨いてくれる。

 ジュードさんよりもお上手。

 そりゃそうか? お国でもトップクラスの魔道士さんなんだよね。


「んっ」


 うがいの代わりに口の中に溜まった濃い霧がぐるぐるしたとき、ジュードさんにはなかった事で覚悟してなかったから、咳込みそうだったけど、ルーシェさんのお顔に吹きかける事になるから、必死で耐えた。


 すべての霧が引くと、よく頑張ったなという感じで、縦抱きに抱え上げて背中を摩ってくれる。


 そのままベッドまで運ばれて、昨夜と同じように、眼鏡を外されて、眠るまで、側で見守っててくれた。らしい。すぐに落ちてしまったので判らないけど、ずっと手を握っててくれたのはなんとなく覚えてる。


 そんな感じで、私の公爵邸での1日は幕を閉じた。

次回 第9話

 公爵邸 一日目の深夜──1人反省会


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